いまの世の中、表面的なところを見ていると、毎日いろんなことが起こっているように思いがちでありますが、根本のところの動きはそんな複雑でもなんでもないのであります。
いわゆる「大気」の流れでありまして、これを意識することが、「大望」「大志」となって「大気」の流れを変えていくのであります。
考えていただきたいのは、世の流れと言うものは、世の中に沢山の人がいて、この複数の人たちが一緒になって世の中を動かしているかのように、ほとんどの方々は信じているのでありますが、はたしてそうでありましょうか。
いまこの文章をお読みいただいているみなさんは、一人一人で見れば、たった一人の脳の中の世界で起きている事象にすぎないことにお気づきいただきたいのであります。
同様に、いまや、iPhone、iPadが世界を席巻しているのでありますが、元はといえば、スティーブジョブズと言う、たった一人の脳の中でスパークした出来事が発端であったと言う事実は、今回の問題を考える上できわめて重要なポイントとなるのであります。
前置きが長くなりましたが、このGoogleのエリック・シュミットの発言が、これを端的に示しているのであります。
モバイルファースト
シュミット氏 次世代のリーダーはおそらく、モバイル、ローカル、ソーシャルに関わるところから登場するのだと思います。
PCの歴史を振り返ってみると、70年代の半ばにXeroxのPARCで生まれ、もう35年から40年たっています。このプラットフォームでできることはもうやり尽くされてしまったのではないでしょうか。
一方で新しいプラットフォームが登場しています。モバイルです。わたしはいま「モバイルファースト」というメッセージを押し出しています。
というのも、トッププログラマはいまモバイルアプリケーションを優先的に開発しています。これまで、モバイルアプリケーションはあまり興味を引かない分野でした。
しかしいま、モバイルはデベロッパーにとってもっとも面白いプラットフォームになっています。そこにはロケーション、リアルタイム、プレゼンスといった要素があるからです。
モバイルは次世代のプログラマやベンダががこぞって参加するプラットフォームになり、次世代のスタートアップはこのうえに登場するでしょう。
(「スティーブ・ジョブズ氏の功績とモバイルファースト」 エリック・シュミット氏とマーク・ベニオフ氏の対談(後編))
それでは、この「モバイルファースト」の意味とは。
それは、アプリケーションの進化そのものの帰結であり、この進化がオープンプリンシプルにしたがっているまぎれもない証明なんであります。
■CPU+メモリー+ストレージ+通信
これは最適環境のパラメタです。
この4つのパラメタの性能の違いによってその時代の最適環境が生成され、そこに最適解であるアプリケーションが産まれるという概念です。また時間を見て詳説します。 KAI
(最適環境とは−昨日のエントリーの補足)
そして、この最適環境自体が、より人間に近づいてきたのであります。
コンピュータの創世記の時代。コンピュータは神殿のように鎮座し、人はここに詣でて拝礼する。これがPCになり、ネットで繋がってもなお、遠くまで詣でることはなくなったものの、小さな神殿への拝礼は、いまなお続いているのであります。
これを決定的に変えるに至るのが、iPhoneの登場であります。
これはフォンではなくコンピューターであることに、いいかげん気づいて欲しい。
パソコンが何の役にたつかといわれながら世界中を席巻したあと、いまやっとパソコンの後継者が現れた。それはアイフォン。みなフォンを買い求めているのではないことに、いいかげん気づいて欲しい。もちろんスマートフォンでも、まったくありません。
いま表参道に並んだ人たちが求めているのは、間違いなく「モバイルコンピュータ」です。
そうむかし、行列を作って買い求めたパソコンとWindows95と寸分たがわず同じです。
行列を作っている人々は、誰もフォンを買うために並んではいません。みなコンピュータを買うために並んでいるのです。まったく新しいコンピュータ、モバイルコンピュータ。
ザ・モバイル、人々が求めているのは「モバイル」なのです。
(iPhone3G考(2))
では、なぜGoogleはハードウェア会社を買収する必要があったのか。
このヒントこそシュミットの「モバイルファースト」と言う言葉。つまり、モバイルのハードウェア技術者の獲得であります。このハードウェア技術者が、「モバイル」と言う最適環境を作ることができるのであります。
Googleは、モバイルアプリケーションの最適環境自体を、アプリケーションに最適化したものとして再構築に着手したのであります。
そしてこの成果をアンドロイド陣営に無償で供与するわけであります。
マイクロソフトがかつてやったこととは何が違うのか。これは一目瞭然、ご説明するまでもないのであります。
さて、Gmobileの登場を楽しみに待つとしましょう。 KAI