なぜ維新は支持率が低迷するのか?--その原因と対策について

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野党再編 まともなのは「日本維新の会」だけ

これは、長谷川幸洋氏のそこまで言って委員会NPでの発言なのでありますが、国会中継を少しでも見ていただければ、みなさんにはただちにご同意いただけることではないかと、KAIは思うのであります。

ところが不思議なことに、この維新の支持率は、わずかに1%台。

2018年1月
自民党 38.1
立憲民主党 9.2
民進党 1.3
公明党 2.4
希望の党 1.0
共産党 3.6
日本維新の会 1.0
自由党 0.0
社民党 0.3
その他の政治団体 0.4
支持政党なし 36.6
わからない、無回答 6.2
政治意識月例調査 2018年
なぜ維新の支持率はかように低迷しているのでありましょうか、そしてこれを打開するには維新は何をどうすればよろしいのでありましょうか、今回は、この問題を研究してみたいと思うのであります。

まずはこの問題の「構造」を理解することが、問題解決の近道となるのであります。

すなわち、問題の「構造」とは、維新は誰と戦っているのかと言う対立の構造を理解することでありまして、この戦いとはすなわち選挙以外の何ものでもないのであります。

そして選挙に勝つとは、対立する相手、つまり対立政党より、より多くの有権者の支持を集めて、選挙に勝利すると言うことなのであります。

この意味において、各政党別支持率には、きわめて大きな意味があると言えるのであります。

と言うことで、最初の問題、維新は誰と戦っているのか、でありますが、以下のエントリーにもありますように、すでに何度もこのレポートでご説明している通りなのであります。

恐らく100年、200年後の歴史書には、間違いなく、今回の2015年11月22日大阪ダブル選挙において、おおさか維新軍が、東京霞ヶ関官僚軍と、その走狗である在阪マスメディアとに対して、その歴史的勝利をおさめたと、記録されるのであります。

今回直接の対戦相手となった、大阪自民党とは、実は、東京霞ヶ関官僚軍の、大阪戦闘部隊であったのであります。

そして、その官僚軍の走狗部隊である、在阪メディア。

この部隊の働きこそ、現代戦の基本中の基本、情報戦が、この戦争の行方を、決定的に左右することになったのであります。
これは、明治維新以来である、第二次維新戦争の初戦勝利であります、投稿日:2015年11月24日

維新軍が戦っているのは、つきつめますれば、中央集権体制の本丸、東京霞ヶ関官僚軍なのであります。

そしてこの官僚軍によって支配された既得権益集団のすべてであり、すなわちこの既得権益集団を代表する、維新以外の日本のすべての政党であると言えるのであります。

考えますれば、これは物凄い戦いであると言えるのであります。

残り全ての政党と、その政党を擁護する大半のメディア、これらすべてを敵にまわしての戦いであるのであります。

しかしながら、あらためてここで注意する必要がありますのは、すでに申しあげましたとおり、この戦いとは、選挙であると言うことを忘れてはならないのであります。

具体的には、選挙においてより多くの有権者の票を集めることが戦いに勝つことを意味しているのでありまして、決して対立政党を直接攻撃しても有権者の支持を集めることにはつながらないのであります。

では、有権者の支持を集めるとは、より具体的にどう言うことであるのか、これをこれから検討してみることにするのであります。

ここでもう一度冒頭に引用いたしましたNHKの世論調査をご覧いただきたいのでありますが、これを整理しますと以下のような数字になるのであります。

・与党 40.5%
・維新以外の野党 15.8%
・支持政党なし他 42.8%

いかがでありましょうか。これを見てぜひみなさまにはお気づきいただければと思うのでありますが、維新が支持を集める必要のある有権者は、今現在与党を支持する有権者であり、あるいは支持する政党のない有権者の方々でありまして、決して維新以外の野党を支持する有権者ではないのであります。

