それにしてもトランプは、駆け引きの天才なのであります。
不動産屋ごときになにができるかとトランプを見縊っていた識者のみなさま、いかがお過ごしでありましょうか。
アメリカのトランプ大統領は、史上初の米朝首脳会談について、29日朝、日本時間の29日夜、ツイッターに「われわれは北朝鮮との協議のためにすばらしいチームを投入している。首脳会談に関する協議が今、行われている」と書き込みました。ご覧ください、この金正恩くんのあわてよう。
そして、「北朝鮮のキム・ヨンチョル副委員長が今、ニューヨークに向かっている」と書き込み、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の側近のキム・ヨンチョル副委員長が現在、ニューヨークに向かう途上にあることを明らかにしました。
そのうえで、「私の書簡に対する確固たる反応をありがとう」と述べて、米朝首脳会談の開催に向けた北朝鮮側の対応を歓迎しました。
(「キム・ヨンチョル氏がNYへ」トランプ大統領 ツイッターに、5月29日 20時26分)
なりふりかまわず敵地ニューヨークまでのりこんででも、トランプに首脳会談開催を懇願する羽目になったのであります。
トランプが正恩くんに首脳会談中止の書簡を送ることになったきっかけが、こちらであります。
北朝鮮は16日、長年アメリカとの交渉に携わってきたキム・ケグァン第1外務次官の談話を発表し、「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、米朝首脳会談に応じるかどうか再考せざるをえない」として、史上初の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆してトランプ政権を強くけん制しました。これに先立って、北朝鮮は16日に予定されていた韓国との閣僚級会談の中止を表明しており、駆け引きの一環だとみられます。北朝鮮の狡猾な駆け引き外交の一環として、「気軽」に発表した談話に、トランプの強力なカウンターパンチが炸裂したのであります。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日午前、キム・ケグァン第1外務次官の談話を伝え、この中でトランプ政権に対し、「われわれに一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、米朝首脳会談に応じるかどうか再考せざるをえない」として、来月12日にシンガポールで開かれる予定の、史上初の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆して、アメリカ側の出方を強くけん制しました。
これに先立って、16日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、韓国軍とアメリカ軍が今月11日から25日までの日程で、戦闘機などおよそ100機を投入して行っている定例の共同訓練「マックス・サンダー」を非難する記事を掲載しました。この中では、今回の訓練に核兵器の搭載が可能な、アメリカ軍のB52戦略爆撃機などが参加しているとしたうえで、先月の南北首脳会談で署名された共同宣言に触れ、「宣言に対する露骨な挑戦であり、よい方向へと発展する朝鮮半島情勢の流れに逆行する意図的な軍事的挑発だ」と強く反発しています。
そして、共同宣言の履行について話し合うため16日に予定されていた南北の閣僚級会談を中止すると表明し、すべての責任は韓国側にあると主張しました。
北朝鮮の非核化を巡って、アメリカが「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めているのに対し、北朝鮮は、体制の保証と軍事的脅威の解消を前提として、段階的に非核化プロセスを進める立場を主張しており、米朝首脳会談に向けた駆け引きの一環だとみられます。
(北朝鮮「一方的に核放棄強要なら米朝首脳会談再考」米をけん制、5月16日 11時40分)
トランプも指摘するとおり、この正恩くんの当初の「強気」には、直前に行われた2度目の中朝首脳会談の影響があったことは、まず間違いないのであります。
それは、中国にとって、米朝首脳会談の行方が読み切れていなかったが故の、正恩くんへの間違ったディレクションを与えてしまったことを意味しているのであります。
今頃中国の習近平、ほぞをかんでいるに違いないのであります。
そして、これは今回の米朝首脳会談への中国の影響が、ものの見事に排除される結果となったのであります。
交渉事においてお願いを先に言い出した方が、負けなのであります。
つまり、正恩くんの負け確定なのであります。
残されたのは、いかに敗戦処理を行うかだけであります。
具体的には、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を北朝鮮がいかに実行するかその行動計画の内容如何にかかっているのでありまして、正恩くん、会談冒頭これを示せなければ、トランプは、会談を10分で終わらせることになるのであります。
もちろん、正恩くん、「体制保証」・「軍事的脅威排除」・「経済保証」を持ち出すも、トランプはこれを一切拒否するのであります。
トランプにとって、正恩くんの具体的な行動計画を聞くまでは、一切北の条件に耳を傾けるつもりはないのであります。
まさにこれこそが、トランプの駆け引きの天才たる所以であったのであります。
それにしても、よかったのであります。
まさかここにきて会談決裂などあり得ないでありましょうから。
万が一にも会談決裂なら、それは軍事的解決を意味するのでありまして、日本を含めた関係各国の多大なる被害を覚悟しなければならないからであります。
そうならないことを祈りながら、今後の展開を注視することにするのであります。 KAI
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