創造的な仕事は、何か特別な環境で生まれるんだと勘違いしがちですが、まるで逆で日常のルーチンの繰り返しの中にこそ創造性を育む環境は、あります。
そう言う意味で、今朝の産経新聞のコラム「わたしの失敗」は全文引用したいくらい示唆に富む内容の記事です。
千住が大きな壁を乗り越えられた理由は、もうひとつあるという。
「東京芸大時代に担任だった(日本画家の)平山郁夫先生から『どんなに描けなくても、毎日決まった時間にアトリエに入る癖をつけなさい』と言われたのです」。以来、どんなスランプの時も、朝早くアトリエに入り、にかわで絵の具を溶き、筆を並べ、絵を描く準備だけは続けてきたという。
「千年残る仕事」に萎縮(産経新聞、わたしの失敗 日本画家・京都造形芸術大学長千住博さん(49)、2007/8/21、p.17)
「あの時、ふと心が楽になって描こうと思った瞬間、手元に筆がなければ、絵の具がなければ、絶対的なチャンスを逃していたかもしれない。襖絵は完成しなかったかもしれない」
こうして2004年春、6年の歳月を掛けた襖絵77枚が、聚光院別院に奉納されました。これをKAIはNHKの番組で見た記憶がありますが、それは壮大なものでした。
サブジェクトにあげた「日常が生み出す創造性」の日常を日課に置き換えても同じ意味です。この千住博の日課の中からアイデア、構想が生まれ、淡々とした6年間にも渡る日課の中から77枚もの壮大な襖絵が生み出されていったわけです。
ミケランジェロやゴッホなどを描いた映画の中で、よく作品の制作に没頭する場面が出てきますが、もちろん没頭していることには違いがないのでしょうが、描かれるほどにくらべればもっと淡々としたもののように思います。
これは芸術に限らず、ビジネスにおける現場の仕事にも共通する話だと思うのですが、今ハイタイド。なぜか突然これから出かける話になってしまいました。と言うことで続きは明日また。 KAI