September 30, 2005

司ウェアモデル

KAIモデルの中で非常に重要な部分が、ユーザインターフェイスです。KAIモデルの概念に基づくユーザインターフェイスは、ある意味、特殊です。しかし一貫してこれには妥協しませんでした。

こう言うインターフェイスで作られた私たちのアプリケーションが、前回のエントリーに書いたように、多くの企業の現場で支持され通用しています。この意味は重要です。

今までのアプリケーションのユーザインターフェイスがどうであったか。大変申し訳ないけれど、コールセンターを含めた現場の言うユーザインターフェイスとは、ティッシュペーパーです。ティッシュペーパーは鼻をかむのにはやわらかく、やさしくて便利だけれど、これに受注情報を書いてもインクがにじむばかりです。コールセンターの人たちが言うのは、鼻をかむことばかりです。鼻をかめてもそのあとどうするんですか。

そこで私たちが提案し、実用化してきたのが、司ウェアモデルです。ポイントは、司と言う漢字にあります。司のカネ(┓)がメニューの配置を表現していることが、司ウェアの司の意味です。

実は私たちのホームページもそう言うインターフェイスを指示したのですが、CSSが分かるデザイナがいず(ぐちゃぐちゃ表示になってしまう)、やむなく現在の形式のままです。乞う期待>kio。

ぜひまわりのホームページのデザインを見回してください。見て心地いいデザインは、すべて司ウェアのはずです。

なんて思ってるときに梅田さんが最高に面白いエントリー

司ウェアのモデルホームページのご紹介です。 KAI

September 29, 2005

ASP型モデルの最適解に至るシナリオとは

このところ、ボツ原稿がたまる一方で、どうも思考が集中しません。と言うのも、本業がいよいよ第四コーナーをまわりムチが入って、頭がそっち向いちゃってるのが原因のようです。

そっち向きついでに、今後のASPサービスのシナリオを描いてみました。

いろいろな声はありますが、従来の開発型モデルと、ASP型モデルを比べれば、後者に分があるのは明らかです。つまり、5年、10年のスパンで見れば、世の中のアプリケーションの大半はASP型へシフトしているのは間違いないってことです。ですからここでは是非の議論ではなく、ASP型モデルの最適解に至るシナリオを考えることにします。(以降考えながら書くのでぐだぐだ文章はご容赦を)

以前セールスフォースのカスタマイズと言う賭けについて議論しましたが、このシナリオのポイントは、このカスタマイズに対する考え方にあります。当然私たちは一切カスタマイズしませんので、現在ASPセンターに接続されている1000台のクライアントはすべて、同じプログラムを使用する仕掛けになっています。

このカスタマイズしない、と言うよりカスタマイズ不要と言う考え方の根拠は、私たちの独自モデルであるKAIモデルにあります(KAIモデルについては過去のエントリーを参照ください)。このモデルによれば、業務アプリケーションは、すべて機能の組み合わせである業務機能により記述することができるため、カスタマイズとは単なる機能の選択の問題に還元することができると言うことです。

現にこのモデルを採用した私たちのERPパッケージが、100社以上の企業でカスタマイズなしに企業の基幹システムとして今の今実際に使用されていると言う事実からも、これは立証されていると言っていいと思います。

ここ1年のシナリオ−−1桁企業

さて、このノンカスタマイズ戦略が功を奏し、このところ目白押しの入会即本番が続いています。会員企業は、インターネットに常時接続できる環境さえあれば、入会日の翌々日からブラウザで接続してASPサービスを利用できるようになっています。このブラウザさえあれば利用できると言うのもミソで、今までのようなサーバーを準備したりアプリケーションをインストールしたり、おまけに専用の回線を準備したりといった作業が、一切なく、ブラウザでその場で利用できると言うのは、これを実際に体験して初めて、この意味のすごさを実感し理解できます。

ノンカスタマイズ+ブラウザの意味のすごさとは、スピードのメリットです。今ビジネスにおけるスピードの意味について論を待ちません。そのスピードメリットを享受することで当該企業はビジネスチャンスを極大化させることが可能になります。このことはつまり、アプリケーションそのものの価値を、コストセンターからプロフィットセンターへ転換させることを意味しています。

これに気づいた企業が次々とASP型モデルの採用に向かう、と言うのがこれからここ1年で起きる、メインのシナリオです。

5年後のシナリオ−−2桁企業

二つのことを同時にこなしていかなければいけません。

一つは、ASP型モデルにおけるサービスシステムの確立です。具体的には会員数が増加しても一層のサービスレベルの向上を実現することです。

もう一つが、10年後への準備です。今サービスに利用しているERPパッケージは、その完成に12年と言う歳月を要しました。この開発ノウハウがありますから次世代システムの開発完成はその三分の一にできると見ています。それでも4年はかかります。

この次世代システムとは何か。それはKAIモデルで言う新たな業界です。今サービスしている業界は、とりあえず現在のシステムでカバーしました。しかし、ASP型モデルでカバーするべき業界は山のようにあります。

恐らくASP1、ASP2による売上のマックスが300億。まだ1桁企業が描く4桁のシナリオは、夢としか言いようがありませんが、ASP3、ASP4、〜、ASPXXと、あらたなる開発を目指す若者こそ、このシナリオの重要な登場人物となります。

10年後のシナリオ−−3桁企業

ここはすでに夢ではありますが、この続きは明朝^^; KAI

September 27, 2005

ウーウェン氏の料理(41)

棒棒鶏

久しぶりのウェンさんの料理です。同じユーイチ君が作っても、ウェンさんの料理とユーイチ君の料理が全く別物になるのはなぜなんでしょうか。本当に不思議な世界です。北京の酒菜の、p.78。

