少々古い記事ではありますが、今回はこの問題について検討してみたいと思うのであります。
サッカーメキシコ1部パチューカのFW本田圭佑(31)が25日、自身のツイッターを更新し、与党が掲げる認可保育園を全員無料などの政策について自身の見解を示しました。もちろんこの問題は、保育園無償化だけではなく、高校や大学を含む教育無償化問題全般について指す問題であるのであります。本田は、ツイッターに朝日新聞が報じた「安倍晋三首相が衆院選で公約した年2兆円規模の政策パッケージの概要」の記事をはり付けた上で、「無料は反対。特に今の資本主義においては」と持論を展開。その上で「100円でも1000円でも取るべき。タダは逆に人をダメにすると思う」と示しました。
(本田圭佑、保育園の無償化に反対「タダは人をダメにする」、17.11.25 10:44スポーツ報知)
実は今回のこの問題には、別の大きな問題が隠されているのであります。
それは、教育無償化とは「タダ」であるのか、と言うことなのであります。
「タダは人をダメにする」のは本当かどうか、これを検討する前に、まずは教育無償化とは本当に「タダ」であるのかどうかについて考えてみたいと思うのであります。
一般的に無償化とは、確かにタダにすることであるにはあるのでありますが、タダにも様々なタダがあるのも事実なのであります。
つまり、タダの種類わけが必要であるってことなのでありますが、ここで分かりやすい例をあげさせていただきますれば、居酒屋でお酒を呑む場合を考えてみればよろしいのであります。
■タダその1
全てドリンクはタダ呑み放題、さあさあ、どんどん呑んで。
■タダその2
ドリンク呑み放題お店のタダ券をもらったからこれで呑みに行く。
■タダその3
先輩とのみに行って、先輩が払ってくれてのみ代がタダ。
タダにもいろいろあるのであります。
これを教育無償化に当てはめると。
■タダその1
認定した教育機関の入学金授業料を無料にする。
■タダその2
認定した教育機関の合格者を対象にした無償化券(バウチャー券)を合格者(被教育者)に発行する。
■タダその3
認定した教育機関の合格者に給付型奨学金を支給する。
いかがでありましょうか、それぞれ似ているようで、それぞれの本質はまるで違うのであります。
この違いをご理解いただくうえでもっとも重要となりますのが、無償化のための資金(基金)の決済とその流れなのであります。これを図式化しますと以下のようになるのであります。
■タダその1
<基金>→<教育機関> -- <被教育者>
■タダその2
<教育機関>←<基金>←<被教育者>
■タダその3
<教育機関>←<被教育者>←<基金>
すなわち、基金なる財源が、誰から誰へ、いかなる方法で流れていくのか、これが最も重要であるのであります。
(この財源をいかに確保するか、もちろんこちらの議論も重要なのでありますが、これは次回の議論とさせていただくのであります)
詳述しますならば、次の通りとなるのであります。
■タダその1においては、被教育者は、その基金の流れにおいて、なんら関与していないどころか、関与することすらできないのであります。
■タダその2が今回一番まともなのでありますが、それは資金の決裁権限を握っているのが被教育者、すなわち私たち消費者にあるからであります。
■タダその3について、その2との違いは、資金の決裁権限が、消費者にではなく、奨学金機関と言う資金側にあって、基金側と同じく利権に握られているところにあるのであります。
ここでご理解いただきたいのが、自民党が掲げる教育無償化とは、タダその1あるいはその3であり、対する日本維新の会が主張する教育無償化とは、タダその2そのものなのであります。
さて、どのタダその1から3が、人をダメにするのでありましょうか?
タダが本当に人をダメにするのかはさておきまして、これまでの議論を考えてみますならば、あきらかにその1と3と、そしてその2との間には本質的な違いがあることがおわかりいただけたかと思うのであります。
と言うことで、当初の問題に戻りまして、「タダは人をダメにする」のは本当かどうかについてであります。
人をダメにするとは、すなわち、タダとダメ人間の間の関係問題なのであります。
つまり、人がタダのサービスを利用することで、人間的にダメ人間になるかどうかでありますが、ご批判を覚悟して申しあげますならば、恐らこれは共産主義、あるいは社会主義で人間は幸せになることが、歴史的にあったかどうかと言う問いと、哲学的に同義の問いであるのであります。
そして、歴史の答えは、タダは人を幸せにしないし、人をダメ人間にすると言うのが、人類が導き出した答えであったのであります。
まさにこの答えに相当する無償化の方法である、タダその1こそが、「タダは人をダメにする」ことになるのであります。
この意味において本田選手は、きわめて正しいことを言っていると言えるのであります。
しかしながら、タダその1ではない、その2とその3では、どうなるのか、これが問題となるのであります。
これ以上の議論は、標題の問題から少々外れるのではありますが、明らかにタダその2の方法、すなわちバウチャー制が優れているのであります。
それはつまり、バウチャー制には、給付型奨学金制度のような給付側「利権」が、一切存在せず、徹頭徹尾、教育基金が消費者の競争と選択に委ねられるシステムになっているからであります。
では、この無償化教育基金は、如何に調達すべきなのか、次回以降この問題について議論したいと思うのであります。 KAI
コメント