June 14, 2010

日本の主権が何か問題でも(2)

そこら中、「背理の病」に羅漢している人だらけなのであります。

 アメリカも中国も、どちらもなしではやっていけない貿易立国の日本が、国家主権の確立としての憲法の改正、安保条約破棄、再軍備へ向かうことは、変転する国際情勢の中ではもはや時代遅れであると言わざるをえないとわたしは思う。ヨーロッパ共同体がそのひとつのヒントだろう。地域的な政治・経済共同体が可能になるためには、関係各国が国家の枠組みを超えた機関に主権を譲渡してゆく必要がある。アジア共同体にアメリカが入るかどうかはひとまず措くとして、アメリカも中国も自国の主権を譲渡するという考え方を推進することは難しそうである。
「主権譲渡」その3.最終回


歴史に学ぶことをしようとしないのも、「背理の病」の顕著な症状の一つであります。

ヒントになると仰る、ヨーロッパ共同体。今まさに、この「主権問題」においてこそ、ヨーロッパ共同体そのもののその存立の危機を迎えているのであります。

●ユーロは危機を克服できるのか
さて、鍵を握るのは欧州の対応である。EUは7500億ユーロの基金を積み、ECBが国債を買い入れるという異例の決断で事態の収拾を図ったが、今週のTheEconomist誌(今週号P7参照)によれば、彼らは3つの勘違いをしている。

(1)ドイツの国債空売り規制など、欧州首脳が問題の所在を理解できていない。
(2)みずからの大型対策を過大評価しているが、それは時間稼ぎに過ぎない。
(3)南欧諸国は、財政再建などの本格的な構造改革が避けられない。

問題の規模はけっして大きくはない。ギリシャの経済規模はたかだか3500億ドル。問題の財政赤字も2300億ドル程度と言われる。変な話、ゆうちょ銀行の総資産280兆円を注ぎ込むことができれば、問題は悠々解決してお釣りが来るだろう。とはいえ、それを言い出したら、「サブプライムローンの発行額は小さいから、問題はたいしたことはない」と言っていた2007年夏の再現となってしまう。ギリシャ政府が作った赤字を、肩代わりしてくれる物好きはこの世に存在しない。IMFも資金を貸すことはできるが、赤字を消せるわけではない。最後はギリシャ人が自分たちで借金を返さなければならないのである。
現状は、ユーロという通貨が抱えていた本質的な欠陥が露呈したことを意味している。
哀しいかなEU内には、この問題を解決するメカニズムがない。ギリシャ政府は確かに悪質だった。財政赤字が対GDP比で13%もあったのに、6%だと偽っていた。しかるにEUには、各国政府の財政状況をサーベイする機能もないのである。
ギリシャ側にも同情すべき点がある。スペインなどの住宅バブル対策により、ECBはユーロの金利を高めに誘導した。当然、為替レートも強くなってくる。ギリシャのように競争力の弱い国では、自国経済を守るために財政エンジンをふかすほかはない。つまり「財政・金融・為替」という3つのマクロ経済政策のうち、ユーロ加盟国は金融と為替という2つの政策手段を手放すことになる
その上で財政も健全に維持せよと迫るのは、”PIIGS”経済にとってはある意味、イジメのようなものであろう。「お前たちもドイツのようになれ」と言われるのは、観光産業と海運業が頼りのギリシャ経済にとっては過酷な要求であろう。しかも、そのドイツ企業がEU内を席巻しているのが現状ではないか。域内の経済を一定水準に収斂させるには、まだまだユーロの歴史は浅過ぎるのである。
それではギリシャ財政危機はどうすれば解決できるのか。ロゴフ教授が言うように、「ギリシャを一時的にユーロから離脱させ、本格リストラした上で再加入させる」といった果断な措置を取る必要があるだろう。もちろん他国に問題が波及する前に完了させなければならず、それはかなり困難な作業と言わざるを得ない。

そもそもユーロに関する法体系には「出口」が用意されていない。最近、5年ぶりに文庫化された『通貨燃ゆ』(谷口智彦/日経ビジネス人文庫)の表現を借りるならば、ユーロとは「一度入れば永遠で、『足抜け』することを全く想定していない制度」であり、いわば平和条約に似ている。「平和条約が破られるときとは、平時が終わるときであり、システムが道連れにされるときである」(P212)からだ。
特集:再考・金融危機と財政危機


ギリシャの苦境は、哀しきかな、「金融」と「為替」と言う主権を手放した結果であります。

軽々しくも「主権譲渡」などとは、言葉遊びも甚だしいのであります。「金融」と「為替」と言う主権でさえ、これを手放すことの意味とその重大さは、尋常なるものではないのであります。

翻って言えば、日本の「主権」の中の、いったいいかなる「主権」が米国にあると言うのでありましょうか。公論として論ずる以上は、ここは明確なる説明責任があると思われますが、当然のように説明は不可能なのであります。なにせ「ニッポン属国論」とは、端から<「主権」が米国にある>ことをアプリオリとしているんですから、これは説明しようがないのであります。

と言うことで、もう少し建設的な議論にしたいと思っているけれど、まもなくW杯、カメルーン戦。続きはのちほど、また。 KAI

投稿者 kai : June 14, 2010 08:02 PM | トラックバック
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Posted by: insgvqvuvk : April 27, 2012 09:46 PM
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