後半31分に途中交替で入ったハーフナーの、43分ぎりぎりに訪れたこの試合唯一のワンチャンスを、まるでシロート同然のオフサイドがもののみごとなまでにたたきつぶしてしまったのであります。
フォワードの仕事がなんであるか、ハーフナー・マイク、まるで分かってはいないのであります。
フォワードの仕事とは。それはシュートを決めることであります。
そのフォワードが、飛び出したわけでもなく最初からオフサイドの位置に立っているなんて、どう考えても信じられないのであります。ボールが前にくれば、即オフサイド。
オフサイドトラップをかけられたわけでもない。なんでマイク、こんな簡単なこと、わかっていないのでありましょうか。
それにしても、すべてがおそまつ。たとえ、百歩譲ったとしてマイクがオフサイドでなければ、それでも1-1の引き分け。
むしろこの問題こそ、これからザックジャパン、ワールドカップに向けて最終予選を戦う上で、きわめて重要となるのであります。とりあえず、ここでザックの無敗記録が途絶えたことは、これを意図したかいなかにかかわらず、不幸中の幸い、結果的に良かったのではないかといえるのであります。
すなわち、ザックにとってきわめて貴重な経験となったのであります。
おおよそゲームと言うものは、戦う前に勝つか負けるか、イメージできるものなんであります。もちろん負けると思って戦うバカはいない。これを勝てるようにするにはどうすればいいか。
これが今回、ザッケローニにとって、この異様な北朝鮮のスタジアムの情況を含めて、事前にイメージしきれてはいなかった。つまりは、そう言うことなんであります。
たびたび映る、薄くなった頭髪が目立つザックの後姿。これをものの見事に語っていたのであります。
しかし、ザックも「成長」であります。
今回の経験を糧に、必ずや彼が、次回見違えるようなゲームを見せてくれることは、間違いないのであります。
それにしてもであります。
ザックの真骨頂は、イメージ力。
このザックをして、およばなかった「北朝鮮」と言う国家とは、いったいなんなのか。
「ゲーム」ではなく「戦争」と位置づけ、「交流」ではなく4時間の足留めをして「外交交渉」にしてしまう、キチガイ「国家」。もし日本が勝っていたなら、いったいどうなっていたことか。
ザックにとっても、選手にとっても、まことにこれは得がたい経験となったのであります。「恐怖」と言う「経験」であります。 KAI