梅田本「ウェブ進化論」の書評でネットが盛り上がっていますが、その中でもITProの記事「あちら側」のGoogle,「こちら側」のMicrosoftが秀逸です。
では「あちら側」への挑戦に,腰が引けてしまった日本から,Googleと対峙(たいじ)する新技術が生まれる可能性はないのか---著書の梅田氏は,2010年代に期待をかける。幸い,日本は世界に冠たるブロードバンド大国といえる。そこで育った若者は,ケータイ文化にどっぷりとつかっている。彼らはレコードジャケットを知らず,ダウンロードした音楽を楽しむ。「モノ」に対する執着心が相対的に少ないその世代からなら,「あちら側」の視点から発想できるだろう。私たち大人ができることは,こうした若い世代に既成観念を押し付けることなく,豊かな発想を素直に引き出してあげることなのかも知れない。
Googleと対峙する新技術−−それは、Googleと言うコロンブスを越えたマゼランです。
繰り返しの引用ですが世界史講義録 第55回 大航海時代2の中からマゼランを引用します。
マゼラン海峡は潮流が速く風も強いところで、現在でも航路としてはあまり使われないといいます。ここを水深を測りながら少しずつ、文字通り手探りで進みます。浅くなっていれば引き返す。しかも非常に狭い海峡だから、少し操船を間違えればすぐに座礁してしまう。地図をみているとこんな所を抜けることができたのは奇跡に近いと思う。 こんな航海をつづけて無事インドにいけるなんて普通は思えませんね。実際、マゼラン海峡通過以前に5隻の船団のうち1隻は難破、1隻は逃亡します。マゼラン海峡を抜けてアメリカ大陸の西側に出たマゼランはしばらく北上します。太平洋を広い海とは思っていなくて、北に進めばすぐにインドに着くと考えていたらしい。ところがどこまでも海がつづくので、思い切って進路を西に取ります。
もともと、西廻りインド航路開拓が目的だったとはいえ、すごいと思う。今地図を見ても太平洋というのはめちゃくちゃ広い。何日間陸地を見ずに航海するかわからないんですよ、マゼランにとっては。自殺行為に近いと思う。マゼラン一行は太平洋に出ると98日間陸を見ることなく航海をすることになった。食糧は当然尽きてしまって、船の中に巣くっているネズミやアブラムシを捕まえて食べた。それも食べつくすと、今度は船材のおがくず、革、帆、こういうものも食べた。
1521年3月、ようやくたどり着いた陸地がグアム島です。偶然に任せて航海してグアムみたいな小さな島に着くなんて、これ運がいいです。
さらに西へ向かって、4月には現在のフィリピンに着く。マゼランはポルトガル時代にアジアに来たことがありますから、フィリピンの言葉を聞いてアジアに着いたことを確信します。インドは近いです。マゼランはここで現地の人々を征服してスペインの領土にしたいと考えたらしい。セブ島やマクタン島でマゼランたちは島民とトラブルを起こして、戦闘になる。マクタン島ではマゼラン自身が戦闘で死んでしまった。殺したのが現地の部族の指導者ラプラプ王です。
マゼランこそ、コロンブスのなし得なかった世界一周のパイオニアたる人物です。が、私たちがマゼランの蹉跌を踏まないためには、以下の教訓を学ぶ必要があります。
・コロンブスを越えるには世界一周しかない
・敵は敵にあらず、己の針路の中にこそ敵はある
・恐れるな、まさか敵が東から攻めてくるとは思っていない
これをGoogleと対峙する新技術にあてはめると、
・Googleと闘うところはサーチの世界一周以外にはない
・Googleのクローズこそオープン陣営が目指す急所
・まさかサーチにこんなアプローチがあったとは
これが、私たちのIPOの目論見書の骨子です。 KAI