ユーザーインターフェイスの議論の着地点は難しい。
私たちのASPサービスのユーザーインターフェイスも、すべて筆者が設計しましたが、これに対して、従来からの業務系アプリケーションのユーザーも、最近のWeb系アプリケーションのユーザーも、最初は皆ビックリします。なぜなら、ユーザーの誰もがかつて体験したことのない、初めてのインターフェイスだからです。この驚きの後、ユーザーの内心が求めるものと違えばユーザーはネガティブに反応し、反対に何か新しい発見をしたユーザーは、前向きに反応し、やがてこの新しいインターフェイスを受け入れていきます。
この前者の反応をするユーザーを類型化することは、容易です。誰でも求めるものと与えられるものが違えばとまどいます。しかし、求めるものが、常に正しく求めるものであるとは限りません。知らないが故に間違ったものを求めることは、よくあることです。古くは、テレビの中に映画の厳粛さを求めたように、近くはメールの中に手紙の作法を求めたように、です。
つまりユーザーインターフェイスの議論の本質とは、この「求めるもの」と言う価値観と「与えるもの」と言う価値観の、マッチングでありミスマッチングであります。すなわち価値観同士の問題であれば、どちらの価値観が正しくてどちらの価値観が正しくないと言う決着は、永遠につきません。ミスマッチングなら単に相手の価値観に譲歩するだけです。互いの妥協はあり得ません。
故にインターフェイスの議論の着地点は難しい。
しかし、時代が映画からテレビへと、手紙からメールへと、大きく移っていったように、人の価値観はやがて変化します。モニターの中の世界が日常になればなるほど、この価値観の変化は加速します。その先にある価値観が見えているかどうか、すべてのキーポイントがここにあります。 KAI