国会で、たった10数%しかない野党を攻撃する足立議員に意味がないとは申しあげるつもりは毛頭ないのでありますが、この野党批判で野党支持をやめる有権者はほとんどいないであろうし、いても10数%のそのまた数%にも満たない有権者であることは明らかなのであります。

実は、この構造が理解できていないことこそが、維新の支持率低迷の根本原因であると、かねてよりKAIは考えているのであります。

すなわち、維新の支持率を上げるためには、与党を支持する有権者ないし支持政党なしの有権者から支持を獲得する以外には、道はないのであります。

これが理解できれば、ではどうすればいいのか、自ずと明らかになるのであります。

それは、与党を支持する有権者から支持を奪い取ることであり、無党派層からの支持を獲得することであり、具体的にはこれらの有権者の心に届く政策を訴える以外にないのであります。

この意味において、現状、維新が大阪以外で訴える政策、身を切る改革も教育無償化も、その他諸々の政策が、支持を獲得するべき対象の有権者に、まるで届いていないと認識する必要があるのであります。

これは、いくら大阪で成功した大阪モデルであっても、そこから出てくる政策と、有権者の支持を集める政策は、まるで別物であると言うことでもあるのであります。

この有権者の支持を集める政策を、ともすれば有権者にこびるポピュリズム政治として忌避しがちになるのでありますが、選挙に勝てなければ所詮犬の遠吠えにすぎないのであります。

それでは、肝心要の、維新が有権者の支持を集める政策とは、いったいどんなものになるのでありましょうか。

これを考察する上で勘違いしやすいのが、以下のようなアンケート調査の結果を参考にすることなのであります。

◆衆院選で、投票する候補者や政党を決め
るとき、とくに重視したい政策や争点があ
れば、いくつでも選んで下さい。※
・景気や雇用            56
・消費税など税制改革        54
・年金など高齢者向け社会保障    58
・子育て支援や教育の無償化     50
・北朝鮮問題など外交や安全保障   64
・原発などエネルギー政策      42
・働き方改革            32
・憲法改正             37
・森友学園や加計学園を巡る問題   30
・その他              0
・とくにない 2
・答えない 1
「2017年9月 衆院解散緊急電話全国世論調査」、2017年09月30日 11時00分
あらためよくお考えいただきたいのは、このアンケートの結果は、あくまで一般的に政党を「選ぶ」ための関心事であります。

いまわたしたちに必要なものは、与党支持者が維新に乗り換える理由となる政策であり、与党を支持しながらも与党の政策に不満を持っている政策、あるいは無党派層が関心を持ちながらいま一つ積極的に支持できない与党の政策、これに訴えることのできる政策なのであります。

そうです。これに該当する与党の政策のイの一番とは、アベノミクス以外にはないのであります。

確かにアベノミクスによって多くの経済指標は格段に改善したのであります。

しかし残念ながら財政出動を伴わない金融政策によって、いつになってもインフレ目標を達成できない上に、消費税増税が既定路線になっているため、消費意欲に依然として改善が見られないのであります。

まさにここにこそ維新が有権者に訴えるべき政策があるのであります。

それが、「財政出動+消費税減税」の政策なのであります。

ここで維新がダメなのは、この政策の財源はと問われて、身を切る改革で生み出すと答えるところにあるのであります。

お話が横道に逸れるのでありますが、この身を切る改革こそ、維新の支持率にとって弱点になっていることをここで少しご説明したいのであります。

まず議員が身を切る改革を実践し覚悟を示す。
1 議員の定数を削減し、議員報酬も削減する。
2 領収書のいらない第二の報酬と言われている国会議員一人あたり月額100万円の文書通信交通滞在費の使途を公開する。
3 企業団体献金を禁止し、繰り返される政治と金に纏わる疑惑の元を絶ち政治に対する国民の信頼を取り戻す。
4 議会の古い慣習を改め、政策論争の場としての議会を実現する。
5 いたずらな日程闘争や反対のための反対を排除し、議員のための議会ではなく真に国民のための議会となるよう議会運営を抜本的に改革する。
日本維新の会 身を切る改革を含む政治改革
確かに維新のホームページには、このように書かれているのでありますが、維新が言う身を切る改革とは、要するに議員を含む公務員の人件費の削減なのであります。

