呉克烈の陰謀(2)

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さて、このところの北朝鮮情勢でありますが、非常に不思議な情報がとびかっているのであります。

まずは第1報でありますのが、こちら。(引用元記事はすでにライセンス切れで消滅しています)

 昨年末に北朝鮮の張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が処刑され、その後ナンバー2として浮上したとみられていた崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長が監禁されたとの見方が出始めている。自由北韓放送は2月28日、平壌在住の消息筋の言葉として「崔竜海氏が監禁され、取り調べを受けているとの情報を入手した」と報じた。崔竜海氏は張成沢氏処刑後、さまざまな経済的利権を手にしようとしていたが、その過程で金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に目を付けられたか、あるいは金正恩氏唯一領導体制の障害と認識され、失脚した可能性があるという。

 2013年に金正恩氏との随行回数が最も多かった崔竜海氏は、今年に入って突然、随行回数が3回に減った。張成沢氏も12年以降は随行回数が一気に減り、その後は崔竜海氏との争いに敗れて粛清された。とりわけ崔竜海氏は最近になって公式行事に姿を現していないことから、周辺に異常が生じたとの見方も出ている。崔竜海氏は朝鮮人民軍で思想・宣伝などを総轄する立場にあるにもかかわらず、今月25日に閉幕した朝鮮労働党思想担当者大会に出席せず、18日には朝鮮人民軍関係者が多数出席した公演にも姿を見せなかった。

 この問題について韓国政府の関係者は「今のところ確認された事実関係はないため、3月9日の最高人民会議代議員選挙まで状況を見極めなければならない」とコメントした。
北朝鮮ナンバー2の崔氏監禁か、2014年03月02日08時18分

これが掲載されたのが3月2日の朝であります。

つづいてこれを報じたのがNHKニュース。3月5日の晩。

北朝鮮で、チャン・ソンテク氏が粛清されたあと、事実上のナンバー2と目されるチェ・リョンヘ軍総政治局長の動静が、先月中旬以降、伝えられていないことから、韓国のキム・グァンジン国防相は、チェ氏の動向を注視していることを明らかにしました。

北朝鮮のチェ・リョンヘ朝鮮人民軍総政治局長は、先月16日にキム・ジョンウン第1書記と共にキム・ジョンイル総書記の遺体のもとを訪れたのを最後に動静が伝えられておらず、韓国の脱北者団体は「チェ・リョンヘ氏は拘束された」などとする見方を示しています。
これについて、韓国のキム・グァンジン国防相は、5日、国会の国防委員会で、「チェ・リョンヘ氏が一定期間、姿を現していないのは事実だ。いろいろ分析しているが、確実な情報は持っていない」と述べて、韓国としてもチェ氏の動向を注視していることを明らかにしました。
チェ氏は、去年12月にチャン・ソンテク氏が粛清されたあと、事実上のナンバー2と目されていて、チャン氏に次ぐ政権幹部の粛清説について韓国政府は慎重に分析しています。
韓国 北朝鮮ナンバー2の動向を注視、3月5日 21時36分

いずれも崔竜海の失脚を疑わせると報じているのであります。

ところが、翌日6日の早朝、またまたNHKニュースが次のように伝えるのであります。

北朝鮮で、事実上のナンバー2と目されるチェ・リョンヘ軍総政治局長の動静が先月中旬以降伝えられず、一部では「拘束された」という見方も出ていましたが、5日夜、北朝鮮の国営テレビで姿が映し出され、政治的に健在だとみられます。

北朝鮮のチェ・リョンヘ軍総政治局長は、先月16日を最後に動静が伝えられず、韓国の脱北者団体は、「チェ氏は拘束された」などとする見方を示し、チャン・ソンテク氏粛清後の北朝鮮指導部内で新たな変化が起きているのかどうか注目が集まっていました。
こうしたなか、北朝鮮の朝鮮中央テレビは、5日夜、キム・ジョンウン第1書記の動静を伝える記録映画を放送し、この中で、チェ氏が随行する姿がたびたび映し出されています。
北朝鮮の報道を分析している日本のラヂオプレスによりますと、この記録映画は、先月23日以降に撮影されたものとみられます。
チェ氏が足を引きずっているように見える場面もありますが、常にキム第1書記のすぐ近くにいることから、チェ氏が政治的に健在であることを示したとみられます。
北朝鮮ナンバー2 政治的に健在か、3月6日 4時20分

いったい、崔竜海に、何があったのか。

この秘密を解くヒントになる出来事が、こちらであります。

 【ソウル=名村隆寛】韓国国防省によると、北朝鮮は3日朝、南東部の元山(ウォンサン)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。