棒棒鶏(バンバンジー)。この料理も過去何度か食してきましたが、ウェンさんのこれは全く別物です。しかもこの棒棒鶏と言うのも、ウェンさんの表記では怪味鶏(グアイウェイジー)です。それがなぜ棒棒鶏なのか、調べると早速ありました。辻学園調理技術専門学校のページです。

「棒棒鶏」は四川料理を代表する冷菜です。メニュー名の「棒棒」の意味は、火を通した鶏を「棒でたたいて」軟らかくすると言う作り方からきています。昔は棒でたたいた鶏を手でさいて盛り付けていましたが、最近では、庖丁で細切りする事が多いようです。

なーるほど。ググルってほんっとベンリ。ウェンさんは棒ではたたかず、単に手で食べやすいようにゆでた鶏肉を裂くだけです。

呼び名の違いはわかりましたが、本丸の味の違いはどうか。このポイントは、練りごまです。この練りごまを使い、秘伝のたれをを作ります。練りごま、白炒りごま、花椒、しょうゆ、さけ、ごま油を混ぜ合わせて作るたれが、この料理のみずみずしさを目いっぱい演出します。

もちろん、目の前で作ってくれるので普通に出てくる冷菜と、温度が違うのは当たり前ですが、この暖めてもいないたれが、まるでホットペッパー。これで鶏肉が生き物のようにやわらかい。

肉だけだとしつこくなってしまうので、野菜も入れて口当たりよく作ってみました。

とウェンさんのコメントにある通り、玉ねぎ、にんじんを加えて、鶏肉とあわせたところに秘伝のたれをかけます。

たれのやわらかさ、あたたかさ、鶏肉のやわらかさ、あたたかさ、すべてがハーモニー。おいしさが快感です。 KAI

September 26, 2005

Oracleのビジネスモデル−−その選択と言う悪魔

エンジンにタイヤとハンドルをつければ車になると、本気で信じている部品(エンジン)メーカーのOracle社が、買収した車メーカーの車のエンジンをどうするか、大変興味深い問題でしたが、どうやら期待通り^^;のようです。

ZDnetのBlog、エンタープライズニュースの読み方さんのエントリーOracleのアイデンティティの引用の引用。

ある匿名のウォール街アナリストは、OracleがProject Fusionで複数のデータベースをサポートする可能性は低いと予測し、「Oracleがサポートを決定することはまずないだろう。データベース分野は、同社の収入のおよそ80%を占めているのだから」と指摘した。

このところ矢継ぎ早にアプリケーション・メーカーを買収しているOracle社が、買収した会社のアプリケーション製品が対応するDBMS(データベースエンジン)をOracleにのみ制限するかどうか、見ものだったのです(まだ結論が出たわけではないのですが^^;)。

この問題の本質が何か、これは企業がビジネスモデルを選択創造する上で、ある意味避けて通れない踏み絵なのです。

モデル指向の必要性の中でも書いた通り、社員がお客様に何を買ってもらっているか、どう認識し理解し、これを具体的な業務に実践するかが、企業のすべてであり、ビジネスモデルの本質です。

当然買収されたアプリケーション・メーカーの社員にとっては、お客様に買ってもらっているのは“車”であって“エンジン”ではありません。彼らにとっては性能、つまり、コストパフォーマンスさえ出ればどこのエンジンでもかまいません。しかし、もしコストパフォーマンスの悪いエンジンしか選択できないとすれば、その結果は見えています。

部品と製品、ツールとシステム、これは同じ次元で両立しません。デンソーとトヨタ。究極はこの関係です。

ツールと言う時代の終焉

要はこう言うことです。

Oracle社の選択は、正に悪魔の選択となるのです。 KAI

September 24, 2005

本社と言う建屋こそ人の心を組むことができる

塔組みは木組み

久し振りに良い記事が、昨日配達された日経ビジネス(2005.9.26号)にありました。それも二つも。

旧国鉄のオンライン予約システムの開発責任者であった元鉄道総研理事長尾関雅則さんの言葉(p.1)。

「システム・インテグレーション(システム開発)はヒューマン・インテグレーション」。

この言葉を読んで、宮大工棟梁西岡常一氏の言葉を思い出しました。

塔組みは木組み。木組みは木のくせ組み。木のくせ組むには、人を組め。人を組むには、人の心を組め。

五重塔を支える一本一本の木にはくせがある。何年も経てば反り返る木を見極めるのは人間にしかできない。そう言う木を組み上げる職人を育て上げることは、職人自体の心を組み上げることである、と言うことです。

この言葉に、筆者が若干30そこらで100名以上の部隊を指揮しているときに出会いました。当時はまだ意味が十分理解できないまま、しかし、これをメンバーの心を「くみ取る」と理解して実践に適用しようと努力してきました。いま改めて考えるとくみ取るのくむは「汲む」であって「組む」ではありません。

いま、初めて、この意味の違いの重大さに気付きました。

本社が遷ろうユニクロの悲劇

もう一つの日経ビジネスの記事、と言うより写真(p.32-33)です。山口のファーストリテイリング本社の遠景写真です。それは地方私立大学のキャンパスの風景そのものです。なんとここに柳井正会長兼社長は年1回しか訪れないそうです。

これを見て、またまた思い出したのが、つい先週訪れたレッドモンドのマイクロソフトのオフィスです。レッドモンドの広大な森の中に点在する数十のビル。ビルと言っても大半が平屋に近い二階建て。その一つビルディング・エイトの前に立ちながら、このビルの2階の一室にいるビルゲイツのエネルギー波を感じたばかりです。まさにここは、キャンパス。池のまわりで一人ハンバーガーをむさぼる若者、と言うか、若者以外このキャンパスにはいません。しかし彼らはすべてマイクロソフトのタスクフォースの一員です。

