いやはや、予想はしていたこととはいえ、維新の党代表、松野氏には、がっかりであります。
維新の党の松野頼久代表は23日の記者会見で、安全保障関連法案への対案に関し、「参院に出すか出さないかも含めて考えないといけない」と述べ、提出に慎重姿勢を示した。片山虎之助参院議員会長は衆院で否決された案を手直しして出す方針を明言しており、党幹部間で意見が分かれた。長いこと政治に関わりながら、政党支持率がなにに因って立つのか、まるでわかっていないのであります。
松野氏は、対案を出さなかった共産党が各種世論調査で支持率を伸ばしていることに触れ、「確かな野党の方が国民も分かりやすい」と指摘。衆院に対案を提出したことについても「正しかったかどうか1回考える」と語った。
(対案提出に慎重=松野維新代表-安保法案)
また、同様にわかっていないのが、前代表の江田氏。
安倍内閣、支持率急落ですね。予想されたこととは言え、やはり、民意を無視した傲慢不遜な国会運営にNOが突きつけられたということでしょう。支持率急落が「民意の無視」が原因として、反対の民意を国民運動にするなどと言うのは、これもまた支持率とはなんであるのか、江田氏がまるでわかってはいない証拠となるのであります。問題は、この民意をさらに大きくし、国会では「多勢に無勢」な状況に「喝!」を入れていただかなければなりません。学者や知識人、文化人、市民グループ、若者の皆さんが、それぞれ別々に声をあげているだけでは、この巨大与党の壁は打ち破れません。
なんとか、この反対運動を有機的に連動させ、「国民運動」にしていく手立て、仕掛けはないか、政治家が前面に出てはだめです。しかし、一方で、こうした国民の声を国会に反映させていくためには、政治家との連携も不可欠です。少し、考えていこうと思っています。
(安倍内閣、支持率急落・・・この民意を国民運動に!)
実のところ、昨年の維新の党の発足以来、この支持率低迷の原因がどこにあるのか、そして、こうした法案提出するかどうかといった党の運営が「揺れる」原因とはなにか、すべてに通底する根本の原因があると、KAIは考えているのであります。
そこで今回のエントリーでは、このあたりについてご説明しながら、維新の党の支持率をあげるにはどうすればいいのか、このヒントとなるお話をしたいと思うのであります。
と言うことで、いきなり結論でありますが、支持率とは、「信頼」であり「期待」であります。
たまたま政党支持率が並んで表示されるため、支持率とは政党間の比較で捉えがちとなるのでありますが、基本は、その政党や政権に対する、単独の「信頼」と「期待」の数値なのであります。
当然、二つの政党がそれぞれ同じ支持率の値であっても、その「信頼」と「期待」の中身とは、それぞれまったく異なるものであることは、あらためて言うまでもないことなのであります。
実は、この問題もまた、根本的なところで、かねてよりこのレポートのメインテーマでありますところの、「正統性」思想問題のひとつなのでありますが、それはこの一節でご説明するところの問題であります。
「正統性」思想では善悪正邪良非を論じません。他者との相対的価値は問題じゃないんです。競争相手がいるとしたら、それは「昨日の自分」です。昨日の自分よりどれくらい感覚が敏感になったか、どれくらい思考が冴えたか、どれくらい判断力が的確になったか、そういうところを自己点検することが思索瞑想の目的であって、同門の誰より道徳的とか、倫理的とかいうことには何の意味もないのです。すなわち、他者との比較による相対的価値観ではなく、自分自身の中の時間軸上の絶対的価値観に基づく、「信頼」と「期待」なのであります。
(「正統性」思想とは−−正義と正統性)
この観点に立って、あらためて冒頭のお二方の発言を眺めてみますならば、お二人の価値観が、他者との比較に依拠した相対的価値観に支配されていることが、明白に見えてくるのであります。
そして、もう一方の絶対的価値観に基づき発言し、行動していますのが、党最高顧問、橋下徹なのであります。
維新の党とは、この二つの価値観が併存しているがために、「揺れる」のであります。
と、一気に論を進めてしまったのでありますが、このあたりもう少し丁寧にご説明することにするのであります。
さきほど、支持率とは「信頼」と「期待」であると申しあげたのでありますが、この「信頼」と「期待」とは、他者との比較による、つまり他者よりはより「信頼」できる、より「期待」できるとなるのが、相対的価値観による「信頼」と「期待」なのであります。
一方、絶対的価値観による「信頼」と「期待」とは、政党としての過去からの一貫性であります。別の言葉で簡単に言うと、公約を守る、言行一致の姿勢であります。これを徹頭徹尾、徹底して履行するのであります。
かように考えますれば、維新の党の支持率を上げるにはどうすればいいか、おのずと答えは見えているのであります。
しかしながら、であります。
冒頭のご両名をはじめとして維新の党の大半を占める政治家みなさんの、相対的価値観を、本来のあるべき価値観である絶対的価値観に転換するなどと言うことは、並大抵のことではないのであります。
では、どうすればよろしいのでありましょうか?
その答えとなるキーワードが、「成功体験」であります。
国民一人ひとりのみなさんが、維新の党に一貫性があるとみなして「信頼」と「期待」をよせるテーマ、それは大阪都構想をおいて他にないのであります。
しかしながら、これが否決されてしまった。
だから、なんだと言うのでしょうか。
否決されたから、もうお仕舞いにするでは、あまりにも情けないのではありませんか。
そうです、あらためて、維新の党の原点、大阪都構想の精神を国政に打って出るのであります。
そして、この大阪都構想の精神とは、既得権の打破、現状維持の打破以外の何者でもないのであります。
その意味で、安保法案反対とは、現状維持そのものである、そう言う事実を維新の党は再認識すればいいのであります。
つまり、政権側提案の安保法制も、維新提案の新安保法案も、どちらも現状維持を打破する前向きな提案になっているのであります。
たとえ、結果的に、政権側の安保法制が通ったとしても、維新にとって、これは負けではなく、一歩も二歩もの前進である、そう言うキャンペーンが必要なのであります。
この結果は、間違いなく、支持率は上がる。
それは、自民党を支持していた人たちが維新のほうを向くからであります。
なぜ自民党の支持率が落ちても野党の支持率が上がらないか、これを冷静に考えれば、そのメカニズムは明らかなんであります。
それはアベノミクスを始めとして安倍政権への期待は、間違いなく現状維持ではなく、現状打破であったはず。安保法制も、アベノミクスをつまみ食いする一部のヒダリ寄り経済人を除いて、現状打破を切望している人々にとって、望むところであるのであります。
しかし、マスコミによる戦争法案との違法キャンペーンの影響を受けた人々が、一旦支持を離れたのであります。
そこで効いてくるのが、「より安全な安保法制の現状打破」と言う維新のキャンペーンなのであります。
そして、橋下徹がつぶやいた、上田知事の応援を止めること。ただこれだけでも支持率はぐんっと伸びる。
こう言う、ピンポイントの成功体験を積み重ねていくことが、維新の政治家たちの価値観を、相対的価値観から絶対的価値観へと転換することができると、KAIは考えているのであります。 KAI
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