角川春樹、いいじゃん。日経ビジネス連載TV WARS「角川春樹、奇才の『破壊と創造』」連動インタビューから。
▼サラリーマンやバンカーに文化が作れるか
――言葉は悪いですが、クリエーターは狂気と紙一重というか…。
角川 そうだよ。長渕が私に「兄貴、いつの時代も文化って不良が作ってきたよね」って言うんだ。サラリーマンやバンカーが作ってきたわけじゃないんですよ。ましてやホリエモンとかね。ITのそんな連中は文化とは関係ないんだからね。
――刑務所に入った経験は、ご自身にとっては良かったんですか。
角川 良かった。私にとって、個人的にはね。12年間の法廷闘争ですべてを失ってしまう、お金もね。そして、戻ってきて、さてこれからが勝負だと。それで、大和のクランクアップ会見で「21世紀は角川春樹の時代だと思う」と言ったんです。
あの発言を聞いた人は、単に大和のことだと思っているんだろうね。私の本当の戦略をまだ分かってない。
――1つの映画のことだけを指しているわけではない。
角川 だって大和だけが成功したって、私の時代にはなりませんよ。
私は病気を治したり、いろんなことができるんだよね。それを使って、宗教を必要としない時代に持っていこうとしている。人間は幸せになったり、仕事がうまくいったり、病気が治れば宗教は必要ないではないかと。私自身は刑務所でもっと先のレベルに行ったんだよ。
――どういうことですか。
角川 生き方として生涯不良と言い出したんですよ。人間は何のために生まれてきたかという根本的なことが宗教も哲学も分かっていない。人間は楽しむために生まれてきた。これしかない。それを私は刑務所の中で分かったからね。
――病気を治すこと以外に、どんなことができるのですか。
角川 この間までは、日本の地震を止めることに命を懸けていた。それで止めたんだよ。
▼地震、台風、日本文化のためなら命も捨てる
――いつ?
角川 昨年の7月7日です。止めるだけの能力を持っているからね。だからサイバー戦争になった時に、最も大きな力を発揮するのは私だろうね。荒唐無稽に聞こえるかもしれないけど、一つひとつ実績がある。この前の台風も東京を直撃するというので、迂回させたんだ。それで静岡を通って千葉に抜けた。
――地震を止めるというのは、どういう作業になるんですか。
角川 私の独特のやり方なんだ。45分ぐらいかかったかな。この時は、やれば自分が死ぬということを覚悟のうえでやった。
――相当のエネルギーを使うという意味ですか。
角川 そうじゃなくて、自分の命が取られるだろうと思った。人の能力で自然現象を止めちゃうんだよ。前もってこれから起きることを変えるわけだから、歴史の改造と同じなんだよ。俺は、日本文化のためだったら命を捨てても構わないんだ。
角川春樹が、牢屋の中と言う異空間に身を置いてみえてきたもの、それはウチダ先生の言う予知能力の世界だったようです。この予知能力とは「これから起こること」を予見するのではなく、何かを「これから起こす」遠隔操作力のことを言うのですが、角川春樹は更に、自分の生き方そのものを、このリモコン(遠隔操作)装置の上に乗せてしまおう(次元をあわせる)と言うわけです。つまり彼は、クリエーターが自分の存在そのものまでもクリエイトしてしまおうと言う、究極のクリエーターってわけです。
KAIも仕事(と言ってもプライベートも含む)においてはこの予知能力を180%(推定^^;)は発揮していますが、まるで日常そのものまで予知能力の世界に浸ろうとは思いもよりませんでした。
それにしてもWebと言うのは面白い。上の内容は本誌(日経ビジネス、2006/2/20、p.109)ではこうなります。
過去の汚点を隠そうとしない。それどころか、どんな境遇でも光り輝く絶対的存在だという錯覚を起こさせる。
その時、彼の著書の目次にあった文言を思い出した。
「おれは神である」
インタビューの中でも、神がかり的な話が次々と飛び出してくる。
台風の進路をずらしたり、大地震を止めることができるという。携帯電話用の美容効果のある音楽も作った。角川曰く「音楽を聞くと、胸が出て、しかもやせる」。癌患者に手を当てて、治してしまう。「八王子医療刑務所にいる時、来週には死ぬと言われていたリンパ癌の人を1分で治した」。
角川をよく知る東映相談役の岡田茂は苦笑する。
「我々の業界は変わり者が多いけど、中でも一番激しい部類の1人だね」
紙面だとこうなるわけです。ただの変わり者だと。
これがWebだと、話そのものは同じ内容であるけれど、話の流れの中で彼が何を表現しようとしているか、脈絡(コンテキスト)から読みとることができます。クリエーターが自分の存在そのものまでもクリエイトしてしまおうと言うことが、です。
なぜこうなる(話が通じる)のかが、実はネット社会の本質に通じていると、筆者は直感しているのですが、まだうまくまとまっていません。これから楽しみなテーマであります。 KAI