ひるがえってユニクロ。官僚化する組織を柳井さんがなげきます。その通り、筆者が以前本社のあった渋谷のマークシティで目撃した彼らは官僚そのものでした。なんで一介のフリース売りが、こんな高層ビルでえらそうにするの。筆者はこう思いながらそうそうに退散しました。

心はその器に宿る

巨大帝国化しても一向に官僚化の声を聞かないマイクロソフトと、ユニクロの違いを、筆者は、この両者の本社ビルのありようの違いにその本質を見ました。

冒頭の人の心を組む、とは、随分前に取り上げた規律の文化と同義であることに、今、やっと気付いたしだいです。本社の建屋とは、何も言わなくても社員に規律の文化を伝える、そう言う建屋であれ、と教えているのだと。 KAI

September 23, 2005

フィジカルフィルター

もしこの世の中を、物理的現象と精神的現象をわけることができるフィルター付きサングラスがあって、これで見ることができるなら、どんな世の中を見ることか。

物理現象を見るサングラスでは、ことごとくはフィルターで遮断され、無意味な物理現象のみを目撃するはずです。つまりはかように、世の中で起きる物理的変化は、微弱な電気信号の模様の変化と言う態様に支配されていると言う事実です。

しかし、愛犬リキの生活にとって、物理的変化が無である世界こそ日常です。しかも、リキの物理世界は精神世界に支配されません。私たちが勝った負けた、と思う世界は、フィジカルフィルターのリキには無縁の世界です。

人がシアワセになることとは、このフィジカルフィルターであり、無の境地であり、イノセントの世界です。 KAI

September 21, 2005

おはぎとぼたもち

筆者は半世紀生きてきて、恥ずかしながら、彼岸の中日の意味を今日、初めて理解しました。彼岸とは7日間のことを言い、中日とは真ん中の前後3日の間の日です。つまり、あさって9月23日の秋分の日を彼岸の中日としてその前後7日間をお彼岸と呼ぶわけです。更に、7日間の初日を彼岸の入りと言い、昨日の20日がそれでした。

これに加えて、ビッグコミックの三丁目の夕日に、これまた半世紀で初めて知ったお話が、タイトルです。

あんこもちを、秋の花の萩にあわせたおはぎ。春のぼたんの花にあわせたぼたもち。

まったくもって、合理的。納得の嵐(さりげなくコマーシャル)。 KAI

ライブと言うビジネスモデル

kennさんのアフォーダンス論への反論を書いている最中に、梅田さんへトラックバックした徳力さんsatoshiさんがそれぞれ刺激的で興味深いエントリーを書いています。

Blogですから^^;こまかい論証抜きに結論を(すでにマティーニ2杯)忘れないうちに書くと、コンテンツとは情報(データ)ではなく機能であることこそコトの本質だと、今やっとわかりました。

特にsatoshiさんのエントリーのコメントで見えてきました。このコメントに反論しますが(犬の遠吠え^^)、決してはてなの利用者やライブ参加者はコンテンツではありません。ライブの参加者がライブと言うコンテンツの一部であると考えるのは、間違いです。(コンテンツを情報とするならばですが)

ライブとは機能のパフォーマンスです。コンテンツが機能のパフォーマンスを持つとすれば、パフォーマンスを最大化させるのがライブです。CD-ROMコンテンツのパフォーマンスとは家賃収入と同じ定額制、つまり、好きなだけ聞ける、見れる、です。逆にカプセルホテル的パフォーマンス、あるいは、会社のソファーがベッド代わりってのがフリーコピーでは。

まさに自己組織化アプリケーション問題の人間コンポーネント、つまり、村上信夫さん的問題です。

このあたり明朝めがさめたら書きます。ぐうぐう。 KAI

September 19, 2005

XMLは永遠にアフォーダンスしない

申し訳ないですが、表題の通り、XMLは永遠にアフォーダンスしません。以前から指摘しているように、XML側の人たちはいつまでたってもアプリケーションの本質が理解できないようです。

CNETの江島氏のBlogXMLとアフォーダンスの内容は、多くの人々の思考に刺激を与えたと言う意味では評価しますが、ことの本質を見誤っています。

このXMLデータは、「江島 健太郎にメールを出せ」「0387654321にファックスを送れ」などという無数のメッセージをアフォードしてきます。そして、そのメッセージは、オブジェクトシリアライゼーションなんて言葉がわかる技術者だけではなくて、その何百倍/何千倍もいるであろう、データの意味を単にリテラルに読むことができるだけの普通の人たちにも届くのです。この圧倒的なスケール感の広がりこそが、XMLの価値なのです。

個人情報を例にしていますが、これは名刺と一緒で、名刺の中の個々の情報が個別にアフォードしているのではなく、名刺そのものが、コールミーのアフォーダンスをしているのです。この名刺そのものとは、データではなく名刺と言う機能を持ったアプリケーションだと言うことです。これをXMLではなく、単なるCSVで記述しても、アフォーダンス効果が全く同じであることを考えれば、自明と言わざるを得ません。

データもXMLも決してアフォーダンスしません。椅子の例もあげていますが、これもまったく同じです。椅子の材料は決してアフォーダンスせず、椅子の形状と言う機能こそアフォーダンスしていることに気づくべきです。ここで彼らは主張します。この椅子の形状と言う機能をXMLで記述できると。おやおや、それは結局プログラムと同じ次元であることに気づいていない。しかもデータと機能が密結合すると言う、もっとも始末の悪いプログラムと同じことに。

