筆者も、ベンチャービジネスを立ち上げ、いやと言うほど投資家に、このビジネスモデルの正しさを説いてきました。が、2001年を最後に彼らと縁を切りました。彼らにはこのビジネスモデルの正しさが理解できないと分かったからです。それ以来、結果で示すしかないと決意をして4年、毎年30%強の増収増益で事業が拡大しています。ビジネスモデルの正しさを証明する方法とは、ただ利益を上げることだけです。そしてそれは、将来に渡っても、と言う条件付きでです。
Life is beautifulのSatoshiさんがなかなか面白い情報を明かしています。
先日梅田望夫氏と会食をする機会をいただいただのだが、彼の話の中で最も興味深かったのが、「『はてな』のビジネスがVC(ベンチャー・キャピタル)から全く資金調達せずに回っている」と言う話である。
はてなのビジネスモデルがきちんと利益を上げていると言うことはすばらしいことです。筆者のBlogでも、以前から何度かこのはてなのビジネスモデルを話題にしていますが、はてなのビジネスモデルをOMLで書くとこうなります。
<はてな:ビジネスモデル>:
<<ユーザー:1>> |−−−−><はてな:1>
<はてな:2> /−−−−><<ユーザー:2>>
<はてな:3> |−−−−><<スポンサー:3>>
<<スポンサー:3>>|・・・・><はてな:4>;
このモデルで行けば、はてなの収入は4行目のスポンサーからのお金の流れだけであることが分かります。このお金の流れをうむのが、3行目のはてなからスポンサーへの情報の流れであって、そのまた情報の流れをうむのが、1行目と2行目のユーザーとはてなの間の情報の流れになります。
これをもう少し定量的に把握するとこうなります。はてなのnaoyaさんによれば、はてなの月間のページビューが4億件あるそうですから、はてなの月間の売上を2千万円と仮定^^;すると、現行のはてながサポートする機能レベルで、20件/円と言う数字が出てきます。
この数字の意味は、はてなと言うビジネスモデルでは、1円の売上を上げるには20件の情報の流れを生成すればいい、と言うことになります。この売上に結びつく情報の流れは、はてな会員だけでなく、情報にアクセスしてくるすべてのインターネットユーザーによりもたらされていることに注意する必要があります。
一方、SNSのmixiについても、同じような話しが出てきていますので引用します。ITProの【緊急インタビュー】会員数が百万人を突破した、mixiの笠原社長に聞くと言う記事です。
■事業の収益はどういった状況にあるのか。収入を得る経路は大きく3つ。広告収入、有料サービスの課金収入、ユーザーによる本やCDのレビューから生じるアフィリエイト収入がそれだ。金額自体は、広告収入と有料課金でほとんどを占める。収入は安定してきており、今年の2月から3月ごろから、単月黒字で推移している。
広告収入を軸とする以上、ページビューはとても重要な指標だ。今のところページビューは1日5000万で、ユーザーひとり当たり50ページになる。7割以上のユーザーが3日に一回はアクセスするなど、ユーザーロイヤリティも高い。
SNSのビジネスモデルも以前書きましたが、再掲するとこうなります。
<SNS :ビジネスモデル>:
<<ユーザー:1>> |−−−−><SNS :1>
<SNS :2> /−−−−><<ユーザー:2>>
<<ユーザー:3>> |・・・・><SNS :3>
<SNS :3> /−−−−><<ユーザー:3>>
<SNS :5> |−−−−><<スポンサー:5>>
<<スポンサー:5>>|・・・・><SNS :6>;
はてなとの違いはユーザーからの有料サービスの売上があることですが、インタビューにもある通り、スポンサーからの売上が中心のようです。このmixi事業の売上は、別のところで読んだ記憶があるのですが、月1千万も行っていないと思います。ほとんど人手をかけず原価をおさえている分、単月黒字を出しているようです。
で、インタビューの内容そのままにはてなと同じような計算をすると、150件/円となります。ただ『今のところページビューは1日5000万で、ユーザーひとり当たり50ページになる。7割以上のユーザーが3日に一回はアクセスする』と言うのがひっかかります。7割が3日に1回ならユーザー一人あたり50ページではなく150ページになるはずです。こんなに一人が1日にページビューする訳ありません。とすると、話し半分ならぬ三分の一とすると、50件/円となって、そこそここんなもんかと言う数値になります。
さて、ここで取り上げた二つのビジネスモデルの将来はどうなるのか。
SNSについては、ビジネスとして成り立たせるには一千万人クラスの会員が必要であると以前書きましたが、一千万人が3日に1回50ページビューするとすれば、月間50億件、つまり1億円の売上になると言うことです。この効率がもし5倍になってもせいぜい月商5億円です。SNSの今の情報の流通量に依存する広告と言うビジネスモデルだけでは、せいぜいこの程度の市場規模だとも言えます。
一方のはてなですが、こちらは少々違ってきます。情報の流通量が会員数の制約を受けません。ですから例えば現在の月間のページビュー4億件が、やり方次第でその100倍に増やすことも可能になって、20億円と言う月商も可能になります。
楽しみに彼らの成功を見守りたいと思います。 KAI