テニス三昧の正月三が日も終わり、今日から仕事初め。
仕事初めはまず、昨年書いた勘違いしないための指針の中の宿題から。
アプリケーションのユーザーに最も近いのがインターフェイスです。インターフェイスの本質はすなわち「アプリケーションの形」そのものです。これがWeb2.0によって世界中集合的にコードとして開発される。この世界規模こそ高度化アプリケーションの実相であるわけです。
そしてこのインターフェイス。これは、とりあえず次回に。
このインターフェイスがアプリケーションであることを的確に記述したエントリーが、グッドタイミングであがっています。CNETのBlog中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイルのエントリー「IPTV Service Architecture(FG IPTV-ID-0094)」に対するフィードバックがそれです。
より「サービス指向」なアーキテクチャは、端末側には「User Agent」というソフトウェアだけを置いておき、実際のユーザーインターフェイスそのものはサーバー側から送る、というアーキテクチャである(ちなみに、オンデマンド・TV社の端末はUIEngineを「User Agent」として採用したこのアーキテクチャで作られている)。
こうしておけば、ユーザーがどんな端末を使っていてもサービス・プロバイダー独自のUIを表示することができるし、ユーザーの反応を観察して徐々に使い勝手を良くしたり、新しいサービスを後から追加したりと、より柔軟な顧客サービスを展開することが可能になる。サービス・プロバイダー間の戦いも、単なる品揃えと値段だけの消耗戦ではなく、「使い勝手」や「おもてなし」での差別化が可能になる点が、単にメタデータだけを送る場合と大きく異なる。
ウェブ・サービス・ビジネスでリーダーシップをとっているAmazonやGoogleが何をしているかを注意深く観察すれば、デバイスがネットに繋がってくると、ユーザー・インターフェイスはデバイスの顔ではなく、サービスの顔になってくることは、火を見るよりも明らかだ。「EPG・ECGのデータをメタデータとして取得して端末独自のUIでそれを表示させる」というアーキテクチャがいかにこれからの時代にふさわしくないかを認識した上で、ぜひとももう一度考え直していただきたい。こんなアーキテクチャのままでは、IPTV市場そのものの立ち上がりが危うくなるし、end-to-endでサービスからUIまでのすべてをコントロールできるAppleやMicrosoftとは戦えない。
えらい長い引用になりましたが、要はユーザーインターフェイスもアプリケーションの一部としてサービスプロバイダーがコントロールできなければ、これはアプリケーションの進化にもろに逆行するアーキテクチャであるってことです。
このアプリケーションの進化とはすなわち、ソフトウェアの階層化・多層化がユーザーインターフェイス層と言うあらたなアプリケーション層を生み出すに至っていると言うことであります。
従来のユーザーインターフェイスとは、アプリケーション層の最下層にあるOSが提供するインターフェイス機能を利用して実現されたものでした。これがAjax(エイジャックス)と呼ばれるWebやJavaScriptと言う言語技術によって、アプリケーションから独立したユーザーインターフェイス専用のソフトウェア階層であるアプリケーション層が出現したのです。
ソフトウェアの階層化のメリットとは、互いの層が独立していることによるユーザーインターフェイスの共通化であり、より優れたインターフェイスを提供できるサービスへと市場が拡がっていくことです。
このより優れたインターフェイスとより強力な基幹のアプリケーションとの組み合わせで提供されるオンラインサービスこそ、ソフトセクターのアセットとなります。2007年は、これに向けて大きく歩みを進める1年となることは、間違いありません。 KAI