XMLとは、どこまで行ってもデータとアプリケーションの間のプロトコルの一つであって、それがYMLであろうがZMLであろうが、標準でありさえすれば何でもかまわないのです。その意味で、セマンティックについても、データに意味を付与するのはタグと言うメタデータではなく、アプリケーションである機能しかあり得ません。ここでアプリケーションを限定的に解釈するのは間違いです。アプリケーションとは、データと言う限られたリソースだけでなく、ソフトウェアを含めた、プログラムを取り巻くありとあらゆるリソースを対象に、そのすべてのリソースの生成と消滅を制御するプログラム全般を指します。

この意味を理解するのにゲームと言うコンテンツアプリケーションを考えると概念がより明確になりますが、休日で少々ヨッパです。とりあえずこのままアップして続きは明朝^^; KAI

September 18, 2005

月は東に日は西に−−シアトル編

本日は中秋の名月。これをシアトル(カークランド)で目撃しました。カークランドのfishcafeで、シアトル湾の黄昏を眺めながら夕食を頂いているちょうどその時、ふっと東の方向を見上げると、大きな大きな十三夜月。まさに月は東に日は西にです。

が、ちょっと待った。何かおかしい。何かおかしい、けれど何がおかしい。そうか、月の形が違う。十三夜月だから満月でないのは当たり前ですが、それでも月の形が違う。どう違うかというと、欠けている部分の輪郭がちょうど丸大根のへたを切ったような形で、普段見ている丸い切り口と丸さかげんが微妙に違う。考えてみれば緯度的には日本で言えば樺太くらいの位置で見ていることになるのだから、当たり前と言えば当たり前のことでした。

ここでなぜか突然、ニュートンの万有引力発見のお話し。

高校時代と予備校の入学式で、二回とも全く同じ内容の話しを、確か京大の小堀憲教授だったと思うのですが、先生から聞かされました。このニュートンの逸話を題材にした話しで、高校生の時聞いた時はふっーんだけでお終いでした。それが、予備校で聞いた時は、やっと理解したその話しの意味のすごさに、その時の情景が今でもありありと筆者の脳裏によみがえってきます。

夕暮れ時、ニュートンは、リンゴ園で思索に耽っていました。まわりが暗くなってそろそろ引き上げようとしたその時、リンゴの実がぼとっと落ちました。これを見たことでニュートンは万有引力を発見したと言われるけれど、それは違うと先生は言ったのです。ニュートンはしょっちゅうリンゴ園で夕方遅くまで思索をしていて、落ちるリンゴは何度も目撃していたのだと。ただ、その日は違っていました。リンゴが落ちた時、そのリンゴのあった東の空に、まん丸の中秋の名月が浮かんでいたと言うのです。

月とすっぽん。同じ丸でもえらい違い。月とリンゴ。同じ丸でも、一方が空に浮かんで一方が落ちる。なんで。この疑問こそ、万有引力の法則の発見につながるのだと先生は教えてくれたのです。これこそ学問を志す者の心得であると教えてくれたのです。大学受験に失敗し追いつめられ、心を閉ざしていた筆者は、この先生のお話で、また夢を目指せと、心を解き放つことができたのでした。

カークランドの十三夜月を見て、この瞬間を思い出しました。 KAI

September 17, 2005

ユーイチ君の料理(4)

タイ・グリーンカレー

この久しぶりのユーイチ君の料理で、一気に幽体離脱からの帰還を果たしました。

実はこの料理、このお店に代々伝わる伝統の料理です。その伝統料理のレシピが今明らかに。ユーイチ君にたのんで教えてもらいました。

まず鍋に油をひいて、弱火でグリーンカレーペーストとえびみそ(えびの内臓)を香りが出るまで炒めます。これに鶏肉を入れ少し炒めて、更に、野菜(なす、タケノコ、シメジ)を加えて炒めます。全体にペーストが絡んだところで、鶏ガラスープを加え、火が通るまで煮込みます。

仕上げに、ココナッツミルク、バイマックル(コブミカンの葉)、砂糖、ナンプラーを加えて、味を調えて器に盛ります。これにピーマン、レッドピーマンの千切り、香菜を上にのせて出来上がり。

このカレーに入っているタケノコは、以前書いた通り、筆者はこれだけで身体がシャキっとなります。なんでこのタケノコがこんなにうまいのか。その上、このカレー味のうま辛さかげん。絶品、絶品、絶品(以下止まらず)。 KAI

September 16, 2005

航空機を設計し作って売って飛ばすまでの気力

帰りの飛行機の席がちょうど窓際で、シアトルから東京まで昼間の飛行であるため、ずっと外を見ていました。景色より気になったのが、飛行機です。飛行機の翼が、離陸のときから微妙に調整され、着陸まで、何度もその様を変化させる景色は、最後の最後まであきさせませんでした。

国内便では毎週のように乗っていてまったく気にならなかったのに、今回なぜか気になるのは、シアトルでボーイング社を訪れたことが原因かもしれません。(ボーイング社はストライキで中に入れませんでしたが)

宇宙飛行士の野口さんが小学校の卒業文集に将来の夢を宇宙パイロットと書いたのと同じように、筆者も小学校の卒業文集にエンジニアとカタカナでかっこよく書きました。そして今筆者はエンジニアになりましたが、まさかソフトウェアのエンジニアを想定していたわけではありません。

エンジニア指向は、母ゆずりです。以前のエントリーで書いた母は、鬼^^;ではなくある意味アーティストです。その母が、ある日小学生である筆者のために、土蔵にしまってあった木製の織機をつぶしてベッドを作ってくれました。そのプロセスのすべてを目撃していた筆者が、母の姿から強烈な印象をうけたことを、今も鮮明に覚えています。