これに公務員とその家族を含む関係者のほとんどが反発するのは、必定なのであります。

あえて申しあげますならば、この身を切る改革のモデルである大阪モデルとは、あくまでこれは地方財政に限ったモデルであって、国政レベルでは適用は不可能であると申しあげるしかないのであります。

その訳の詳細は割愛させていただくといたしまして、主な理由は、冒頭に書きました通り、維新が戦っているのが、中央集権体制の本丸、東京霞ヶ関官僚軍であるとだけ申しあげておくのであります。

更に申しあげますならば、維新が緊縮財政派とみなされているのも、この身を切る改革にあることが原因であると、維新は自覚する必要があるのであります。

閑話休題。

では維新は「財政出動+消費税減税」の財源をどうするかと主張すればいいのでありましょうか。

その答えは、国債であります。

ここでもまた維新は、国債は将来世代への借金などといって国債増発に否定的政策を訴えるのでありますが、まさにこれも大いなる間違った政策を訴えているのであります。

財務省による洗脳に汚染されて、多くの維新の議員の方々にとって、日本政府の財政は、借金大国。しかし実態は統一政府で見る限り健全そのものであり、いまのいま、財政出動のための国債発行は、デフレを完全に払拭するための、最後の最後のまさにラストチャンスであるのであります。

そして、この国債発行は、自民党に奪われた政策、教育の無償化においてでも重要な意味を持ってくるのであります。

 松井一郎・日本維新の会代表 維新は身を切る改革で教育を無償化する。大阪府では改革による財源で、高校まで私学を含めて実質無償化している。これを全国でやりたい。
日本維新の会 松井代表「身を切る改革で教育無償化」 、2017/10/8 19:40
維新は、教育無償化の財源でも身を切る改革によるとするのであります。

なぜ教育国債を発行し、教育投資を訴えないのでありましょうか。

1000兆円を超える国債発行が財政破綻によるハイパーインフレを呼ぶなどといった財務省の洗脳から、維新の議員は、いいかげん目覚めないと、維新の支持率改善など、望むべくもないのであります。

いまの日本政府にとって、国債発行とは、将来世代への借金などでもなんでもなく、純粋に将来世代への教育投資なのであります。この認識に基づいた政策こそ、維新が支持率を改善するために求められている政策なのであります。

この意味において、維新の教育無償化の政策は、自民党の無償化の政策と大きく差別化できるのであります。

すなわち自民党案では、教育無償化の財源とは増税なのであります。

維新は、これを身を切る改革でも増税でもなく、教育国債を財源とすると政策で訴える。

ただここで維新の教育無償化に反対する、一定数以上の有権者の存在を無視するわけにはいかないのであります。

なぜ彼らが、教育無償化に反対するのでありましょうか。

その訳は、彼らの理解する教育無償化とは、教育利権の温存にあってこれに反対しているからであります。すなわち、彼らは教育無償化とはすべての教育機関の国有化であり、社会主義政策と誤解しているのであります。

維新の教育無償化とは、バウチャー制、すなわち被教育者への直接支給制度でありますから、結果的に補助金で守られた教育市場に、バウチャー制導入により淘汰をもたらすものであるのであります。

以上の議論を整理しますならば、与党や無党派層に流れている有権者の支持率を、維新に奪い取る政策とは、以下の3つになるのであります。

財政出動+消費税減税、その財源は成長国債の発行。
憲法による教育無償化、その財源は教育国債の発行。
教育無償化は、すべてバウチャー制とする。

いかがでありましょうか。自民党支持者と無党派のみなさん、こんな政策をかかげる維新に支持を変えませんか? KAI

p.s. 記事の内容及びタイトルは2月18日に更新したものです。