<代理出産>向井亜紀さんの双子、最高裁が実子とは認めず。この判決に義憤にかられる人もおありかと思いますが、KAIはむしろよかったと思っています。
それは最高裁がなんといおうとすでに向井夫婦には実子を授かったのですから、これを考えれば、あとは養子にでもなんでもすればいいだけだからです。
つまり世の中こんなかたちでも実子を得ることができない夫婦がごまんといます。
その人たちからすれば、実子を得るわ、法的にも認められるわであれば、では私たちもとはいきません。そんなお金はどこにもないからです。
法の裁きがお金があれば有利に働くならば(実際はこれは大きな事実なのですが)、誰も法に謙虚に従う気持ちにはなれません。
この代理出産を認める法制化の遅れを指摘する声もありますが、この遅れは必ずしもこの動きに同意できない世間の意志の表れだと、KAIは思います。
そしてもう一つの判決。ホリエモンの実刑判決について。
いまひとつこの実刑の意味が理解できないでいたら、その本質を解説するすぐれた文章に出会いました。
3/20付け産経新聞正論、早稲田大学法学部長上村達男氏の「罪を問えない3つの巨悪が本質」がそれで、やっと実刑の意味がわかった。
わかったけれど、それではKAIは納得いかない。
まずは彼の論点を抜粋すると。
強い口調で被告を批判し、実刑判決を下した背景には、こうした粉飾に至る巨悪への認識があると思われる。
第1の巨悪は「上げの操作」であり、株式の1万分割を行うことで株券の印刷が間に合わない状況を意図的に作り、一般投資家が参加しえない市場を作り、その中で自分たちだけは自社株を大量に取得して利益を得ようとし、それを実行した。
第2の巨悪は「下げの操作」であり、下方修正条項付き転換社債(MSCB)を、貸株つきで発行するという行為である。株価が下がっても損しないMSCBと、株価を下げる「売り」のための貸株を組み合わせることで、あらかじめ売り投資をしておけば必ず儲かるからくりを証券会社に提供し、800億円の資金を手に入れた。
第3が、この資金を使ってニッポン放送株を買う際に、市場外取引であるトストネット取引を利用して、本来は強制されるはずの公開買い付け(TOB)を潜脱した違法である。
では日本は巨悪を巨悪として摘発できない国なのか。残念ながらイエスというほかはない。明日は違法だが今日は合法という法運用は、法が現在進行形で機能しないことを意味する。
そこで最後の砦として検察が出てくると、必ず勝たねばならない組織であるために、また専門性の乏しい裁判官が理解しやすいように、有価証券報告書虚偽記載やインサイダー取引といった分かりやすい罪名を使う。
ライブドアが行った類の行為は、この世界のエリートが考案し、実施してきたのだが、彼らは周囲を見回しながらこそこそやる。これを堂々とやってつかまったのが堀江被告、という面があることは否定できない。
この巨悪の認識がホリエモンにあったかなかったかと問えば、なかったとしか答えようがないけれど、裁判官はこの認識を強く求めていると言うことです。
しかし上村教授も指摘している通り「今日は合法」であったわけです。にもかかわらず直接かかわらない罪状の判決に、これを求めることは、被告にとって到底受け入れることのできないものであると言わざるを得ません。
生き物である現実と、これに追いつけない法との間にあって、この法の厳格な運用か融通無碍か、答えはあきらかです。
現在進行形で機能する「規制」法を
と上村教授は訴えている通り、これは「運用」の問題ではなく「法」そのものの問題です。
代理出産を世間が認めた時に、その「法」が生まれればいいだけです。 KAI