ものを作る楽しさこそエンジニアのすべてです。

今乗っている飛行機を作れと言われれば、才能は別にして、昔の筆者であれば何の躊躇なくとりかかったとことと思います。しかし、今の筆者には、正直言ってこの気力が残っていません。

何百人と言う人の命を預かる飛行機を設計し、完成させるには、やるべきことが山のようにあります。今の筆者には、この「山のように」あることが、手に取るように見えています。若い時はそうではありませんでした。いえ、つい12年前までそうではありませんでした。12年前、データベースエンジンの開発がいかに大変なことか、この12年間でやってきたことを、最初から知っていれば、この開発を自ら手がけることはありませんでした。

知らないと言うことはある意味、幸せです。

知らないからこそやってみたいと言う気力が湧いてくるような気がします。知ってしまうとその大変さばかりが先に立って、チャレンジしようと思わなくなるのは、歳を取った証拠です。哀しいかなこれは認めざるを得ないと思いながら、久しぶりのユーイチ君のマティーニがウマイ。 KAI

September 15, 2005

Bloger標準時とは

これから数時間後にシアトルタコマ空港から帰国の途につきます。こちらは15日の13時、日本時間の16日の朝の5時に飛び立って、15時成田着。実質10時間の機上の人です。ところが日付表示上は、15日の13時に飛び立って16日の15時着ですから、26時間の旅になります。

と言うことでBlog日付(つまりBloger標準時)で行くと、本日15日は、1日飛行機の中で何もレポートすることはありません。以下省略^^; KAI

September 14, 2005

Blogと言う生活空間の実践と実感

恐らく日本人で初めてBlog転職した遅咲きブログ少年のkonnoさんに会った。konnoさんのBlog転職の経緯はこちらにあります。

朝から彼の新しいオフィスにおしかけ、1時間近くいただき、彼と話することができました。第一印象は、以前からkonnoさんのBlogを読んでいて、Blogを通して抱いていたイメージとは多少違っていましたが、話しているうちに、いつのまにかBlog通りの人^^に修正されていくのが不思議な感覚です。

こう言った出会いは、彼の転職もそうですが、Blogによって初めてもたらされるものです。私たちは確実にBlogと言う、そこで生活することができる全く新しい空間、場を手に入れたのだと、今筆者は確信しています。

いつもは地球の反対側でお互いが生活していて、そのつながりは単にBlogだけ。それが、ある日突然、昔からの知人であるかのように会って話をする。これはもちろんBBS時代にもあったことですが、BBSは、単にリアルタイムのコミュニケーション場であって、このBlogの持つ「生活空間」「生活場」と言うBloger中心の場を、持ち合わせていません。

この両者の違いははてしなく大きいと、筆者は考えています。

つまりBlogでは、人はここに「住む」ことが可能です。住んで生活することができます。誰かの家に居候したり、バーのカウンターで隣り合わせの人と話をするような世界ではなく、自分の空間を持つことができます。この空間と空間は、リンク+トラックバックと言う仕掛けでお互いが相互に繋がることができます。この構造こそ情報社会の理想の構造であることは何度か書いていますので、省略しますが、今ここで実感する、この空間の住みやすさ、住み心地よさ、快適さこそ理屈ぬきにこの構造の正しさを証明しています。

konnoさん、今日はありがとう。 KAI

September 13, 2005

幽体離脱だった

いったいこの感覚は、何なんだろうと昨日書きましたが、昨日ホテルに着いた後ベルビューの街を南から北へ散策しながら考え、今もずっと考えていました。

そしてこの感覚が何であるか、やっと思い出しました。幽体離脱感覚です。

思い出したと言うのも、筆者は、中学生から高校生、大学生の途中まで、数年間の間に、数え切れないくらいこの幽体離脱を体験していたからです。毎晩毎晩、自分の寝ている姿を天井から見ているのです。それがいつのまにか見ることがなくなって30年。

今回は、この逆バージョンで、精神から肉体が分離する、いわば“体幽離脱”現象です。精神はあくまで一つであるにもかかわらず、別の肉体(環境)が、同時進行で存在する感覚です。今シアトルにいる肉体が本当の肉体であり、東京にいる肉体はあくまでイリュージョンであることはわかっています。にもかかわらず、こうしてホテルの部屋で文章を書いたり、メールをチェックしていると、自分の肉体が東京にあるかのような錯覚に陥ると言うわけです。

距離がなくなるとはそう言うことだったのか。激しく納得しました。 KAI

September 12, 2005

今週はシアトルから

こんなに簡単に繋がるなんて、なんていい時代になったんでしょう。

月曜は、午前中東京のオフィスで仕事をして、夕方の便でシアトルへ。こちらへ着いても月曜のまま。しかもまだ午前中。ホテルのチェックインまで時間をつぶして、さきほどチェックイン。さっそくLAN接続すると、Wayportと言う有料の接続サービス画面が出てきて、1週間45ドルを選ぶ。これだけ。

メールを含めて、会社の仕事が全部、ブラウザでチェックできるようにしてあるので、この瞬間から、ホテルの部屋が会社のデスクに変身。その上、携帯にも会社の外線からそのままつながるときたもんだから、顔を直接あわせる必要がなければ、東京にいるのと何にも変わらない。

いったいこの感覚は、何なんだろう。と言うわけで、今週はシアトルからレポートを送ります。(時間表示はシアトル時間にしています) KAI

September 10, 2005

ユーイチ君の料理(3)

