さて、このところの北朝鮮情勢についてであります。
今朝(10月19日)の、新報道2001によりますならば、金正恩は深刻な腎不全を患っており、そのために歩行が困難になっているようであります。
直近に公開された写真をみても、いつもは必ず左手にしている腕時計がみあたらないのも、左手のむくみによって時計を通すことができないからだとか。
なるほど、なんだかあやしかった足首の手術説も、これで否定できるようであります。
しかも、腎不全が急性であれば、12月には回復するし、もし回復の兆候が見えないようなら慢性化して、さらに重病化する恐れがあるとのこと。
そこで問題となるのが、金正恩は実権を握っているのかどうかであります。
同番組では、いまのところクーデターなど目立った動きはなく、実権を掌握しているのではないかとの結論であります。
しかし、KAI的には、これはおおいに疑問が残るところでありまして、その根拠となるのが、昨日掲載されましたこちらの記事であります。
韓国で疑問視されているのは(1)金正恩専用機の特別機を利用し、金ファミリーの特別警護部隊である護衛総局の要員を同伴してきたこと(2)3要人の口から金正恩氏への「神格化」や「敬愛」「感謝」などの言及はほとんどなかったこと(3)3要人訪韓について北朝鮮メディアの宣伝がほとんどなく、3人訪韓の事実報道しかなかったこと?などだ。これは、今月4日の、黄炳瑞・軍総政治局長ら3要人が異例ずくめの電撃訪韓を行ったことに対する、「疑問」であります。前出の消息筋はこう述べる。
「特別機や護衛総局は首領の独占物で北朝鮮幹部はたとえ、配慮で使用を許可されても“忠誠心”から固持するのが普通だ。また代表団が金正恩氏の神格化宣伝を行わないなど、忠臣の道に背く行為に等しい。北朝鮮のアジア大会選手に金正恩氏の伝言を伝えないことも異例だった。狙いは自分たちの権力の誇示だったようにみえる」
(40日ぶり登場「金正恩」、くすぶる「権力不安説」北で何が起きているのか?)
この事実から言えることは、すでに北朝鮮政権において、黄炳瑞・朝鮮人民軍総政治局長、崔龍海(チェ・リョンヘ)・朝鮮労働党書記、金養建(キム・ヤンゴン)・朝鮮労働党対南担当書記と言う3人が、金正恩の意思の有無にかかわらず、国家間の外交を取り仕切っていると言う、とんでもない事実であります。
そして、この3人の中に、崔龍海(崔竜海)がいる、このことこそ、いま北朝鮮で何が起こっているのか、これを象徴的に表しているのであります。
ところがであります。昨年の12月14日、張成沢の粛清の意味とはを解き明かした、KAIのエントリーであります。崔竜海は、まったくもって軍人としての経験のない人物であったのであります。
これを国防委員会副委員長として支えているのが、生粋の軍人、呉克烈であったと言うわけであります。
では、なぜ今回、この男が張成沢(チャン・ソンテク、1946年 - 2013年)の粛清に動いたのか。
(中略)
でありますから、金敬姫につきましても、銃殺まではされないものの、完全に排除されたものと考える必要があるのであります。
かように考えますれば、金一族で政権の中枢にいるのは、正恩、ただ一人。
これが何を意味しているかは、明明白白であります。
いまや、金正恩は、呉克烈の傀儡と成り果てたのであります。
もちろん、これが長く続くわけもないのであります。
それは、軍内部の、困窮に対する爆発であります。
そのための、呉克烈による崔竜海を頭にした軍部のクーデターと言うわけであります。
張成沢の処刑理由に、この「クーデター」と言う言葉が登場したのも、これは決して無縁のことではなかったのであります。まさに無意識のなせる「予知能力」の世界であります。
(呉克烈の陰謀)
ここに述べましたとおり、すでに崔竜海を頭にした軍部のクーデターは、完了していると言えるのであります。
とどのつまり、事態は、次の展開を待っている、と言うのが、いまのいまの北朝鮮の実態であると言えるのであります。
すなわち、これから何が起こるかと申しあげますならば、あらゆる出来事は、「軍部」の生き残りが主たる目的となるのであります。
すなわち、軍部の食料とエネルギーの確保であります。
この観点に立てば、冒頭でご紹介しました、以下の番組内容の意味が明々白々となるのであります。
北朝鮮の政権樹立66周年を祝った9月9日の朝鮮労働新聞には3面に中国の国家主席から祝電が届いたという記事が載っており、そして10日には1面にロシア・キューバから祝電を頂いたことと、日本の山梨県訪問団が花を贈ったという記事が載っている。石平さんによると北朝鮮からすれば中国にもはや頼らなくても日本やロシアと良い関係を築ける、というメッセージだそうだが、磐村和哉は中国の中央と地方で二元化しており、地方との交流は盛んになる、などと話した。もはや、北朝鮮にとって、国家とは「軍部」であります。
(新報道2001 特集・高橋大輔 北朝鮮特集 2014年10月19日)
軍部が生き残るためには、イデオロギー関係なく、ロシア、キューバ、日本と見境なく、食料とエネルギーを求めて徘徊しはじめた、と言うのが真実と言うわけであります。
であるといたしますならば、わが日本人にとって当面の最重要課題でありますところの拉致問題の解決など、望むべくもないのでありますが、逆にこれを逆手にとって、直接的にこの拉致問題解決をえさに、食料とエネルギーを与えればいいのではないか、かようにKAIは考えるのであります。
あるいは、中国も含めたいずれの国もが、この「軍部」を兵糧攻めにして不戦開城にもっていくのか。
いずれにせよ、この12月、傀儡となりはてた金正恩の病状しだいで、事態はおおきく動くと、KAIはここで申しあげるしだいであります。 KAI
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