ビットバレーの熱が冷めて早4年。ドットコムもすっかり死語化したと思っていたら、まだまだ元気な連中がいました。CNETの記事今、投資したいドットコムビジネスとは?に面白い企画が載っています。
6月28日、データセクション代表取締役 CEOの橋本大也氏と、海外のドットコムサイトを紹介するサイト「百式」を運営する田口元氏が、最先端のドットコムビジネスを探す「ドットコム会議」を都内で開催した。会場には約100名が集まり、それぞれが投資したいと考えるドットコムビジネスについて議論を交わした。
会場ではまず、CNET Japan編集長の山岸広太郎と橋本氏、田口氏の3人が、それぞれ投資したいと考えるドットコム企業を5つ紹介した。山岸は、データ量が膨大化したインターネットコンテンツにおいて、今後は検索技術や分類技術などが重要になると指摘。SEO最適化を行うQuigo Technologiesや、膨大なニュースサイトのコンテンツをリアルタイムで収集・分類するMoreover Technologies などを紹介した。橋本氏は、「自分が注目するコンセプトの中ですでに実現されているもの、もしくは考えたものに近い先端的なもの」を挙げる。
1つ目のコンセプトは「整理しない情報ツール」だ。ハードディスクの価格が安くなり、検索技術が発達した今、情報は整理せずに検索すればいいというコンセプトだという。これを具現化した例として、高速検索機能付のメールソフトBloombaを示した。ほかにも、同じ場所にいる人たちにコミュニケーションツールを提供する「Local Free Messaging」に着目。Bluetooth対応の携帯電話同士で、その場にいる人に無線でキャラクター付きのメッセージを送りあえるTagTextを紹介した。
田口氏は、宣伝メールなどの広告が増えてくると、人は購買の判断基準を個人の評価に求めると指摘。「ネット上で会話があるところに人が動く。人が集まるということはビジネスになるということであり、ネット上の会話を促進している企業に投資するべき」(田口氏)と話す。例として、友人がいまどのオンラインゲームをプレイしているかが分かるインターネットメッセンジャー(IM)のXfireや、テレビとビデオの接続方法など、ちょっとしたテクニックを映像で紹介しあうコミュニティサイトThisIsHowYouDoIt.comなどを挙げた。
いずれも投資の対象になるかはかなり疑問だと思いますが、別な意味で非常に興味があります。別な意味とは、ネット社会の有り様と言う意味で、ネット社会とつきあっていくための様々な仕掛けが、例示された機能なりサービスを初めとして今後も提案されていくんだな、と思ったわけです。
いくらネット社会になったからと言ってネットの中だけで生活するわけではありません。あくまで中心はリアル側にあります。このリアルに対してネットでの比重が大きくなればなるほど、ネット社会の中で生活と言うリアリティを実現する方向に向かうと言うのは、以前のエントリーアナザーランドというもう一つの現実世界で述べた通りです。
つまり、例示されたようなツールやサービス、あるいはシステムと言ったものは、ネット社会の環境をよりリアリティのあるものに変えていくためのもので、やがて私たちはこれらの仕掛けをあたかも空気の存在がごとく、無意識に利用して「ネット社会」で生活していくようになると考えている訳です。
具体的には、キーワードは「可視化」です。
ネット社会という目に見えない社会を「可視化」する。ネット社会の大量の情報を「可視化」し、ネット社会の中のコミュニケーションを「可視化」し、ネット社会の中の人間関係を「可視化」し、ネット社会とリアル社会のつながりを「可視化」するのです。「可視化」によってネット社会の見通しが大変良くなります。その結果、ネット社会がよりリアリティを持つようになり、リアル社会との境界線自体が曖昧になって、やがてわれわれはネット社会をリアル社会と呼ぶようになるでしょう。 KAI