チャーシュー丼

つい先日、ウェンさんのチャーシューを堪能したとこですが、今回はユーイチ君のチャーシューです。

作り方はウェンさんのチャーシューと同じ(はず)です。はずと言うのも、ユーイチ君からレシピは教えてもらっていませんので、これはあくまでKAIの想像で書くものです。それがまた、推理の楽しみを味わえると言う二重の楽しみになります。

準備がすごい。1.5CMにスライスした豚肉の、一枚一枚に、すりおろしたにんにくをすりこみます。こうすることで、豚肉が香りよくしかもやわらかく仕上がるそうです。これを、合わせ漬け汁(しょうゆ、きび砂糖、紹興酒、ごま油)を入れたボールに、1時間漬け込みます。この漬け汁はあとでそのまま使います。

で、本番。炒め鍋で、サラダ油を熱し、強火で、漬け込んだ肉を一枚一枚裏表焦げ目がつくまで焼きます。この間に出た油はすべて捨てるのがポイント。ここでボールの漬け汁を加えて肉に絡めて炒めます。汁気がなくなって、肉全体に照りがでてきたら出来上がり。お皿にもって、ねぎをのせます。

ウェンさんの作り方はこうですが、今回はこの漬け汁が違います。きび砂糖と紹興酒のかわりに、おそらくしょうが、みりんを使っています。あとは同じなのですが、仕上がりは全然変わってきます。きび砂糖を使っていない分、最後に炒めても照りはでません。

実は、ここがウェンマジックである絡み合わせの技のポイントの部分であり、照りが出るか、出ないかで、味の絡みつき方がまったく異なるものになると言う不思議です。これを筆者はウェンマジックと呼び、更には女性特有の感覚であって、男には絶対に編み出せない技、と言っているわけです。筆者はこれを半世紀生きて初めて発見しました。女は怖い^^;

それはともかく、“男性”版チャーシューも、これまた最高に、絶妙な味に、仕上がっています。女と男の味を交互に味わう楽しみとは。 KAI

September 09, 2005

ジャーナリズムの方向感覚

ITだろうが社会問題だろうが、ジャーナリズムを志す者には、ジャーナリストたるスピリッツが不可欠です。CNETの記事マイクロソフトのウェブ戦略、来週の開発者会議で明らかには、筆者を始めとした、今ゲイツが考えることを知りたい者にとって、きわめて興味深い情報を発信すると言う、ジャーナリズムスピリッツを感じさせる記事です。

ゲイツの問題とは、この以前のエントリーに書いたとおり、マイクロソフトの技術が時代遅れになりつつあると言う事実です。CEOの時代感覚こそ、企業のすべてです。この会議のレポートが、恐らく、あらゆる意味で21世紀の技術動向を支配すると、筆者は今予感しています。 KAI

September 08, 2005

晴れてる時の傘(の使い道)

晴れてる時の傘と言っても、日傘じゃありません。雨のち晴れだしたとたん、雨傘貸してくれるとのことです。あって困るもんでもないし^^;、まあ借りておくことにしましょう。

事業が回り出すとそれはそれで、設備であるとか人の採用とかでF(固定費)がかかります。かといって使ったお金をそのままFに入れられるわけではありません。設備などは、一旦資産(BS)に計上して減価償却分をFにあげます。

ASPサービスにおいては、サーバーが命(のひとつ)です。サーバーも100台規模になってくると、これだけで大変な資産ですが、一方で、これらの管理が重要な仕事になってきます。メンテナンスだけでなく定期的な入れ替えを含めて、計画的に実行していく必要があります。これを1台1台EXCELなんかでやっていては商売になりません。そのためのモデルを開発する必要があります。

今回はその簡易版です。

Re=Rs−DRs+DRs+ARs
Re:期末サーバー台数
Rs:期首サーバー台数
D:サーバー更新率
A:サーバー追加率

期末のサーバー台数は、期首の台数を基準にして、交換する台数分(DRs)の増減は+−ゼロで、新規に追加する台数分(ARs)だけの増加となります。

<ASPセンター:サーバー管理モデル>:
D=0.25
A=0.3
Rs=100[台]
Re=100−0.25×100+0.25×100+0.3×100=100−25+25+30=130[台];

つまり、現在サーバーが100台あるとすると、翌年までに25台を交換し、新たに30台を追加する必要があると言うことです。そうすると1年間に購入しなければいけないサーバーの台数は55台と言うことになります。仮にサーバー1台80万円とすると、4400万円のサーバー購入資金が必要となります。やっぱり雨傘は必要でした。 KAI

ユーイチ君の料理(2)

大根とさばの煮付け

ユーイチ君がすっかり料理の腕を上げました。先日のタイ茶漬けに続いて、今回の煮付け。もう言うことなしと言うことで、ユーイチ君の料理もシリーズ化に昇格。

大根と言えば、ウェンさんの大根とはんぺん、たらこの煮物で登場した大根のやわらかさ。これでしっかりコツを覚えたユーイチ君。今回もメチャウマの大根に仕上がっています。

半年前までの大根の煮付け。しょうゆかげんも、やわらかさかげんも、今回に較べれば月とすっぽん。トーシローでした。それが、ウェンマジックを体得することによって、深い味わいが、しまっていながらやわらかい大根の中身にしみ通って、ビューティフルとさえ言える味です。

さばも、一旦炒め鍋で火を通すことで、煮付けの味がより引き締まり、この食感は、快感です。

創造性とか、才能とか、つべこべ言う前に、まず名人の手本通りに作って、食ってみろってことですね。 KAI

September 07, 2005

ウーウェン氏の料理(40)

