かぶと帆立ての煮物
前回に引き続いて今回も北京の酒菜からです。p.85。
今回の料理のポイントは、前回のバンバンジー同様、練りごま、それに花椒です。
かぶと帆立て、どちらも淡白な素材ですが練りごまでコクが出ました。花椒の香りも食欲を刺激します。
とウェンさんがコメントしていますが、このコメント以上に、練りごまの絡みついたかぶとホタテの中から山椒の味と香りが、強烈なインパクトを持って語りかけてきます。まるで果物を皮の上からかじって中から甘い香りと果汁がほとばしるかのように。
これもウェンマジック。炒め鍋でサラダ油を熱し、いの一番に花椒を炒める。これが秘密のポイントです。香りがたったら、下味(塩、こしょう、酒)をまぶしたホタテ(貝柱)を加えて炒めます。色が変わったら、かぶを加えて炒めます。このあと、塩をふり、練りごま、水を加えて中火で煮る。煮立ったらコーチェンしてとろみをつけて出来上がり。
煮ると言ってもウェンさんの場合、ほぼ炒めるのと同じ感覚で、まったく汁っぽさがない。だからできあがりは、練りごまがそのまま表面全体を覆いつくすように絡み付いて、まるで芳醇なカワ。
このカワの中に閉じ込められた山椒の香りと味が、まるでしゃべりだしたら止まらない娘のように、かぶとホタテの味の世界をしゃべりはじめるのです。まいったよ。 KAI