NHKはこの鬼監督の似合わない笑顔をしっかり映していた。
準々決勝、大垣日大はスクイズの場面。これをし損じてキャッチャーフライに。幸いこれは捕球されず命拾いする。ここでバッターは鬼監督のサインを見る。鬼監督こと阪口慶三は、このとき古巣東邦高監督時代の甲子園準決勝の場面を思い出していた。
まったく同じ場面で、鬼監督は選手をコワイ顔で睨みつけた。萎縮した選手はショートゴロであえなく敗退。
ここは選手を萎縮させてはいけない。似合わない満面の笑みと両手で大きくオーケーを描いた。結果は左中間を破る二塁打。高校野球の真髄、ここにありです。
この映像が目に残っていたせいか、準決勝の帝京戦で、今度は帝京の監督と選手の間のまったく同じ場面を目撃することに。しかし帝京監督の顔は、大垣日大ではなく東邦高監督の顔であり、結果も同じく内野ゴロでした。
ここでヒットを打っていれば、間違いなく決勝進出は帝京でした。勝負とは不思議なものです。
そしてもう一つの不思議。
スポーツライター田尻賢誉の大垣日大を上位に導く伝家の宝刀と言うレポートの中の一節。
実は、都城泉ケ丘高と同じ作戦を取った学校がある。昨年の秋季東海大会準決勝で大垣日大高と当たった常葉菊川高だ。同じようにベース寄りに立って外のスライダーを見極めようとしたが、結果は都城泉ケ丘高と同じだった。
では、なぜ常葉菊川高は勝てたのか(4対0)。それは途中から立ち位置を変更したから。中盤からは逆にベースから離れて立った。離れたために、外の球は通常より遠く見える。これで逆にボールになるスライダーを見送れるようになった。この試合、森田は7四球。外を見極められれば、ストライクゾーンで勝負せざるをえない。そこを常葉菊川高打線は見逃さなかった。
すでに決勝戦の前哨戦は昨年の秋に始まっていたのでした。
そしてこの田尻のレポートは3/30付け。KAIはこれを決勝戦の結果が出た今初めて読みました。
昼間観た常葉菊川高のバッティングとは、なるほどそう言う意味があったのかと納得し、スポーツライター田尻賢誉の他の書き物を読んでみたくなりました。 KAI