北京酢豚

この料理は、以前取り上げた広東酢豚とペアとなる料理です。大好きな炒めものの、p.30。

ここでは北京でポピュラーな肉だけのバージョンをご紹介しますが、パイナップルの入らない酢豚は酢豚じゃない、という読者のために、広東バージョンも次ページで。

とウェンさんがコメントしているように、前回は広東バージョンで、今回が豚肉だけの北京バージョンの酢豚です。これが、またまた秀逸なんです。ポイントはやわらかさ。それもゆるゆるの、やわらかさでなく、ぱりぱりのやわらかさ、です。

筆者は昔から、女のやわらかさと言う快感は24色のクレヨンである、と言う学説^^;を唱えているのですが、ウェンさんの料理はまさにこの学説を立証するものです(キッパリ)。17番目のクレヨンで描かれた豚肉のやわらかさとは。

作り方はきわめてオーソドックス(と言いながらウェンさんのノウハウ満載)。

豚肩ロース肉を、切れ目を入れながら、角切りにしていきます。これに、ボールで、酒、こしょう、塩の順でもみこみ、20分ほどおきます。この肉を片栗粉でまぶして、炒め鍋で中温のサラダ油であげます。このあげる感覚はてんぷらのそれではなく、おおめの油で炒めると言ったほうが、より適切です。

炒め鍋を空にして、合わせ調味料(黒酢、砂糖、塩、酒)を中火で煮立てます。これにさきほどの豚肉を入れ、照りが出る汁気がなくなるまで炒めて、半ずりの白ごまをふり入れてひとまぜして、できあがり。

なんでぱりぱりしているのに、こんなにやわらかいのか。食べれば食べるほど、未知なる世界にミチびかれる料理が、酢豚、です。 KAI

September 06, 2005

バーのビジネスモデル(2)

続いて星条旗通りではどうなるか。

<バーM:ビジネスモデル>:
P=4,500[円/人]
V=900[円/人]
F=900,000[円]
Q(損益分岐点)=250[人];

こちらも、1ヶ月26日とすると1日最低約10人の客が必要と言う計算になります。更にP=4500については、このバーが1階にあり、客の半分以上がカウンター中心であることを考慮すると、一人平均2.5杯、1杯1800円になると言う設定です。Vも原価率(V/P)が20%になりますがPが小さいため致し方ありません。

さて、こう言う「想定」の基で実際にやってみて、Q=250が達成できれば次何をやるか。Q=250に行かなかったらどうするか。

まず達成した場合です。当然、達成できたかどうかの前に、前提とした数字と実際の値のズレをチェックしておく必要があります。Qは達成できてもP<4500円ならPQ(売上)自体目標に行きませんから、当然G<0(赤字)になります。逆にP>4500円なら目標を上回ることになりますが、なぜそうなったのか、事前の想定した条件(一人2.5杯、1杯1800円)まで検証してその要因を確かめます。一人2.5杯と言う条件が違っていたのなら、ではその飲み物の種類ではどの種類が伸びたのか確認します。これがビールなど季節変動を受けやすいもの以外なら、そう言う傾向であるとして、次回の計画値に実績をそのまま採用します。1杯1800円が異なっている場合は、想定していた飲み物の種類別割合が異なっていたと言うことです。こちらも季節変動要因を除外することで、新しい飲み単価(1杯当たりの単価)を採用します。こういった検証作業の上で、Gの最大化に向けた作業、つまりQ↑を目指すことになります。

ここに来て重要な概念が必要になります。それは、新規、リピートと言う概念です。新規とは、その名前の通り初めて来店のお客様であり、リピートとは既存客、すなわち定期的に来店頂けるお客様です。この両者の概念の間には、昔はよく見えていたけれど最近はサッパリとか、2、3年毎に一回と言ったグレーゾーンのお客様がいますが、一度でも来店があったり、グループのお店のお客様は、すべてリピート客の扱いにします。

ここでQ↑を目指すには、新規↑とリピート↑の二種類があって、それぞれ全く異なる戦略をとる必要があります。ただ、これには順序があって、まずリピート↑が先です。つまりこうなります。

<リピート↑>→<新規↑>

これは別名口コミとも言うもので、飲食店の新規客の大半は人に連れられて来店している事実を指すものです。すなわち、既存客が新規客を引っ張って来やすいようにすることこそ、Q↑につながる一大戦略であると言えます。

この戦略から考えると、カウンター中心と言うことが不利です。3名以上のテーブル席が必要であり、またこれに対応できるバーテンダーの人数も必要になります。すなわちF↑です。しかし経営者と言うものは、従業員を増やしてF↑すれば、果たしてそれに見合うPQ(売上)が確保できるか、不安になるものです。だがしかし、それを実行しなければQ↑は望むべくもありません。

戦略とは意志です。明確な意志があれば、おそれず、それを実行していくところにこそ、勝機があります。

ここに書いていることは、ダイレクトマーケティングの基本中の基本の考え方です。実は、バーの経営とはダイレクトマーケティング、そのものだったと言うお話しです。 KAI

September 05, 2005

バーのビジネスモデル

今回は、裏麻布のバーの経営を考えてみましょう。

PQ=VQ+F+G
M=F+G
PQ=VQ+M
Q(損益分岐点)=F/(P−V)
(P:売上単価、Q:売上数量、V:変動費単価、PQ:売上、VQ:変動費、M:付加価値、F:固定費、G:利益)

このモデルを使ってバーのビジネスモデルを記述するとこうなります。

<バーA:ビジネスモデル>:
P=6,000[円/人]
V=900[円/人]
F=1,500,000[円]
Q(損益分岐点)=294[人];

