搾菜肉絲(ざーつぁいろうすー)
今回は大好きな炒めものの、p.36です。
筆者はアプリケーションソフトウェア・アーキテクトを自任していますが、アーキテクトの一番の素養は「見る力」です。見えないものを見る力こそアーキテクトに不可欠な能力と考えています。見えないものを見る力を駆使して見て、その見えないものを組み合わせて組み上げていく。ことの本質はこうです。
料理も、人が、味、香り、食感、見栄えと知ったかぶりする中で、素材の本質を理解し、素材の持つ本質を組み上げる作業こそ、料理と言うものの本質であると理解した(気がする)のです。
ウェンさんと筆者はお互いまったく面識もありませんし、書籍の中の写真でしか彼女がどう言う人物であるか想像するしかありませんが、今までの彼女の料理を、彼女本人ではないユーイチと言う人間を介していただく体験を通して、彼女が極めて優れたアーキテクトであることを確信しました。
アーキテクトウェンさんが今回見たものは、ザーサイ搾菜です。筆者のかみさんの得意料理のなかに、(甘くない)たくあんを炒め合わせた料理がいろいろあるのですが、これがなぜいけるのか、今回やっと理解できました。
ザーサイはネットでGoogle検索すると菜の花にそっくりと出てきて、この表現を今回検索して初めて知りましたが、理屈ぬきに同意できる解説です。つまり不思議な苦味がどこからくるのか、菜の花と言われてドキッとしたと言うことです。
ずいぶん前置きが長くなったのは、今回の料理のポイントがザーサイに尽きるからです。豚ヒレ肉とザーサイをただ炒めただけの今回の料理で、このザーサイはたっぷりの水に30分もつけ塩抜きしてあります。この結果、いつもの漬物の塩味の中に隠れてしまっていた(うま味としての)苦味が、しっかり表舞台に出てきたのです。
こんなところにアーキテクト・ウェンマジック本領発揮です。 KAI