自己組織化するアプリケーション(第2部)を考えている最中に、面白い記事を見つけました。CNETのインタビュー記事「ゲイツが我が家にやって来る(後編)」の中で、ビルゲイツがこんなことを言ってます。
--では、今後の10年、20年を考えたとき、テクノロジー産業が真剣に取り組むべき大きな問題は何だと思われますか。
テクノロジービジネスが提供するのは「エンパワーメント」のツールです。人々が創造性を発揮し、交流するためのツールです。これには上限がありません。ですから、10年をかけてこれらのツールをさらに使いやすく、強力なものにするということは、十分にやる価値のあることです。
いまだにITの価値について、こんなレベルの理解にとどまっている人がいるとは、少々驚きです。
自動車が人間の足の「エンパワーメント」であるのに対して、コンピュータは人間の脳の「エンパワーメント」であると言われたのは今から30年も前のことです。これが今や、あらゆるコンピュータがネットワークに接続され、100万ステップクラスのアプリケーションとアプリケーション同士が互いにコミュニケーションしようとする時代です。
これはいわば、コンピュータがツールのレベルから環境のレベルに進化したと言うことでもあります。
この結果、当然「ツール」の設計方法と環境としての「システム」の設計方法とは、全く異なってくることになります。建て売り住宅と高層ビルの設計方法の違いと似たようなものです。
この「環境としてのシステム」こそ、前回までのテーマであった「自己組織化するアプリケーション」であるわけですが、第2部ではこのアプリケーションの設計方法あるいはもう少し上位の概念「アーキテクチャ」について論じてみたいと思っています。まだ整理が付いていませんので、少々時間がかかりますが、乞うご期待。 KAI