1ヶ月30日営業すると、1日約10人の客が入れば、とんとんになる計算です。もっとも、客単価(P)の6000円と言うのも、原価率15%と言うのも、おまけにFが150万円も、KAIが勝手に設定した金額ですので、実際どうなるかは分かりません。

しかし、ここで注意する必要があるのが、この数字は「予測」の数字ではなく、コントロール可能な「前提」の数字であると言うことです。これを具体的に説明します。

まずF(固定費)ですが、内訳の大きなものは家賃と人件費です。家賃はすでに大家さんとの交渉で決まっていますが、これは開店前の交渉でコントロールできます。人件費とは従業員の給料と、経営者も現場で働くならその給料も含まれます。採用する従業員の人数によって給料も大きくコントロールできます。つまりF=150万円と言う数字は、経営者が自分で決める数字であると言うことです。

次に、P(客単価)です。内訳は1杯の飲み物の単価とテーブルチャージですが、これらを積み上げてもPは出てきません。全く逆で、まずPを最初に決めます。どう言うことかと言えば、客単価とはお店の、想定される客層次第でいかようにもなると言うことです。ある程度お金にゆとりがある客層を相手にするのであれば、P=8000円が目安になります。これに一人平均何杯の飲み物を飲むかを設定して例えば3杯として計算すると、1杯2700円になります。これでは1杯が高くなりすぎますので、例えばテーブルチャージを2000円として計算し直すと、1杯2000円となります。これは単価の高いモルトウイスキーなどを加えることで十分実現可能な単価となります。

つまり、Pを最初に決めて、それからそれぞれビールであるとかカクテル、モルトと言った飲み物の単価を決めて行くわけです。当然それぞれ出る割合と、市場価格を考慮します。今回のP=6000はこの想定からテーブルチャージを除いた単価を想定しています。こう言ったことは、実際は、経験を積んだ経営者がやれば瞬時に弾き出すというわけです。

残るのがV(変動費単価)、つまりお酒の仕入れ価格です。例えばフルーツカクテルのように旬のものを扱ったとたん、Vは跳ね上がります。当然、ここはフルーツカクテルの1杯の単価を上げることで、原価率(V/P)15%を維持するようにします。

こうした想定の基で、実際に営業してみて1ヶ月、2ヶ月の状況を見ながら、設定した前提の数字である一人3杯と言うのと1杯2000円と言う数字を実際の数字で修正を加えます。

その上で、Qが損益分岐点に行くか行かないか、Pがどう言った数字になるかによって、その原因を追及し、P、V、Fそれぞれの中身に手を打っていくのがバーの経営です。 KAI

September 03, 2005

ユーイチ君の料理

タイ茶漬け

不快な気持ちを吹き飛ばしてくれた料理です。いつもいつものウェンさんのレシピでなく、ユーイチ君の得意料理もたまには^^;。

つまみにタイかぶと、と、これまた塩味のきいた、こぶりだけれど、たまらない肴が出てきました。骨のすみずみまでしゃぶりつくして、さてと出てきた料理が、なんと茶漬け。タイ茶漬けです。

すしやでいただくタイのコブジメ、にぎり、いずれも、人がなぜタイを珍重するのか、このところとみに納得するKAIですが、これが茶漬けでとは。

納得、納得(以下数回繰り返し)。ふっーん、こんなんもありね。うますぎ。

なぜタイがうまいか。理由は簡単です。まさに味の真っ向勝負。決してウソをつかない、アブラでごまかさない、ウマミ一本の味です。だから、刺身良し、焼いて良し、煮て良し、湯通し良し。

やるじゃん>ユーイチ君 KAI

ジャーナリズムは死んでしまった

取り上げるのもおぞましい朝日川柳について。

カトリーナに 指令出したと アルカイダ

筆者の主義として、個人の主義思想はこういったバーチャルな世界では取り扱わない、ですが、今回だけは禁を破ります。この怒りをどこにはらせばいいのでしょうか。

朝日は、ジャーナリズムのスピリッツを忘れたのですか。腹が立って腹が立って、なんと言えばいいのやら。安らかな死を>朝日新聞 KAI

September 02, 2005

裏麻布ってご存知ですか(2)

裏麻布「嵐」のパーティに行って来ました。いやー大盛況でした。カウンターの目の高さといい奥行きといい、KAI好みだし、なかなか良い感じになってます。

来てた人たちが皆星条旗通りの方々で、嵐の古くからの人はいなかったのかしらん。お店の名前も内装もそのままに、ただ経営者が替わっただけで、お店がどう変わっていくのか、古い嵐を知らない筆者には少々残念ですが、楽しみです。

筆者の、バーなるものの初体験は、20代で、職場の先輩に連れられていった「クール」です。今は亡くなられた古川緑郎さんのマティーニ、いや、根岸さんか、中村さんか、3人の内のだれかに作ってもらいました。当時はガス台があってオイルサーディンに火を通したものと一緒に呑んだ記憶があります。この時はもちろん先輩のおごりで、1杯いくらか、あまり認識がないまま、1週間ほどして、今度は一人で行きました。テニスの後だったこともあり、かけつけ、マティーニ8杯呑んで、良い調子で、おあいそ。ん?!足りまへん。すかさず冨久子さん『KAI様、今度で結構でございます』。えー、なんでえ?一回行ったきりで、名刺もおかなかったのに自分の名前を覚えてくれている。感激。感激としか言いようがありません。これが、筆者のバー体験の原点であり、今につながるすべてのバーと人のルーツが、クールであり古川さんであり冨久子さんです。

そして最後にたどり着いたバーが、嵐。桜四札の嵐となるか桜吹雪の嵐となるか。ドラマを予感させる一夜でした。 KAI