ウチダ先生は、この経済問題に正答できるのか?(2)

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さて、前回は、ウチダ先生の思想家たる資格としての「基礎的知識」を問うために、藤野英人氏の記事を引用させていただいたのでありますが、この記事の中に、きわめて興味深い記述があるのであります。

リスクを負うことは悪、という考え方が若い人からシニアにまで幅広く信じ込まれています。リスクを負うことは善悪の問題になっていることを私は問題視しています。

リスクを負うことは悪なので、起業家は悪人に見えるという構図があります。さらに、リスクを負うことは悪なので、投資家も悪人に見えるという構図もあるでしょう。しかし、私たちの先輩たちは不確定な未来に対して挑戦し続け、ある人は失敗し、ある人は成功し、そしてその成功者が切り開いた果実をいま、皆で分け合っているのです。失敗するかもしれないリスクを負って挑戦する「殊勝な」人がいるおかげで社会が発展しているわけです。

日本経済が苦しんでいる背景の一つは、リスクを取らないことを善しとする社会の広がりでしょう。そしてその理由を考えると、一つには単に「学んでいないだけ」というシンプルな結論に行きつきます。もちろん経済のことを勉強したら誰もがお金持ちになれる、というようなことではないでしょう。しかし、経済の基本的な知識が劣っている国が、世界との経済競争で負けてしまうのは仕方がないことだと思います。
日本の経済成長は、政府の選択ではなく私たちの意思にかかっている!

またもや、これは「レトリック思考」の嵐であります。

日本社会の多くのみなさまが毒された、この「レトリック思考」による影響が、こうした形で、日本国そのものの「国力」に決定的影響を及ぼしていたとは、これは決して看過できるものではないのであります。

この「リスクは悪」と、「レトリック思考」の間には、まったくもって不可分の関係があるのであります。

このお話をみなさまにいかにご説明すればよろしいのやら案じておりました矢先、天啓、まるでグッドタイミング、お騒がせご当人のウチダ先生が記事を書いておられるのであります。

彼の党が今採択しようとしている法案には「特定有害行為」の項で「テロリズム」をこう規定しているからだ。
「テロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう)」(第12条)
石破発言について
まことにもってKAIは、この一文を目の当たりにして、日本の思想家のレベルの、あまりにも次元の低さに重傷的眩暈を催すのであります。

あのですね、ウチダ先生。

「法案」とは、概念定義の「結果」であります。

概念定義は、決して「法案」であってはいけないし、もちろん制定された「法律」であることが、決して許されることは、あり得ないのであります。

哲学的、思想的、法概念の規範は、決して、その「法文」に在らす。

これが、法の「基礎的知識」であります。

「法文」を根拠に仕事する人を、裁判官と言うのであります。そしてそれは、裁判官だけで十分。

つまり、裁判官でない、思想家が、その思想の「根拠」とするのは、自らの打ち立てた「哲学」以外には、まったくもってありえないのであります。

ウチダ先生が、自らを思想家と自称なされるならば、この問題は、ウチダ先生のこれから20年間のお仕事の歴史的評価を決定的に貶めることになると、いまKAIはご忠告申しあげるしだいであります。

(レトリック思考とは、「結論」を根拠に展開する思考方法)

と言うことで、本題のリスクは悪であります。

とどのつまり、結論を申しあげますならば、リスクが悪とは、レトリック思考の「必然」であります。

どう言うことかと申しあげますならば、レトリック思考と言う病理でことごとくすみずみまで汚染されつくした日本社会にありましては、「結論」が、あらゆるすべての議論のスタートとなるのであります。

この「結論」が、まずもって先にあるのであります。

でありますから、「リスク」を「ギャンブル」であると結論を持つ人々にとって、これは「リスクは悪」であることが、あらゆるすべてに議論を含めた「発想」のすべてとなるのであります。

でありますから、普通のみなさまにとって、リスクとは、一番理解がしやすい身近なギャンブルをたとえに、思考をスタートされるのであります。

当然のごとく、ギャンブルは「悪」であります。

と言うことで、たまたま成功して、リスクの「結論」が、大成功と言う個別的事例以外は、基本的に、「失敗」すると言う「結果」に終わるのであります。

この「失敗」と言う「結論」が、あらゆる場面で、議論のスタートになるのでありますから、結果的に、いかなる議論を展開しようと、「リスクは悪」が変わることはないのであります。

では、これをどうやれば、変革できるのか。

この「秘策」のヒントが、閃いたのであります。さて、その秘策とは? KAI