孫正義とは、ずっと毀誉褒貶の人であります。
菅直人首相が意欲を見せる再生エネルギー特別措置法の成立を当て込み、太陽光発電事業への新規参入を目指すソフトバンク社長の孫正義氏(53)。「脱原発」を掲げ、事業化へと邁進(まいしん)するカリスマ経営者に対し、インターネット上で猛然と批判する起業家がいる。国内最大規模のビジネススクールを経営する堀義人氏(49)だ。堀氏は孫氏を「政商」と呼び強く非難。孫氏も堀氏を「原発推進論者ですか」と応酬。旧知の2人は8月5日に1対1の公開討論を行う。
■尊敬から一転
《(孫氏は)「政商」の様に振る舞い、自分が都合が良い方向、日本にとってマイナスな方向に導いている…》《(孫氏が脱原発を叫ぶのは)政商となり補助金を得て儲けたい…》
堀氏が4月以降、短文投稿サイトのツイッターに、孫氏を批判する書き込みを繰り返していたところ、7月に入り、孫氏もツイッターで“反撃”した。
《堀義人さんは、結局の所、原発推進論者ですか。一度トコトン議論しますか?》
堀氏は平成4年、社会人向けのビジネススクールを経営する「グロービス」を設立。現在はベンチャー企業などに投資する400億円のファンドの責任者でもある。自社の教材を執筆する際、自ら孫氏を2度「取材」したこともある間柄。「起業家の先輩として力量を高く評価し敬意を表していた」と語るほどだった。
(「孫氏は政商、マイナスに日本導く」 ソフトバンクの太陽光発電事業参入を批判 旧知の起業家・堀義人氏 ツイッターで応酬、来月公開討論)
最初、パソコン全盛時代を予見して、1981年上新電機のJ&P、1982年ハドソンとのそれぞれ独占契約で、パソコンソフトの「流通」と言うプラットフォームを押さえる。
次が、情報流通のプラットフォームとなっていた展示会と出版の買収。手始めが1994年、ジフデービスの展示会「インターロップ」、そして1995年、当時世界最大のコンピュータ関連見本市「コムデックス」、つづいてコンピュータ関連出版の最大手「ジフデービス」本体を買収。
これをきっかけにして、インターネットに着目、Yahoo!へ出資し、筆頭株主となる。1996年自らYahoo!JAPAN設立し、日本のインターネット検索の「プラットフォーム」を手に入れるのであります。
さてこれからが、現在の孫正義の行動の意味を読み解くヒントになる出来事が続いていくのであります。
Yahoo!JAPAN設立に勢いを得て、メディア王ルパート・マードックの協力でテレ朝の株式を取得、ついに地上波メディアと言う「プラットフォーム」に進出を図るのであります。
しかし、これが既存の利権護持勢力に火をつける結果となるのであります。
激しい朝日新聞の抵抗にあって、あえなく撤退。
2000年、今度は証券および銀行と言うプラットフォームをねらって、ナスダックジャパン開設、あおぞら銀行へ出資するも、2002年ナスダックジャパンはヘラクレスとなって撤退。2003年、あおぞら銀行株式売却。
いずれも既存勢力の抵抗の前でなすすべもなく、撤退。
この中で、奇跡的成功をおさめることになったのが、2001年、Yahoo!BBと言うADSLによるインターネット常時接続サービスであったのであります。
NTTのISDN干渉を理由にした激しい妨害にも負けず、またたくまにADSLは、インターネット接続の「プラットフォーム」へと成長していくのであります。
この「プラットフォーム」の中の「プラットフォーム」、「通信」に活路を見出した孫正義は、莫大な借金をものともせず、2004年、日本テレコム、2006年、ボーダフォンと、たてつづけに通信会社買収を成功させていくのであります。
そして、いま孫正義がねらう「プラットフォーム」が、「電力」。
いままで数々の「プラットフォーム」買収で孫正義が学んだことは、「プラットフォーム」には「正統性」が不可欠であると言うことであります。
ここであらためて「プラットフォーム」を取りに行くことの意味、これを理解することがきわめて重要なんであります。
カリフォルニア州ランチョパロスバーデス発--Googleの会長であるEric Schmidt氏は、「gang of four(4集団)」が現在のテクノロジを支配していると述べた。この4集団とは、Google、Apple、Amazon、Facebookの4社のことだ。
Schmidt氏は米国時間5月31日、当地で開催のD: All Things Digital(D9)カンファレンスで、これらの4社は「プラットフォーム戦略を利用して」消費者と株主の両方に莫大な価値を創造している、と語った。
各社のプラットフォームは、ほかでは利用できないサービス(例えばAmazonの場合、ユーザーの購入したいあらゆるものが1カ所にそろっている)を提供していることに加えて、ほかの企業がそのプラットフォーム上に付加価値を構築しているという。Schmidt氏は4社の価値を合計した数字(同氏は5000億ドル以上だとしている)に言及し、テクノロジ史上前例のない額だと評した。また、4つの企業がこれほど強力で支配的な立場にいるということも前例がない。
Schmidt氏はこれら4社が将来統合するとは考えておらず、長きにわたって権力の座を保持するという確信も抱いていない。1社が失速して、新興企業がそこに割って入る可能性の方が高いだろう。あるいは、この4社以外の企業が権力の座にのし上がるかもしれない。
(グーグルのE・シュミット氏、「4社が今のテクノロジを支配」--D9カンファレンスで)
であるからこそ、既存利権勢力は、これに激しく抵抗する。
そのなかで、大きな成功を収めたのが、Yahoo!BB。初期対応のまずさから膨大な批判を受けながらも、人々が支持したのは、既得権にあぐらをかき不便と高額料金を押し付け、しかもADSL普及に陰湿な妨害をするNTTへの反発にあったことは、まず間違いないのであります。
孫正義は、ここではっきりと、「正統性」と言う「チカラ」の意味を理解したのであります。
日本テレコムも、ボーダフォンも、すべてこの流れの中にあったのであります。「通信」を外国資本に渡すな。この「正統性」がなければ、決してこの巨額の買収はなしえなかった。
「電力」と言う「プラットフォーム」。彼はここに、いかなる「正統性」を見出しているのでありましょうか。
以降は、あくまでKAIの想像でありますが、ここで彼は今回の「正統性」を、完全に見誤っているとしか思えないのであります。
それは、以下の二つのブログをお読みいただければ、より鮮明になるのであります。
そして、この理由もまた、明白なんであります。
この2年間、iPhone、iPadしか使っていないと言う彼が、twitterにかまけて、「光の道」論争にみるように、いかにも「論理思考」ができなくなってしまっているのであります。
これをあらためて言えば、いまのいま「正統性」がどこにあるのか、決して100億ぽっちのはした金では終わらない、みな「家に帰る」こと、これ以外にはないことを、あなたの肝に銘じる以外にはないのであります。 KAI