言葉は力だと、つくづく思う。
建築家・安藤忠雄さんの言葉です。
「それがスタートですからね。いまでも、手にいっぱい傷があったりして、懸命に働いていることが伝わってくる人を私は信じています」
未曽有の経済危機は、日本のものづくりの現場にも深刻なダメージを及ぼしているが、「悪くなって当たり前ですよ」と安藤はいう。まじめに打ち込むことが評価されない。利己的で功利的で…どうも地に足がついていない。「いま当たり前になっているそんな意識を正さなければ未来はない」と言い切る。
「ものづくりは、お金づくりではないんです」
仕事の大小は関係ない。予算の制約など難関はあっても、乗り越えることはできる。「条件が悪いから仕事を辞めるというなら、私はとっくに引退してますよ」
振り返れば、あの時代には、自分のことだけではなく、人々のために何かをしなければという意識があったようにも感じる。
「仕事を通じて社会に何ができるかを考え続けなければいけないと思うんです。この考えは40年間変わりません」
(産経新聞、人、瞬間(ひととき)あの時代 建築家 安藤忠雄さん(67)、原風景は職人の働く姿、藤原由梨、2009/2/19、p.13)
なんとも素晴らしい言葉です。そしてこれを40年続けてきた。40年と一言でいいますが、40年とは、普通に就職して普通に定年を迎えるまでの、人生人が働いている全歳月です。
この全歳月を通して、社会に何が出来るかと、考え続ける。
人がなにものかを成し遂げるとは、この強い思いがあってのこと。故にいかなる困難も乗り越えることが出来る。そう、仕事を与えてくれた社会(天地人)の恵みに報いるために。
そしてこれを言葉として持てる者にのみ、成功の女神は微笑むんだと言うこと。真に納得のいく話ではありませんか。 KAI