大阪維新の会が、党の命運をかけて推進する「都構想」。
不思議なことに、なぜかこれが伝わらない。
一説には、「都」が付くネーミングが悪いからくる、いわゆる食わず嫌いが原因ではないか、と言われているのでありますが、確かにこれは「情報戦論」的に非常に興味深いテーマなんであります。
と言うことで、今回は、この伝わらない「都構想」を、どうやれば伝えられるか、これを研究してみることにするのであります。
と言うのは、後付の理由でありまして、昨晩、けつちゃんこと須賀原洋行氏とツイッターでやりとりしていたのでありますが、結局KAIが「都構想」とはなんであるのか、けつちゃんにわかるように説明することになった、と言うのが事の顛末であります。
そこで、まず、この「説明」から始めることにするのであります。
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大阪市を解体し、5つの区に再編
結論を先に言えば、大阪市を解体(分割)して、特別区といわれる5つの区に再編するのが、都構想です。丁度、東京が、東京都品川区西五反田となっているのと同じように、大阪都中央区中央今橋と言う具合にするってことです。
いままで、大阪市がやっていた仕事のうち、大阪府全体にかかわる仕事は、すべて大阪都に移管し、医療、福祉、教育に関することのみを5つの区で分担することになります。
いままでの大阪市にあった24の区役所は、新しくできる5つの特別区のそれぞれの出先機関としてそのまま残りますが、いままで市役所職員であった区長は廃止され、新たに市長に代わる5人の区長が選挙で選ばれることになります。
当然市議会も廃止され、新たに5つの区議会が設立されますので、維新以外の職を失うことになる市会議員が、この都構想に猛烈に反対しているのは、このためです。
大阪市民は東京都民にくらべて3倍の借金を背負っている
では、なぜこんな「都構想」が必要になったのか、その直接の原因は、大阪市民が負担する借金の額の巨大さです。
この借金のために、大阪市は、予算を、医療、福祉、教育に十分割り当てることができなくなってしまったのです。何に使っているかと言えば、過去大阪府に対抗して行われた1兆6千億にも及ぶ巨大開発費の返済と、開発の失敗による弁済金の支払いだったりします。大阪市財政は、いまやほんとうに火の車なのです。
この返済や弁済は、5つの特別区になっても無くなるわけではありませんが、これまで本来大阪府も負担すべきであった予算をすべて大阪都に移管するため、負担が大幅に減ることになります。もちろん税収の一部もこれにあわせて都に移管しますが、大阪市以外の大阪府民の負担に分散されるため、一人当たりの負担が大幅に軽減されることになります。
大阪市が抱える3つの大罪
それでは、「都構想」が必要となった、間接の原因とは、何か。それこそが、大阪市が抱える3つの大罪に、その原因があったのです。
一つ目の大罪。
260万人の市民がいる大阪市は、おおよそ260万人の府民がいる京都府と一緒。であるにもかかわらず、大阪市は選挙で選ばれた市長が一人しかいない。24人の区長はすべて市役所職員。対して、京都府には知事以外に市長や町長など10数名の選挙で選ばれた長がいて、この長のもとで行政が行われる。
この違いは何かと言えば、選挙で選ばれた長は行政の失敗を選挙で問われるけれど、市役所の職員は決して行政の失敗の責任を問われない。
大阪市の巨大借金の根本原因とは、これに尽きます。
260万人をたった一人で隅々まで見ることなど、到底不可能です。
結果、役人の言うままにならざるを得ないのです。
この役人の暴走をチェックするはずの市議会。実は、この市議会までも役人たちに支配されていた、と言うのが、二つ目の大罪。
二つ目の大罪。
大阪市議会は、中選挙区制です。24区すべて議席は3人以上。維新が出馬するまでは、この議席を、自民、公明、民主、共産が1議席ずつ分け合ってきた。ここに維新が参戦し、すべての区で議席を確保しても24議席にしかならない。議席の過半数を取るために無理して同じ選挙区に候補を2人立てれば間違いなく共倒れになる。
結局、第1党になることはできても、安定多数を占めることは永遠にできない。
その仕組みを考えたのも、もちろん役人だったのです。
結局、与党と言えども、役人による調整と言う談合行政を受け入れざるを得なかったのです。
この仕組みを壊すには、大阪市の解体による以外にはない、と言うことだったのです。
都構想では、区議会の、一つの選挙区の議席は10議席以上になりますので、十分過半数以上の議席を取ることが可能になる。
この結果、維新のような政党が過半数の議席を得ることで、公約となる「政策」を次々と実現することができるようになる。
そして、その政策が失敗と判断されれば、次の選挙で議席を失うことになるのです。
三つ目の大罪。
以上2つの大罪ともおおいに関係するのですが、大阪市長に当選するために、いままでの当選市長はなにをやってきたかと言えば、それは市民のためではなく役人の方を向いた行政だった。
役人を敵に回しては、到底当選はおぼつかなかったのです。
橋下市長が初めて当選した選挙戦では、本来選挙活動を禁じられている市役所の職員総出で前任の平松市長の選挙活動を行っていたのは、有名な話です。
さらには、大阪市職員労組、自民党、民主党、公明党、共産党それぞれまるがかえでしか、これまでの市長は当選できなかった。
そして、当選すると、市長は、労組や支援政党の言いなりにならざるを得なかった。
この中でも、悪質を極めたのが大阪市労組。
何度か全国ネットのテレビでも取り上げられた、労組のサボタージュ。これを見てみぬ振りする管理職。非加入職員には徹底したいやがらせ。悪辣をきわめていたのです。
橋下市長が就任して以来、この労組との戦いは凄まじいものがありましたが、橋下市長は見事これを制圧したのですが、労組とつながった関西メディアによる橋下にくしの偏向報道が、いまも続いているのは、一部のみなさんのご承知のとおりです。
この大阪市労組の解体も、都構想の大きな目的の一つになります。
都構想は実現するのか
さて、この都構想は実現するのでしょうか。
その答えは、マスメディアが心配するような「今後」にあるのではなく、「これまで」の、都構想実現に向けた行動にあると、KAIは考えています。
それは、以下の流れです。
・2010年3月大阪都構想発表
・2010年4月大阪維新の会設立
・2011年11月ダブル選挙橋下市長、松井知事誕生
・2012年8月大都市地域特別区設置法成立
・2012年9月日本維新の会設立
・2013年1月法定協議会設置
この流れを見て、都構想が、いかに「おもいつき」や「アドバルーン」といった曖昧模糊としたものではまったくもってなく、これこそが日本の政治家が打ち立てるべき、本来の「政策」そのものだったのです。
KAIの「正統性」思想からすれば、こういった正統性を持つものは必ずや実現するのでありまして、であるからして、これを正統性と言うのであります。
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以上、けつちゃんへの説明は終わるのでありますが、肝心の、ではなぜ「都構想」は伝わらないのか、その答えも、実は上記説明の中にそのヒントがあるのであります。
と言うことで、続きは、また次回と言うことで。 KAI
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