誰も悪くないのに、結果が出ないことは、よくあること。
開幕からの好調がウソのように5月に入ってから失速し、例年どおり最下位へ向かうか、それともここで踏ん張れるか前半の正念場となっているマリナーズ。負け始めると必ず矢面に立たされるのがイチロー外野手(35)で、シアトルではまたぞろ不要説や打順3番繰り上げ説など周辺が騒がしくなっている。
「イチローの打撃がまずいわけではない。何か足りないわけでもない。ただチームが彼に変化を求めているだけだ」とイチローのチームでの存在に改めて疑問を投げかけるのは、地元紙シアトルタイムズの元記者で、ベテランスポーツジャーナリストのボブ・シャーウイン氏。
(中略)
今季マリナーズは開幕から6勝2敗で首位として好スタートを切ったが、胃潰瘍で出遅れたイチローが復帰してから10勝14敗と負け越している。例年だと5月には負けがこみ、球宴前に事実上のシーズンが終わる戦いを続けている。
(いない方がマシ…チーム失速にイチロー“不要論”)
故障者リストから復帰した途端、チームの負けがこみだすとは、マリナーズファンならずとも、イチローに一言いいたくなるのは致し方ありません。
KAIも数年前、シアトルのセイフィコ球場で、試合前から率先してトレーニングをするイチローを目の前で観たのをよく覚えています。しかし、なぜかこの試合で、先日のWBCで見せたようなイチローの存在感がまるで感じられなかったのが、いま思えば不思議でなりません。
そもそも、この「イチローの存在感」こそ、マリナーズの勝てない問題の表と裏の関係であるとKAIはかねてより考えているのですが、それは何か。
勝てるチームには必ずヒーローがいる。ヒーローとは、ヒーローであってスターではない。しかもヒーローは一人ではない。ヒーローは、たいていシーズン中に交替しながら、チームのムードメーカーになって勝ちを積み重ねて、優勝へ突き進んでいく。(毎試合のヒーローインタビューをイメージしていただければわかりやすい)
では、イチローにヒーローを期待できるかといえばそれはできない。彼は、スパースターであっても、ヒーローにはなれない。
なぜか。ヒーローはチームあってのヒーローであり、チームが求めないヒーローはありえないからです。残念ながらいまのマリナーズと言うチームは、スーパースターのイチローをヒーローとして受け入れるだけのキャパシティを持ち合わせてはいないのです。
ですから、イチローのヒーローとしての存在感が増せば増すほど、チームとしてのチームワークを失くしていく悪循環に陥っていると言うわけです。
これを解決する方法は2つ。イチローの移籍か、あるいは他のヒーローの入団かです。
前者をなぜイチローが選択してこなかったか。これも興味深いテーマですが、長くなるので後回しにして、後者の方法。まさに資金に乏しいマリナーズならではの悩みであったわけです。もちろんいままで引っ張ってきているけれど、イチローの存在に見合うものではなかった。ただこれだけのことです。
では誰がいいか。KAIはまるでMLBの選手には詳しくないのでなにもいえませんが、阪神の金本みたいな選手が、いまのマリナーズにはどうしても必要です。
金本の阪神移籍以前に阪神の監督をしていた野村克也は、著書で「金本の獲得でタイガースは大きく変わった」「今のプロ野球界で本当にチームリーダーと呼べる存在なのは金本だけ」と金本のことを高く評価している。
(金本知憲、Wikipedia)
イチローではない、新たなマリナーズのチームリーダーだけが、イチローをヒーローに変え、マリナーズを勝てるチームに変えていくことができると、KAIは思います。 KAI