結構古い本ですが、久しぶりにめちゃ面白い本に出会いました。
finalventの日記のコメントの中で紹介されていた安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方(中公新書、山岸俊男、1999/6/25)と言う本です。
さっそくアマゾンで注文したら幸い在庫ありで、翌日到着。4日かけて読破。中公新書でこれだけ時間がかかるのも、わけがあります。縦書きの文庫本ながら、中身は精緻な論理で構成された学術論文のダイジェスト版。
いいですねえ、こう言う本って。大好きデス。
安心と信頼と言う二つのキーワードを手がかりに、耐震偽装や食品偽装に始まる今の日本社会の安心崩壊を、見事に予言し、その解決のための手がかりとなる指針を示すきわめて秀逸な良書です。
社会的不確実性を排除した社会によって担保されてきた、安心。社会的不確実性を前提にした社会においてこの不確実性を乗り越えるための、信頼。関係性検知能力に依拠した安心社会ではなく、人間性検知能力に裏打ちされた信頼社会。
いみじくも2008年現在、ブログやフェイスブックの登場は、この人間性検知能力に直結していて、ブログやフェイスブックを通して、人間関係における社会的不確実性、すなわち互いの情報格差が最小化され、透明性の高い社会に向けた動きが加速されようとしているのです。
閉じた社会によって社会的不確実性を排除し維持してきた安心社会は、今やこのインターネットによる開かれた社会と言う競争世界にさらされることで、安心崩壊の危機に瀕しており、これを透明性の高い社会に再構築することで、社会の中に信頼を取り戻すことができるのだと、山岸俊男は言うのです。
すべて納得であります。 KAI