April 13, 2004

DBエンジン開発ストーリー1

皆さん、こんにちは。

KAIレポートをBlogとして再スタートすることにしました。このBlog版KAIレポートは、今までのレポートと違ってオープンソフトウェア株式会社の立場を離れて、(Blogでもありますので)KAI個人としての考えや情報を発信していきたいと思います。

さて記念すべき最初のエントリーはBlogの面白さを教えてくれた梅田さんのBlogの引用「Googleの本質は新時代のコンピュータメーカ」からスタートします。

「そして、この分散コンピューティングプラットフォームという、98年創業以来磨きに磨き上げてきた自前のインフラがあるからこそ、GoogleはGmailというサービスを構想することができたのだ。競合企業は対抗したくても、コストが見合わないから、そもそもサービスすら提供することができないのではないか、というのが本稿の論点である。 」

GoogleがGmailというサービスを発表して、様々なBlogで取り上げられていますが、梅田さんのこのBlogのおかげで良いヒント(これはこのストーリーの最終回に出てきます)を頂きました。



アナザーランド・サポートというASPサービス


私たちは現在「アナザーランド・サポート」と言うASPサービスを行っています。このサービスは今から3年前の2001年4月にスタートしたのですが、もともとはパッケージ製品として販売を目的に1993年夏頃開発をスタートさせたプロジェクトに始まります。

1993年当時、デジタルランド建国プロジェクトと称するネットワーク上の取引システムの開発を構想しましたが、実際にビジネスとして成立させるためにはオフライン(カタログ)通販企業向けのパッケージ製品として販売する以外に売上を上げる方法はないという結論でした。以来、現在までの開発の経緯はおいおいこのBlogで触れるとしまして、一つだけここで取り上げたいと思います。

それはDBエンジンの開発です。

DBエンジンすなわちDBMS(Data Base Management System)を、例えばOracleなどを使用しないで自前で作るというものです。



始まり

1993年の10月頃だったと思いますが、西麻布のとあるバーのカウンターで担当者であるK君と二人で打合せをしていました。話題はDBエンジンをどうするかです。

私は、その時まで20年近く汎用機のSEをやってきて、アプリケーションにとってDBエンジンがいかに重要な意味を持っているか、身にしみて理解していました。また、直前のプロジェクトでデータベース周りのツールに米国製の製品を使用して開発しましたが、その製品の不具合でとんでもない事態に遭遇する羽目になっていましたので、今回の開発ではできうるならばエンジン自体も自分たちで開発したいと考えていました。

とは言え、DBエンジンの利用経験は豊富といえどもエンジン自体の開発経験は皆無の私にとって、そんな無謀な決断をおいそれとはできません。

そこで当時横浜にあったサザンパシフィックのオフィスを尋ね、片山社長に面会しました。

この会社は、当時パソコン用のデータベースソフトでは恐らく一番シェアが大きかったdBASEIIIの互換製品であるdBXLという製品を開発して販売していた会社です。その片山社長に直接お会いして、Windows用のDBエンジンを供給するつもりはないかお聞きしました。返事はノー。

もう自分たちでやるしかないと、K君に話しました。

「僕が作ります。」

この時の決断が、後のこれから始まる数々の苦闘と予想外の恩恵をもたらすことになるとは知るよしもありませんでした。 KAI

投稿者 : April 13, 2004 04:20 PM | トラックバック