北朝鮮崩壊のシナリオ(5)

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月末恒例となりました、北朝鮮問題。

今度は、日本領空を越えてのミサイル発射でありますが、これがどれだけ異常で危険な状況であるかを、この中国の反応が示しているのであります。

【AFP=時事】(更新)北朝鮮が29日、弾道ミサイル1発を発射し、日本上空を通過したことを受けて、中国は同日、朝鮮半島での緊張状態が「臨界点」に達したという見方を示した。

 中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は、北朝鮮に対する「圧力や制裁」では「問題を根本的に解決することはできない」と述べ、中国政府が求めている平和的な交渉を改めて呼び掛けた。

 華報道官は定例記者会見で、現況は「今や危機に迫る臨界点にある。同時に平和的な交渉を再開する好機もある」とした上で、「どうすれば朝鮮半島情勢の鎮静化を図り、この地域に平和と安定を実現できるかを、関係当事者が検討するよう望む」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News
北朝鮮めぐる緊張は「臨界点」に、中国外務省、8/29(火) 17:40配信

この「臨界点」とは、いったい何を意味しているのでありましょうか。

字義どおり、相転移の限界、すなわち戦争への限界点に達したと言うことなのでありますが、これは明らかにKAIがかねてより主張しております、中国による北の説得断念宣言への布石発言なのであります。

つまり、この記事にもあるとおり、中国によるこれ以上の「圧力や制裁」は無理と言うものなのであります。

なぜ中国が「圧力や制裁」は無理と早々に諦めてしまうのかと申しあげますならば、それは北の中国への脅しであり、その本気度なのであります。

 「中距離弾道ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星12、14』は米国を狙うが、すでに金正恩が量産を指示した中距離の『北極星2』は北京も標的にできる。言葉ではなく映像で意図を伝えたのは巧妙だ。金正恩は(中国国家主席の)習近平を脅している」
「中国全土を射程に」習近平氏を脅す金正恩氏  編集委員 中沢克二、(1/2ページ)2017/8/16 6:30
この記事にあるとおり、中国がこのまま制裁を続けるなら北京も標的になると、金正恩は本気で脅しているのであります。

これがただの口だけの脅しではないことを、中国が一番よく知っているからこそ、これまでの中途半端な「圧力や制裁」であったとも言えるのであります。

さらに、ミサイル発射の3日前になって、北の国営メディアは、名指しは避けながら中国を激しく非難したのであります。

北朝鮮の国営メディアは、国連安全保障理事会の新たな制裁決議に賛成した中国について「ずうたいの大きい周辺諸国の行動が情勢を一層緊張させている」と名指しを避けながらも強く批判し、中国の対応に対する根強い不満を反映したものと見られます。

国連安全保障理事会で今月5日に採択された新たな制裁決議をめぐり、北朝鮮の国営メディアは25日、国際問題の研究者の名前で論評を伝えました。

この中で決議に賛成した中国を「周辺諸国」と表現して名指しは避けながらも「わが国の自衛的な核武力強化を阻んで制裁に加わっていることにいかなる信義があろうか」と不信感を示しました。
そのうえで「ずうたいの大きな周辺諸国の穏当ならざる行動が情勢を一層緊張させている。アメリカの機嫌をとって追従する勢力もアメリカの悲惨な運命をひと事と考えてはならない」と強く批判しました。

北朝鮮は制裁決議を受けて今月7日に発表した政府声明で「アメリカから感謝された国々も情勢を激化させた責任を免れない」とし、24日も国営メディアが「アメリカと裏で謀議し制裁決議を仕立て上げた国々」という表現で中国を重ねて批判しています。

中朝国境の税関では制裁決議で禁輸対象となった海産物を載せたトラックが通過できずに立往生するなど影響が表面化してきていて、北朝鮮による相次ぐ批判は中国の対応に対する根強い不満を反映したものと見られます。
北朝鮮が中国批判「ずうたい大きい国が情勢緊張させ」、8月26日 1時46分

この3日後のミサイル発射は、米韓合同演習への抗議という口実の裏で、中国へのメッセージであったことは、まず間違いないのであります。

そうであればこその、上記引用の通りの、ミサイル発射への中国のすばやい反応であったのであります。

と言うことで、これからの展開は、トランプによる最後通牒なのであります。

これで一気にキューバ危機同様の緊張状態となるのでありますが、この危機にあたって、世界はいったいいかなる落としどころを見い出せるのでありましょうか。

斬首作戦が行われるのか、再度の中国による石油封鎖で北の無血開城となるのか、はたまた、多くの血が流れることとなるのか、9月は風雲急を告げるのであります。 KAI