ロシアの歴史的愚挙に思う(10)

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いよいよウクライナ軍による反転攻勢が始まるのであります。

果たしてこの戦いはどのような形で展開するのか。これを占うキーワードが「形成作戦」と呼ばれる作戦なのであります。

(CNN) ウクライナ軍が予想されるロシア軍への反転攻勢を前に、準備段階に当たる「形成」作戦を開始したことが分かった。米軍や欧米当局の高官がCNNに明らかにした。

形成作戦の内容には、部隊の進軍に備えて戦場の状況を準備するため、武器集積所や指揮所、装甲車、火砲を攻撃することが含まれる。大規模な連合作戦の前に行われる標準的な戦術となっている。

ウクライナが昨年夏に南部と北東部で反攻を仕掛けた際にも、事前に航空攻撃で戦場を形成する作戦が行われた。米軍高官によると、こうした形成作戦は、予定されるウクライナの攻勢の主要部分の前に何日も続く可能性があるという。
ウクライナ軍、反攻に向けた「形成」作戦を開始 米軍高官、2023.05.12 Fri posted at 11:43 JST

すでにこの形成作戦は開始されているようでありますが、この作戦の主な目的は、ロシアの支配地域にいるロシア軍の兵站を断つことであります。

すなわち、ウクライナ領土内にあるロシア軍のすべての補給基地への攻撃により、補給基地をロシア領土に後退させることであります。これを反転攻勢と並行して行うことで、ロシア軍の前線部隊を弱体化し、前線突破を図っていくことができるのであります。

更に、ロシア軍が築いている3重構造の防衛線の突破でありますが、以下のNHKのビデオにその方法が詳しく解説されているので、ご覧いただきたいのであります。

大規模な反転攻勢をめぐり、ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記が、27日までにイギリスのBBCのインタビューに対し「あす、あさって、あるいは1週間以内に始まる可能性がある」と発言しています。

一方、ロシア側は、戦況がこう着した去年夏ごろから、ウクライナの反撃を阻止するため、支配地域に幾重もの防衛線を築いてきました。イギリス国防省はザポリージャ州では、ロシア軍がおよそ120キロにわたって3重の防衛線を築いていると明らかにしています。

防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんの解説です。

(5月27日の「サタデーウオッチ9」で放送された内容です)
(動画は8分24秒。データ放送ではご覧になれません)
【兵頭慎治さん動画解説】ロシア軍が築いた3重の防衛線とは、2023年5月29日 19時08分

これらの反転攻勢は、恐らく半年以上続くと考えられているのでありますが、北東地域の前線突破を契機に、次第に南部地域へと戦線が拡大すると、KAIは考えているのであります。

これであれば、南部地域へ3重構造の防衛線の内側から攻撃することができ、ロシア軍に大打撃を与えることが可能になるのであります。

そして、最終局面はクリミアの奪還であります。

形成作戦でクリミアの部隊の兵站を断ち、ロシア軍を孤立させるのであります。

ロシア軍の反撃は相当激しいものになるのでありますが、兵站を断たれた以上、もって半年、ウクライナの勝利となって終戦を迎えることになるのであります。

もちろんこれはKAIの強い願望ではありますが、下記エントリーで述べました通り、ウクライナ軍の士気は非常に高く、必ずや彼らはこれを成し遂げると思うのであります。

更に、これを裏付けるのが、両軍の士気の圧倒的違いであります。

ウクライナの士気は、ロシアへの強い怒りであり、一方のロシアは戦闘の強制による恐怖に支配された士気であります。

兵力における大きな差がない以上、明らかに最前線の戦闘能力における士気の優劣の差から、結果は導き出されるのであります。
ロシアの歴史的愚挙に思う(8)、投稿日:2023年1月31日

 KAI