ここ3、4年投資家の人たちにずっと言ってきたのが、ECの取引量自体は指数関数的に伸びており、単に落ち込んでいるのはECの取引量ではなくECへの投資額の一部にすぎない、ということです。
梅田さんのBlogバブル期の予測通りに成長していた米EC市場でいみじくもECの取引量の伸びについてはこの指摘が正しかったことが証明されたことになります。
英Economist誌最新号のサーベイ特集・・・(によれば)バブル絶頂期にECについて出た強気強気の市場予測データがたくさんあったが、バブル崩壊から4年が経過した今、実は当時の予測通りに(せいぜい1年程度の遅れで)、ECは堅実に成長している、ということだ。
まあ投資家からすれば、97年頃から99年にかけてECのインフラになりそうな仕掛けの企業に対して投資済みで、本来はECの取引額の増加に比例してこれらの投資先企業の業績が急拡大するはずが、全くこれが期待はずれでは、EC取引額の伸びなどどうでもいいとなるのでしょうが。しかし、逆に考えれば、予想通りの成長市場ということは、まだまだ可能性が残っていると言うことでもあり、ターゲット市場という側面だけを見ても当社への投資の正当性が証明されていると言うことです(我田引水的結論(笑))。
モールというASPサービスのメタ化とは
さて前回の話題の続きです。
そもそも冒頭のEC取引をフロントで支えているのがECサイトであり、ECサイトとはショッピングモールであったり自社ドメインのサイトであったりするという話の続きで、今回のビッダーズのサービスは、これらのECサイトの可用性を大きく拡張できる可能性を秘めたサービスだということです。
本来のネット上での買い物というものは、そのお店がどこにあるかは全く関係なく、ある意味で、ネット上の仮想の空間上を自由に往来してウインドウショッピングをしたり、目的の商品を探したりして行うものです。
この仮想の空間上で、自分の目的の商品を見つけるという場合、楽天などのモールと並んで今最も利用されているのが検索エンジンです。Googleなど検索エンジンに商品名を入れて検索します。ただこの方法は、モールでの検索に比べてECに絞りきれないと言う欠点があります。それを補う形の検索エンジンがアラジンという検索エンジンです。
このアラジンを利用すれば一通りの商品を探すことが出来、その上、カテゴリ別の検索も可能になります。ただアラジンはあくまで検索エンジンであってお店の実体は、リンク先のサイトになります。
これに対して、ビッダーズのサービスは、モールとしてお店の実体を保持しつつ、自社サイトもASPサービスという形でお店の商品を一元化することでアラジン同様の「自社サイトのカテゴリ検索」もサポートすることになり、モールと自社サイトの自由自在の往来という「消費者の本来のニーズ」にかなうものになっています。(そういったメニューがサポートされるという前提です)
これは、もう少し別の言い方をすると、モールというASPの上に自社サイトのASPをのっけるということでもあり、正にASPのメタ化(多層化)現象であると言えます。
似たようなものに、アマゾンなどのASPサービス(アフィリエイト)もありますが、ASPのメタ化という意味でこれは本質的に異なるサービスになります。
それでは、こういった仮想の空間での買い物が、具体的にどういった動きになっていくのか、次回以降に述べたいと思います。 KAI