 ミサイルは江原道旗対嶺(キテリョン)と元山からそれぞれ発射され、500キロ以上飛行したとみられている。聯合ニュースなどによると、韓国の軍や情報当局では、発射されたのは「スカッド」と推定しているという。

 北朝鮮は先月27日にも、同じ場所とみられる地点で弾道ミサイル4発を発射している。韓国と米国は先月24日から、定例の合同軍事演習を実施している。北朝鮮は合同演習に強く反発しており、前回のミサイル発射と同様に、合同演習を牽制(けんせい)したものとみられる。
北朝鮮、またミサイル発射 日本海向け短距離2発 スカッドか、2014.3.3 09:51

えっ?この2回続けての短距離ミサイル発射と、一連の崔竜海情勢報道の間に、いったいなにがあると言うのでありましょうか、KAIさん?

と怪訝に思われるみなさまに、今回はこの背景にある本質的意味をご説明したいと思うのであります。

そうです、まずはこの、昨年末12月14日に書きましたエントリーを思い出していただきたいのであります。

今回の粛清の黒幕は、呉克烈(オ・グッリョル、1931年 - )であります。

呉克烈とは、いったいいかなる人物であるのか。

いまのいま、この人物を理解することが、これから起きる出来事を明確に理解するための礎となるのであります。

ここで、これを超簡単にご説明させていただきますならば、この男こそ、金正恩政権を倒してクーデターを企てている張本人なのであります。

と、唐突にこれを申しあげましても、わけわかめでありましょうから、順を追ってご説明することにするのであります。

いまのいまの現在、北朝鮮のNo.2と言えば、崔竜海(チェ・リョンヘ、1950年 - )。直近の金正恩映像にも側近として登場しているのであります。

この男の役職が、軍総政治局長、軍の最高位であります。

ところがであります。

崔竜海は、まったくもって軍人としての経験のない人物であったのであります。

これを国防委員会副委員長として支えているのが、生粋の軍人、呉克烈であったと言うわけであります。
呉克烈の陰謀

12月14日と言えば、張成沢の粛清が報じられる中、ほとんどのメディアが伝える前に、崔竜海がNo.2の地位にあることを記述していたのが、他のだれでもないこのKAIのエントリーであったのであります。

しかし、このエントリーの記述と、この一連の崔竜海と北朝鮮の情勢報道との間に、いったいいかなる関係があるのか。これを理解するための記述が、こちら。

これが何を意味しているかは、明明白白であります。

いまや、金正恩は、呉克烈の傀儡と成り果てたのであります。

もちろん、これが長く続くわけもないのであります。

それは、軍内部の、困窮に対する爆発であります。

そのための、呉克烈による崔竜海を頭にした軍部のクーデターと言うわけであります。
呉克烈の陰謀

そうです、軍内部の爆発、であります。

一連の北朝鮮によるミサイル発射とは、軍内部の一部部隊による反乱以外のなにものでもなかったのであります。

このところの、崔竜海の不在とは、この鎮圧に奔走していた。

かように考えれば、すべて、納得のいく説明ができると考えるのであります。

金正恩にとって、気が気ではないものの、崔竜海をあてにするしかないと言うわけであります。

しかし、その後に待ち受けるのは・・・

はてさて、いかなる展開となるのでありましょうか? KAI

(追記)
とんでもない事件が飛び込んできました。

マレーシア機不明事件であります。

 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは9日、北京行きのマレーシア航空機が消息を絶ったことに関連し、中国の最高指導部が8日、軍に対し、北京中心部に近づこうとする不審な民間機があれば撃墜するよう緊急命令を出したと伝えた。

 同センターは、マレーシア航空機に爆弾を持った人物が搭乗し、北京上空で乗っ取って中国の権力の中枢「中南海」に突っ込む予定が、発見されて爆破した可能性があると指摘している。根拠は不明。

 北京では全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開会中で、厳戒態勢が敷かれている。マレーシア航空機には、盗難パスポート(旅券)で搭乗した疑いのある乗客が複数いたことが確認されている。(共同)
不審民間機の撃墜命令か 中国軍、北京中心部上空で、2014.3.9 17:52
この記事を読んで、咄嗟にKAIが思い出したのが、こちらであります。
大韓航空機撃墜事件

いまから30年以上前の事件でありますので、いまの30代以下のみなさまにとってまるで圏外の事件でありますが、撃墜したのが当時のソ連、これが中国であると言う構図であります。

