情報戦とは--維新の党の正統性問題

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俄然面白くなってきたのであります。

そして、あらためて思うのが、橋下徹の、ディベート力の強さであり、情報戦を制する力量の大きさなんであります。

と言うことで、今回のエントリーは、巷賑わしている、維新の党の正統性問題についてであります。

と、いきなりの結論でありますが、この問題に参戦してきた弁護士の郷原信郎氏および維新の党自称執行部の負けなのであります。

この負けを確定させる文書が、本日(10/21)維新の党が公開したこちらであります。
平成27年10月21日
維新の党 幹事長
今井雅人 殿
法律意見書
郷原総合コンプライアンス法律事務所
弁護士 郷 原 信 郎
潮見坂綜合法律事務所
弁護士 清 水 真
貴党からの平成27年10月16日付け質問事項に対する小職らの法律専門家と
しての回答は以下のとおりである。

この文書がなぜ「負け」を確定させたのか、これからみなさまにじっくりとご説明するのであります。

ポイントは、たった一つ。

郷原弁護士は、橋下徹が放った「ひっかけ」に、見事にひっかかってしまったのであります。

この「ひっかけ」とは、これであります。

そして執行役員会に代表選出の権限も代表任期の延長決定権限もないことは明らか。執行役員会は、党大会から執行を委ねられているに過ぎないのだから。取締役が株主総会に諮ることなく、自分の任期を延ばすなんてことは絶対にあり得ない。
さあ、いよいよ維新の党の化けの皮がはがれてきた。 - 10月15日のツイート
これを自称執行部から見せられた郷原弁護士の回答が、「党規約附則4条」の存在であります。

もちろん、橋下徹にとって、これは百も承知の輔。その上で、「ひっかけ」を続けるのであります。

そして2点目。党の最高規範である規約に書いていないことは執行役員会で決めることができるという附則4条の補則の存在。維新の党の幹部と名乗る人たちの反論の頼りの綱はここだけ。平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例を一回くらい読んだらどうだ?いわゆる委任立法の限界というやつだ。

まず「附則」「補則」という表題通り、これはサブなんだよね。だから党大会が執行役員会に万能の権限を与えたわけではない。平成3年の最高裁判例も、白紙委任は認められないという明確な法理論を示した。こんなの憲法41条の基本の話。

国会がが法律を作るところ。でも法律で全て詳しく書くことはできない。だから行政に細かなところは委ねる、とだいたいの法律はなっている。しかし国会こそが国権の最高機関であり、唯一の立法機関(憲法41条)だから、行政で何でもかんでも決められるわけじゃないよ、というのが平成3年の最高裁判例

党で言えば、党大会が国会。党大会が最高議決機関(規約6条)。執行役員会は内閣、行政・執行機関(規約第4章)なんだよね。維新の党の国会議員には三権分立から教えないといけないよ。維新の党の国会議員は頭でっかちの集団。知識と自分達がやっている現実が結びついていない。
国会議員って法律を作る人達。ところが維新の党の国会議員は法律的素養0。早く国会議員を辞めさせないと税金の無駄遣いだ。 - 10月18日のツイート

郷原弁護士、またまたこれに反応して、「バスケットクローズ条項」なる概念を持ち出すのであります。(この用語の意味については、こちらが具体的でわかりやすい)

ここで完全に郷原弁護士は、橋下徹の術中に嵌ったのであります。

それが、冒頭に引用しました「法律意見書」に記述されております、こちらの文言であります。

 そして,前任者の任期満了によって役職者が欠けた場合に,新たに選任された者が就任するまでの間,任期の満了により退任した者が引き続きその職務を行うとの定めは,一般的に合理的なものと考えられている(会社法351条1項,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律75条1項参照)。執行役員会の決定がなくとも,任期満了前に新代表選出の選挙が行われなかった場合には,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律79条1項の類推適用により,次の選挙により新代表者が選挙されるまでの間,従前の代表者が代表者の地位にとどまるものとも解しうるところであり,少なくとも,新代表が決定されるまでの間,松野代表の任期を延期することとした執行役員会の決定は,内容的にも合理的なものであって、有効なものということができる。
なんと、党代表の任期の延長の根拠が、政党と言う政治団体を規定する政治資金規正法と言う当事者法ではなく、まったく関係のない会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律を援用する禁じ手を犯すのであります。

ここで、見事に論が破綻するのであります。

実は、党代表者の任期を延長するなどといったことは、決定的に党にとって「重要事項」になるのであります。

郷原弁護士は、上記意見書に、こうも書いているのであります。

党規約6条2項は,「党大会は,年間活動計画,予算,決算,規約の改正及びその他の重要事項を審議し決定する。」と定めている
すなわち、であります。

党大会開催を行わずに、執行役員会の決定のみで、代表者の任期延長を決めたことは、明らかに無効となり、松野氏の代表者権限も今月1日をもって失効していると結論付けることができるのであります。

したがって、郷原弁護士は自らが行った論理立ての根幹を失い、上記意見書の内容のすべてが、その有意性を失効することになるのであります。

なんとも、見事なまでの、橋下徹のディベート力ではありませんか。

そして、最後は、維新の党を解散へともっていく、この情報戦の戦い方。

まことにあっぱれとしかいいようがないのであります。 KAI