情報戦とは--孫子の兵法応用編・シーズン2(5)

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まずは、このNHKニュースをお読みいただきたいのであります。

日本維新の会のエネルギー調査会は、原子力政策などについて意見集約を進めるために設けられました。
6日の初会合で、会長に就任した石原共同代表は、原子力発電について、「地球温暖化の問題もあり、必要で活用せざるを得ない」と述べました。
そのうえで、石原氏は、原子力関連技術をトルコとUAE=アラブ首長国連邦に輸出できるようにするための原子力協定に党が反対を決めたことに対し、「多数決で反対を決めたのは高校の生徒会のやり方であり、本当にばかばかしく恥ずかしい。私は採決の時に賛成する」と述べ、党の方針に反し、賛成することも辞さない考えを示しました。
原子力協定 石原氏 党の方針に反し賛成へ
なかなか面白い展開になってきたのでありますが、この石原慎太郎の問題発言がどこから出てきたかと言えば、先にKAIがこのエントリーで取り上げました、この問題が発端であります。
 橋下氏を思う気持ちは変わっていないが、世論の橋下氏への評価が下降気味なのが気になるようだ。石原氏は橋下氏の出直し市長選について「結果は同じだ。(市議会の)分布勢力は変わらない」とその効果に懐疑的な見方を示し、多数決で物事を決める維新の党運営には「そんな政党はありえない。高校の生徒会ではないんだから」と苦言を呈していた。
維新・石原氏、みんな・渡辺氏、連合・古賀氏…気になる政治家にメッセージ
なぜ石原は、ここにきて「高校の生徒会」発言を連発し始めたのでありましょうか。

もちろんこれは、この問題について前回レポートいたしましたとおり、直接の原因は石原慎太郎の「無理解」にあるのでありますが、それよりなにより最も重要で大きな原因が他にあるのであります。

それが、なんであるのか、これを今回はみなさまにご説明して、そのことの理解が維新のこれからを占うきわめて重要なポイントとなることも、あわせてご説明したいと思うのであります。

結論を先に申しあげますならば、石原慎太郎にとって橋下徹の強さとは何か、これを石原は完全に見誤っていたと言うことであります。

具体的には、石原にとって橋下の強さとは、一言で言って「押しの強さ」であります。自分の結論でもって相手をぐいぐいと引っ張っていく。そのためなら徹底して論戦を挑んでいく、そう言う闘争心を、慎太郎は橋下徹に感じて、ちょうど2年前、こう決意していたのであります。

石原慎太郎の頭のなかを、いまここでKAIが明らかにするのであります。
維新の会を100人レベルの政党にして、橋下を首相にする
彼の、頭の中は、ただただ、これだけなんであります。
石原慎太郎はオトコであります、投稿日:2012年4月12日
慎太郎の人を観る目は、決して間違ってはいなかった。しかし、その理由を決定的に勘違いしてしまっていたのであります。

橋下徹の強さとは、徹底した「ロジック思考」の強さであります。

え?ロジック思考って?とよくわからんと思われる方は、以下のエントリーをご参照いただくとして、お話を先に進めさせていただくのであります。

ロジックとレトリック−−rhetoric vs. logic
このロジック思考とまったく逆となりますのが、いままでさんざんこのレポートでも糾弾してまいりましたウチダ先生を筆頭にしました日本中の識者といわれる方々に蔓延する思考方法でありますところのレトリック思考と言うものであります。

実は、石原慎太郎も、このレトリック思考の典型的持ち主であったのであります。

このあたりのこまかい説明は端折らせていただきまして、ここで重要な指摘をさせていただくのでありますが、これは最近気づいたことであります。

なぜレトリック思考者は、ロジック思考者の言うことが理解できないのであろうか、と長年これがKAIは不思議で仕方がなかったのであります。

これが氷解した。

レトリック思考者にとっては、ロジック思考者は、そのまま決してロジック思考者といったものに見えることはなく、見えているのはあくまで自分と同じレトリック思考者であった。

そうです、石原にとって橋下は最強のレトリック思考者に見えていたのであります。すなわち石原から見た橋下の「押しの強さ」とは、レトリック思考における「結論」の押しの強さであり、橋下の徹底した論戦は、この「結論」を導くための「説明」であるとの認識から一歩も外れることができないのであります。

しかし、ロジック思考である橋下にあるのは、まずは「哲学」であります。彼は決して最初から「結論」ありきの議論をすることは一切ないのであります。

でありますから、途中で「結論」はいくらでも変わってくるし、まったくもってそれでいい、それこそが議論の成果だと思うのであります。

これを反橋下は、結論がくるくるかわる、ああ言えばこう言う、と批判の嵐を浴びせかけるのであります。

今回の出直し市長選についても、石原にとって、レトリック思考者であるべき橋下のやるべきことは、選挙などではなく、法定協議会の独裁という「結論」であり、多数決である選挙などまったく意味を感じることができなかったと言うことであります。

原子力協定問題においても、しかりであります。

橋下流ロジック思考からすれば、議論を尽くした上の多数決であります。

この議論が尽くされていたのか、これを問題にすることなく、自分の「結論」に合わないと造反をほのめかすなどと言うのは、まるでだだっこそのままであります。

しかし、これも石原慎太郎一流の直感であります。

今の橋下徹の威信の低下とこれに伴う維新の党勢の衰え。このすべての原因が、(石原から見た)レトリック思考的押しの強さの衰えにあり、その典型が多数決であり、これをして「高校の生徒会」と言わしめた、とかように理解すればよろしいのであります。

もちろん、こんな石原の懸念など杞憂に終わるのでありますが、これをいつまでも理解しようとしない石原にこそ、問題の火種が残り続けていることは、前回のエントリーですでにご説明したとおりなんであります。

と言うことで、これから維新はどうなっていくのか。

まずは、市長選でありますが、徹底した都構想への市民の理解は、これも1ヵ月以上も前から以前のエントリでご説明したとおりであります。

まず、出直し市長選。

無投票になるとの憶測もあるのでありますが、共産党が対立候補を擁立しないわけがないのであります。

当然のように、都構想が争点になるのでありまして、これをメディアが取り上げないわけにはいかない。結果、大阪市民や国民の多くのみなさんに、あらためて都構想を告知する機会を得ることになるのであります。

万一、無投票になったとしても、告示日までの間のメディア露出で、一気に勢いを取り戻すことになるのであります。
「正統性」思想とは--大阪市長出直し選と内閣府職員死亡事件、投稿日:2014年2月 2日

マック赤坂のおかげで無投票は避けられたようであります。

結果は、一気に都構想一色であります。

自民民主共産公明、反対や慎重論の声をあげればあげるだけ、市民は離反していく。

なぜなら、彼らが、市民のためにではなく、自分たちの議席を守るためだけに声をあげていることに、選挙をつうじていやというほど市民の人たちが気づいたからにほかなりません。

これで一挙に維新も党勢を取り戻す。

さて、ずいぶん長くなってしまいましたので、こちらの問題はまた次回と言うことで。

ケネディ駐日米大使はNHK取材を拒否していなかった!

こちらも、なかなか興味深いものがあるのであります。 KAI