May 01, 2012

大気の反逆

このところの連続する悲惨な交通事故の原因は、これだと思うのであります。

国立天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームは、太陽観測衛星「ひので」に搭載された可視光・磁場望遠鏡により、太陽極域の磁場観測を定期的に行ってきました。このたび、極域磁場の極性が予想より早く反転しつつあることを世界で初めて捉えました。

現在、太陽活動は極小期を過ぎ、やや上昇してきています。太陽の南北両極の極性は、2013年5月に予想される太陽活動極大期にほぼ同時に反転すると予想されていました。ところが、2012年1月の「ひので」による観測で、予想される時期より約1年早く北極磁場がほぼゼロ近くになっていることが発見されました。現在太陽の北極域では、逆極性の磁場が大規模に消滅しつつあり、太陽の北極磁場がまもなく反転すると予想されます。一方、南極は安定しており、極性反転の兆候がほとんどみられていません。これらの研究成果は、これまでの太陽極域磁場の極性反転過程に対する認識に変更を迫る、極めて重要な結果です。
太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた


この太陽の極反転による磁気異常が、いかなるかたちで地球生命と地球環境自体に影響を与えているのか、きわめて興味深い研究テーマでありますが、まずはその前に、この影響をまず間違いなく受けていると思われるのが、こちらのお話であります。

 ペルー北部の浜辺でペリカンが大量死しているのが見つかり、政府当局は30日までに原因究明に乗り出した。地元メディアによると、見つかった死骸は1200羽以上。同国北部の浜辺では2月以降、死んだイルカ約900頭が相次いで発見されており、原因をめぐり議論になっている。

 当局はウイルスが原因でイルカが大量死したとみて調査を続けており、ペリカンも同種のウイルスに感染したとの見方を示している。一方、環境保護団体は沿岸での石油試掘による振動や大きな音がイルカの死に影響したと主張している。

 ペリカンの死骸は北部の約200キロにわたる海岸に打ち上げられたといい、いずれも死後数日以内とみられる。カツオドリやアシカの死骸も見つかったという。
今度はペリカン大量死 ペルーの浜、イルカに続き


渡り鳥など広域圏を生活範囲とする生物活動において、地磁気がきわめて重要な働きをしていると言うのは、よく知られた事実であります。

イルカの行動圏

イルカの行動範囲は大変広いものです。沖合にいるイルカは一般的に毎日の移動距離も長く、スジイルカ類で平均55km、最高165kmです。イルカは毎日たくさん泳いでいるのですね。

イルカたちには人間のように国境がありません。地図もありません。どうして迷わずにいられるのでしょう。

それは、地球磁場(*)を利用して、自分のいる位置がだいたいわかるからだと言われています。渡り鳥も地球の磁場を利用して、広い空を移動しています。

(*)地球は大きな電磁石のようなものです。磁石の周りには磁力が働きますが、そのような空間を磁場と言います。多くの生物は、地球が持つ磁気(地磁気)を感じることができます。クジラやイルカ、ウミガメなどの海生動物や渡り鳥は、地磁気によって方向を定めて行動しています。コンパスの針が南北をさすのも、地磁気のせいです。私たちもコンパスを使って地磁気で方向を定めていますね。地磁気は、絶えず変化していますが、磁気嵐やオーロラが発生した時は、特に激しく変化します。
イルカはどんな動物なの?


もちろんペリカンも渡り鳥。地磁気異常で、イルカ同様、方向感覚を喪失してしまった末の大量死であります。

これが、人間に対しては、いかなる影響を及ぼしているのか。

Q11.地磁気は生物に影響を与えますか?

A11.

宇宙飛行士が無重力の中で長く生活していると,骨のカルシウムが失われていくそうです。私達の体は環境変化に伴い,思わぬ変化を引き起こすもののようです。
 地球は,地磁気という磁場環境で包まれており,全ての生物はその中で進化してきたわけですから,「何かしら地磁気の影響を受けているはず?」と考えるのは当然です。しかし,人間には見ることも感じることも全くできないものだけに神秘的であり,夢と不安とを抱える課題でもあります。

一口に磁場と言っても,一様に存在する自然磁場(地磁気)と,電磁石のように狭い範囲に非常に強い人工磁場とがあるので区別が必要です。
 特に最近は,病院の検査で使用される核磁気共鳴診断装置(MRI)やリニアモーターカー等,身近にも強い磁場を受ける機会が増え,この問題への関心も高まっています。

