初めての子どもの名前は、「遥」。長女、「はるか」と読む。
生まれて初めての海外旅行を経験した31歳の年に、長女は生まれた。
アメリカ西海岸、歴史に残るウエストコーストコンピュータフェア(WCCF)への参加です。KAIにとってこの海外旅行ほど、これ以降の後半の人生に決定的な影響を与えた出来事は、ありません。
往復の飛行機の中、創業間もないマイクロソフト、WCCFの中のリサとイネイブル、夢と消えたデジタルリサーチ社、平屋社屋のアップル社、スタンフォード、UCLA、ボナベンチャーのジャックダニエル、そしてハワイの国際交流センターでの講義。10日間の人生初体験は、身体のはしからはしまで鳥肌の立つほどの、刺激的な体験だったのです。
当然のように、その年に生まれた娘に、この体験の思いを象徴する名前、「遥」と命名したのです。KAIにとって未来に繋がる遥か永遠の旅であったのです。
そして長男が、「量宇」。これを「かずたか」と読みます。
当時勤めていた会社が急成長し、社員が500人規模に。この1/3の社員を弱冠30そこらの男が統轄していたのでした。毎日が戦争の中で、人は器量が宇宙のような男になってほしいと思ったのです。しかしこの名前を、宇宙を量ると読んだ先輩がいた。なるほど、人の器量とはその量る対象の大きさこそ、意味があることに気づいた一瞬です。
次男の名前が、「有大」。これを最初長男にならって「ありひろ」と読ませようとしたらカミさんに強行に反対される。これがよかった。そのまま「ゆうだい」となる。
3人目にしてやっと、名前らしい名前を付けることができた。
大きく有る。
これからの人生、この父の思いを、真正面に受け止めてほしい。人生とは、すなわちジブンセイ自分で生きることです。ひたすら自分の生きる意味を見出すことです。
まだしばらくは支えることはできるけれど、それももうあまり期待できないかもしれない。
しかしつくづく人生とは、面白い。その面白さこそが、お前たちの名前に中に込められた意味です。父より長く生きれ。ただただそれを願います。 KAI