昨晩の夢株式会社合同の忘年会も無事(といってもあんまり無事でもなかったけど^^;)終了し、いよいよ来年にむけて私たちの針路を、あらためて明確にしておく必要を、今強く感じます。
KAIの思想の底流にあるのは、アプリケーションにこそアセット、付加価値があると言う信念、いえ真実です。世の中Web2.0一色で、ソフトウェアはコモディティ化して価値がないなどという蒙昧がまかり通る世の中です。
ちょうどタイミングよくWeb2.0のティム・オライリーへのインタビュー記事がITProに載っています。
――Web 2.0の着想には,どのようにしてたどり着いたのか?
私はWeb 2.0に関する論文を書く前から,オープンソース化によるパラダイム・シフトについてずっと考えてきた。その過程でパーソナル・コンピュータ時代とインターネット時代の類似点を引き出した。そのうち最も重要な点は,「人々は古いパラダイムから逃れられない」ということだ。例えば,かつてのIBMは「自分たちはハードウエア企業であり,ハードウエアを作る企業が業界の中心である」と考えていた。しかしパソコンの普及によってハードウエアが標準化されると,業界の中心はソフトウエアに移行した。それを理解できなかったIBMは,主役の座をマイクロソフトに譲り渡してしまった。
それと全く同じパターンが今,繰り返されていると私は思った。オープンソースとインターネットはソフトウエアをコモディティ化し,その結果,「価値」が別のものに移行した。問題はそれが何かということだ。私は当初,それを「infoware」と呼んでいた。infowareは一連の概念だ。まず何か新しい大規模なデータベースを伴ったアプリケーションが存在し,それは集合知(collective intelligence)を生かすことによって,より多くの人々が使うほどシステムが改良されていくというものだ。
(ティム・オライリー氏への最新独占インタビュー,「Second Life」「RMT」を語る)
ここで「オープンソースとインターネットはソフトウエアをコモディティ化し」といっている「ソフトウェア」と、後段の「何か新しい大規模なデータベースを伴ったアプリケーションが存在し,それは集合知(collective intelligence)を生かすことによって,より多くの人々が使うほどシステムが改良されていく」にある「アプリケーション」や「システム」とは、どちらもソフトウェアであることに注意する必要があります。
つまり今現在のソフトウェアの実体は、「ソフトウェア」と言う一層で構成されているのではなく何層にも多層化、階層化されていて、オライリーがコモディティ化したと言う「ソフトウェア」は、もっともハードウェアに近い最下層から二つか三つの層のソフトウェアにすぎません。
より人間に近い層のソフトウェアすなわち「アプリケーション」に「価値」が移ってきていると言うのが、オライリーの言葉の本来の意味であるのです。
そしてここで重要なことが「アプリケーションの形」です。Web2.0とはこの「アプリケーションの形」の中で、そのうちの一つであると言う概念です。インターネットに接続された人たちの集合された無数の「巨大な手」によって試行錯誤の末に生み出される「巨大なコード」からなるアプリケーションの集合こそ、このWeb2.0であるわけです。
このことをKAIは、従来から高度化アプリケーションと呼んできています。ソフトウェアのアセットがこの高度化アプリケーションの中にあると言う認識が、今の状況の理解に不可欠であるのです。
もちろんこれは直接的に「コード量」の問題であるわけですが、ソフトウェアの各層のどの層のコード量かによって意味が違ってきます。
アプリケーションのユーザーに最も近いのがインターフェイスです。インターフェイスの本質はすなわち「アプリケーションの形」そのものです。これがWeb2.0によって世界中集合的にコードとして開発される。この世界規模こそ高度化アプリケーションの実相であるわけです。
そしてこのインターフェイス。これは、とりあえず次回に。 KAI
久しぶりのコメントです。
つたない理解力のメモです。
この状況はパソコン(マイコン)がでて、OS(オペレーティングシステム)としてのDOS等々が出てきたときと似たような状況ですか。あの時もBIOSに近いところを各々がガリガリ書いていましたが、OSが出て汎用化したことにより、I/Oの操作技術よりその上のアプリケーションが
価値をもって現在にいたっているような気がします。
松島好則さん、遅くなりましたがコメントありがとう。
おっしゃるとおりの状況です。
ただ今回はアプリケーションの「形状」という新たな次元での進化が、まるで今までのソフトウェアとは違う形状のソフトウェアが表出しだしています。
これはソフトウェア技術者自身が、アセットを要求される時代に移っているわけですから、アプリケーションプロフェッショナルとしての地位を、いかに自らの手で獲得するか、この一点しか解決の道はないと思います。