自然磁場との関係では,『生態(生活)への関与』と『生体(からだ)への影響』に分かれます。
 『生態への関与』の話には,伝書鳩は磁気嵐の時や磁石を付けられると飛行方向が乱れるということが実験で知られており,「渡り鳥も地磁気を利用しているのでは?」と推測されていたのですが,実際に鳩の頭部から体内磁石−マグネタイトーが発見されるに至り,磁気感覚器官というものは存在すると考えられるようになりました。
 この体内磁石は,ミツバチやイルカ等にも確認されています。中でも,走磁性バクテリアという細菌には体重の2%もの体内磁石があって,地磁気のN極やS極に向かって泳動するという,面白い特徴を持っています。
 このように,地磁気が見えて地磁気と共に生活している生物もいるのです。

『生体への影響』については,病気や体質等いろいろな事象と地磁気活動との対比で調べられています。中には子供の成長や体格等に相関が見られたとの報告もあります。
 数千年数万年単位の話となると,地磁気の変動や逆転が気候変動を招いたり,生物種の変遷や恐竜絶滅の引き金になったと考える人もいます。私達祖先の現世人類(ホモ・サピエンス)や,それ以前の原人発生も,地磁気逆転の時期と一致するという見方も示されています。次回の地磁気逆転の時には,いよいよ私達人間の次の新人類種の登揚となるのでしょうか?
 しかし,このようなセンセーショナルな話は,地磁気だけで説明するには少し無理があるようで,他のいろいろな環境要素や要因に地磁気も関与したと考えるのが一般的です。

人工磁場との関係では,『細胞レベル』と『個体レベル』の話に分けられます。
 『細胞レベル』の話には,磁石を土に挿しておくと根の発育が良くなったとか,枝に磁石を付けておくと果実の糖度が増したといような話もありますが,実際に非常に強い磁場をかけておくと植物の根は異常生長を起こすことが,実験で確かめられています。
 このような強い人工磁場の中での実験では,細胞分裂や細胞呼吸の減少,タンパク質構造の変化,酵素活性化への影響,さらにはDNA合成の抑制,遺伝子暗号エラーの増加等,数多くの結果が報告されています。
 がん細胞の生育抑制や退縮への関与もあるらしく,検査や治療での応用が期待されるものもあります。

『個体レベル』の話には,例えば磁石が肩こりをほぐすという話がありますが,そのメカニズムはよく解っていません。それは,いろいろの要因が重なり合い,同じ条件下での実験が難しく,生命体の適応力や個性の問題も含まれてくるためです。
 よく興味を持たれる,「磁場の精神活動への影響」というような問題も実証するのはさらに難しく,まだまだ謎の多い分野です。
気象庁地磁気観測所


こちらは、気象庁のページからの引用ですが、もう少し踏み込んだ記述があるのが、こちらのページであります。

磁気異常
磁気異常は生物の体内 リズムが不安定となり、さまざまな動物に異常行動が現れることは明らかにされているし、人間においても心臓病や神経病が認められる。人間は磁気を感知する器官をもたないために、磁気環境の乱れに対して無防備同然である。しかし、季節の変わり目には体調を崩しやすいように、理由もなく起こる心身異変は磁気環境の乱れが原因ということもありうる。
第16章 太陽からの磁気と生命体を語ります。


京都祇園の事故をはじめとして、関越自動車道の居眠り運転、およびこのところ報道されている多発する交通事故には、単なる個人の「持病」であるとか、「過労」であるとかの説明では素直に納得することのできない、不可解な事故の連続であります。

これらが、冒頭のお話であります、太陽の極磁場の反転、しかも、通常と異なる位相の反転の影響を受けた、地磁気の異常によってもたらされていると考えると、きわめてすんなりと納得がいくのであります。

そして、この影響をうけやすいのが、一連の事故を起こした加害者とされる方々の「体質」にあったとしたなら、これからいかなる「対策」を講ずるべきか、この「方向性」がまるで違ったものになるのであります。

この考察がもし正しいとしたら、この5月にも、おそらく不可解な交通事故や飛行機事故が続くことになるのでありますが、そうならないことを願うばかりであります。 KAI

投稿者 kai : May 1, 2012 07:58 PM | トラックバック