パナソニックとソニー、その命運を分けたものとは?

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パナソニックとソニー。もはやそのそれぞれの運命の差は歴然であります。

先月の28日、早々に黒字決算を発表したのが、パナソニック。

 パナソニックが28日発表した平成26年3月期連結決算は、最終損益が1204億円の黒字(前期は7542億円の赤字)となり、3期ぶりに黒字を計上した。売上高は前期比5・9%増の7兆7365億円で3期ぶりの増収。プラズマテレビ事業や半導体事業のリストラ効果に加え、円安の追い風があり収益を大幅に改善させた。

(中略)

 27年3月期は売上高が0・2%増の7兆7500億円、最終利益が16・2%増の1400億円で増収増益を予想したが、伸び率は鈍化する見込み。パナソニックは創業100年を迎える31年3月期に売上高10兆円を目指すが、東京都内で記者会見した津賀一宏社長は「このままの伸びで目標に届くとは思っていない」と述べた。自動車や住宅などの分野で買収や投資を行う資金を市場で調達するため財務体質を改善して、企業の信用力を示す「格付け」の回復を急ぐ考えを強調した。
パナソニック決算 3期ぶり最終黒字1200億円 リストラ効果に円安追い風

一方、一向に赤字が止まらず、改善の見通しも不確かなままなのが、ソニーであります。
 ソニーが14日発表した2014年3月期連結決算は最終損益が1283億円の赤字(前期は415億円の黒字)だった。パソコン事業の売却に伴う特別損失やDVDやCDのディスク製造事業の低迷などが響いた。営業利益は前期比88.3%減の264億円、売上高は14.3%増の7兆7672億円だった。

 15年3月期の業績予想は前期に引き続いて、パソコン事業関連の損失を約800億円見込んでおり、最終損益は500億円の赤字とした。営業利益は5.3倍の1400億円、売上高は0.4%増の7兆8000億円と予想した。

 同社の大きな経営課題となっているエレクトロニクス事業は14年3月期も赤字だった。平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)が公約としていた黒字化は達成できなかった。15年3月期については、損益改善が見込まれるとし、増益に転じるとした。
ソニー 1283億円の最終赤字  今期も500億円の赤字予想

このソニー苦境の原因の本質を、ものの見事に的確に指摘している記事を発見しましたので、ご紹介するのであります。
で、このおねーさんが困り果てているので「上に伝えてくださいね」と何度も念を押したが「一応あげてみます」との回答。絶対上には行かないと思う・・・

わたくし思いますに、いまのソニーは上目線すぎるのではないか。設計とかデザイナーには確かにきらりと光る人がいるのかもしれないが、客の欲しい物を創るという視点でが欠けている。顧客の視点に一番触れるのはお客様相談室であり、そこの体制がしっかりできないと情報が上がるわけがない。昔のように「他では作ってないもの」を持っているならそれでいいが、いまのソニー製品は同様のものが他メーカーでも買える。優位性はブランド以外、ほとんどないのだ。
拝啓ソニー様。そもそもどこかが間違っている気がします

この永江一石氏の文章のどこが「的確な指摘」かと申しあげますならば、「顧客の視点」と言う観点であります。

この「顧客の視点」の欠如こそ、今ソニーが抱える困難の原因の本質であり、逆に津賀一宏がパナソニック復活の鍵としたのが、この「顧客の視点」を意味する、「お客様価値」と言う言葉であったのであります。

これを、津賀一宏が社長に指名された2年前に、このレポートで取り上げたのがこちらであります。

パナソニックは復活するのか?

この答えは、間違いなくYESであります。

(中略)

カルロス・ゴーン、竹中平蔵、津賀一宏に共通するのは、問題の本質を明確に理解していることであります。しかもこれを人にわかりやすく説明することができる。

この一点において、津賀一宏は、間違いなくパナソニックを再生させることができるのであります。

すなわち、津賀一宏にとって、パナソニックの抱える問題の本質とは何か?

「お客様価値」を明確にすること
これ以外にはないのであります。「ビジネスの正統性」論でも取り上げたとおり、津賀の言う「お客様価値」とはパナソニックの「意志」であります。

これが理解できていれば、もうなにも怖いものなしであります。

いみじくも、津賀一宏とソニーの平井一夫は、同時期に社長に就任したのであります。

ともすれば、地味な津賀一宏より、国際経験豊富な平井一夫を、メディアはより高く評価していたのであります。

しかし、KAIは一貫して、パナソニックは復活すると確信していたのであります。

その根拠こそ、「顧客の視点」であり、「お客様価値」であり、これこそが企業にとっての正統性そのものであるからであります。

今一度、ソニーは本当にこの原点に立ち返って、自分たちの「お客様価値」とは何かを問い返さないと、今度こそソニーに未来はないと、KAIは思うのであります。 KAI