しかし、その首謀者は、いまだに不明。

ところが、それを暗示する事件が、撃墜事件の4年後に起きる。

大韓航空機爆破事件
いかがでありましょうか。

今回の事件の首謀者、北朝鮮。中国上空での爆破を回避するために、これを事前にキャッチして撃墜したのが、中国。

なんて、あり得ない話ではない。

(追記その2)
続いての北朝鮮情勢です。

北朝鮮の国営テレビは、キム・ジョンウン第1書記が9日、最高人民会議の代議員選挙で投票した際、妹のキム・ヨジョン氏を同行させたと伝えました。
ヨジョン氏が名前を紹介される形で公式な報道に登場したのは初めてで、指導部内の世代交代を印象づけるねらいがあるとみられます。
キム第1書記の妹 初めて公式報道に登場、3月10日 4時23分
いよいよ、呉克烈の傀儡となって孤立を深める金正恩にとって、頼れるのは実の妹のみ。

しかしながら、実の妹とはいえ、26歳と思われるうら若き女性に、力があるはずもないのであります。

かえって、金正恩の孤立を際立たせるできごとである、と言うのが、KAIの見立てであると申しあげるしだいであります。

念のため、NHKの記事の続きをそのまま引用しておきます。

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは9日、5年ぶりに行われた最高人民会議の代議員選挙で、キム・ジョンウン第1書記がピョンヤン市内の投票所を訪れ、軍人の候補者に一票を投じたことを9日夜、写真と共に伝えました。
その際、キム第1書記の妹のキム・ヨジョン氏が「朝鮮労働党中央委員会の幹部」の1人として同行したことも伝え、公開された写真には黒のスーツ姿に長い髪を後ろで束ねたヨジョン氏がキム第1書記の後ろを歩く様子や、投票箱に投票用紙を入れる姿が写っています。
ヨジョン氏を巡っては、以前、その姿が国営テレビの映像に映り込んでいたことはありましたが、名前を紹介される形で公式な報道に登場したのは初めてで、今後、キム第1書記の視察にたびたび同行するなど存在感が増すことも予想されます。
キム第1書記としては、父親のキム・ジョンイル総書記の妹であるキム・ギョンヒ氏が、夫のチャン・ソンテク氏の粛清によって後見人としての影響力を失ったことを受け、みずからの妹を側近として登場させることで指導部内の世代交代を内外に印象づけるねらいがあるとみられます。

キム・ヨジュン氏とは

北朝鮮の国営メディアで初めて名前が紹介されたキム・ヨジョン氏は、キム・ジョンイル総書記と、大阪出身のコ・ヨンヒ夫人との間に生まれた3人の子どもの末っ子で、キム・ジョンチョル氏とキム・ジョンウン第1書記という2人の兄がいます。
年齢は現在、26歳とみられており、キム第1書記と一緒にスイスに留学した経験があるとされています。
ヨジョン氏の姿が初めて国営テレビで確認されたのはキム総書記が死去した2011年12月で、キム総書記の遺体の前で朝鮮労働党や軍の幹部よりも前に立って一礼する様子が映り込んでいました。
また、おととし11月には、軍部隊を視察したキム第1書記と共に白馬に乗った姿が伝えられましたが、これまでヨジョン氏の名前が紹介されたことはありませんでした。
ヨジョン氏が、どのような活動をしているのかははっきりしませんが、今回、「朝鮮労働党中央委員会の幹部」の1人としてキム第1書記に同行したことから、党内で重要な役職に就いているとみられます。

(追記その3)
またまた新情報であります。

【ソウル=名村隆寛】聯合ニュースなど韓国メディアは13日、韓国情報当局の話として、北朝鮮で9日に行われた最高人民会議(国会)代議員選挙に関し、処刑された張成沢(チャン・ソンテク)氏の妻で金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔母、金敬姫(ギョンヒ)氏が、代議員から外れた可能性が高いと報じた。

 2009年の前回選挙では、金敬姫氏と名前の読み方が同じ「金京姫(ギョンヒ)」という人物が中国に近い平安北道で当選。今回の選挙でも平安北道で「キム・ギョンヒ」という人物が当選している。

 韓国統一省関係者は「金敬姫氏が平安北道で立候補する理由はあまりない」としており、当選したのは金京姫氏とみられるという。

 選挙は信任投票で、1選挙区の候補者は1人。信任率は100%だった。金敬姫氏は最初から、候補者名簿から外れていた可能性が高い。韓国情報当局関係者は、金第1書記との対立か自ら辞退した可能性をあげているという。韓国メディアは当初、金敬姫氏が当選者に含まれると報じていたた。

前回の12月15日のNHK報道によれば、依然金敬姫健在とのことでありましたが、これはやはりがせだったようであります。

金正恩の孤立は、もはや確定的事実であります。

呉克烈によるクーデターが、いつ勃発するのか。事態は、予断を許さない状況まできたと言うことでありましょうか。