小池百合子新都知事が誕生して、早1カ月。来月28日には、都議会本会議が始まるのでありますが、はてさていかなる展開となるのか。
今回は、この問題について考えてみることにするのでありますが、その前に、今起こっているこの問題についてであります。
11月に予定されていた東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転について、小池百合子都知事が31日午後1時半から記者会見し、延期を正式に表明した。いわゆる築地市場移転問題であります。
(中止判断は「PTの精査待つ」 損失発生に「金額が一人歩き」と不満)
この問題について考察する上での概観を、まずもって申しあげる必要があるのでありますが、これから取り上げる橋下徹氏の反応を始めとした、「落としどころ」的考え方では、この問題は解決せず、ではどうすればよろしいのかといいますならば、まさに小池新都知事が当選一番に表明した、「都政の透明化」でありまして、この築地市場移転問題の徹底的透明化以外には、この問題の解決はないってことを認識することなのであります。
そこで、まずは、橋下氏の「落しどころ」的考え方とは何であるかをご説明したいと思うのであります。
小池都知事が築地市場の移転を延期する方針とのこと。こりゃ、まずいな。改革知事をアピールするためだろうが、政治戦略・戦術としては失敗するだろう。延期したことによる混乱を上回るだけの落としどころになならない「落としどころ」とは、業界用語で言いますところの「絵を描く」ことであります。築地市場移転問題は、まずは移転を進める。市場内業者による会議体を作って建物の使い勝手をよくするための協議を行い修正するところは修正する。これまでの建設を巡る違法・不適切さの原因究明をする。環境問題はほぼクリアー
(小池都知事の築地移転延期。まずいな、政治戦略・戦術としては失敗するだろう - 8月30日のツイート)
検察や弁護士は、事件が発生すると、まず一番に描くのが、この「絵」であります。
ところがであります。実は、この問題の「絵」とは、通常の司法の対象となる二次元的絵画ではなく、動画的4次元要素をもった「絵」であるのであります。
すなわち、これから取り上げるところであります、すでに完成して開場を待つ豊洲新市場とはとんでもない建物であった事実をふまえて、これを前提にしたさまざまな可能性を考慮した「絵」を描く必要があるってことであります。
橋下氏も、ぜひとも以下のサイトで指摘されている「事実」を、ご確認いただきたいのであります。
築地市場を豊洲へ移転するのが不可能な理由。これは酷すぎる…。
おまけに、先日の新報道2001でも取り上げられた、豊洲新市場の建物の構造計算書問題であります。
都によると、水産仲卸売場棟4階で床の防水対策として計約3800平方メートルにわたって敷設されている厚さ15センチのコンクリートが、構造計算書に記載されていなかった。「不備があった」どころの問題ではないのであります。都担当者は「構造計算書に不備があったが、耐震性を再計算したところ問題はなかった」と説明している。
(豊洲市場の計算書に不備 小池知事、改革本部で確認へ 来月1日に初会合)
場合によっては、姉歯事件に匹敵する重大事件となる恐れもあるのであります。
ここであらためて橋下徹氏にも、よくお考えいただきたいのでありますが、築地市場移転問題の本質とは、実は豊洲新市場欠陥建築問題であった事実なのであります。
小池新都知事が新たに発足したプロジェクトチームでやろうとしていることとは、まったくもってまさにこのことなのであります。
この事実をもとに考えられる展開とは。
これこそが重要となるのでありますが、当然のように次の問題が発生するのであります。
・欠陥建築責任問題
・築地市場移転中止問題
・豊洲市場再建築を含めた新たな築地市場老朽化対策案の策定
もちろんこの流れになるのは、プロジェクトチームによる豊洲新市場が欠陥建築であるとの判断によるのでありますが、よもやさきほど引用させていただきました諸々の情報を無視することがなければ、この判断はまず間違いないと、KAIは考えるのであります。
以上が、小池氏の当面の問題についてでありますが、実はこのことこそ、冒頭に記しましたとおり、これからの小池氏の都議会運営を占う上で、重要なヒントとなるのであります。
実は、この小池氏の都議会運営についても、橋下徹氏と松井一郎日本維新の会代表が、否定的コメントをされているのであります。
それは、橋下氏が大阪府知事に当選した当時の府議会の状況と、今の小池氏の都議会の状況を重ね合わせた上でのこととは、KAIは重々承知しているうえで申しあげるのでありますが、当時の府議会と、今の都議会とでは、180度状況がことなることを、お二方は認識できていないと言わざるを得ないのであります。
すなわち、今の都議会の自民党とは、野党ではなく与党であると言うことなのであります。
つまり、小池氏はいまもって立派な自民党員であり、安倍自民党総裁との関係もきわめて良好なのであります。
橋下氏やメディアが、小池氏の新党結成をけしかけるのでありますが、この状況で新党結成の必要性も、またその実現性も、考えにくいといわざるを得ないのであります。
とはいえ、自民党とは言え都連とは敵対しているのも事実なのであります。
ここでポイントとなるのが、この都連をどう封じ込めるのか。
これが先ほどの、豊洲市場欠陥建築問題と言う「事実」であり、この「透明化」と言う武器の使用なのであります。
都連も(都連の意を受けた)メディアも、この武器には、対抗する術はないのであります。
そして、都議会与党の公明党を、この武器を使用して味方につけ、都知事の再議権と言う、権力行使であります。
この再議権こそ、自民党都連にとってもっともやっかいとなるものなのでありまして、過去やりたいほうだいであった都議会運営が、すべてこれでストップをかけられることになるのであります。
そこで生まれるのが、条件闘争であり、ここにこそ、小池新都知事の都議会運営における活路があるのであります。
はてさて、いかなる展開となりますやら。興味はつきないのであります。 KAI
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