ってことで、こんなお話であります。
本書を読み終えて、つくづく思うのは見積もりは正確に、というところです。正しい工数を見極めるための要件定義やプロジェクト管理であると言えましょう。ぶっちゃけ、携わっていると「そんなの知ってるよ」ってなりがちなことでも丁寧に折り返しながら日々の業務を思い返すだけでもこの本の値段分以上のストレスは解消できるのではないかと思います。工数、すなわち原価。こんな原価(人月)見積もりの精度をいくら上げたところで、根本の問題はまったくもってなにも解決しない。
(【書評】『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』(細川義洋・著))
聡明なる一郎くんも、とっくのむかしから気づいていながら、でもこれを放置する。
なぜか?
圧倒的に、これをうまくやりさえすれば、ぼろい商売だからであります。
人月商売ほど、すてきで、楽な商売はないのであります。
であるからして、彼らは、決してこの人月見積りをやめようとはしない。つまりは、そう言うことであったのであります。
このお話は、これからIT業界に就職しようとする、若い学生の方々に、ぜひともおききいただきたい、しかも、みなさんのこれからの人生の命運をも左右する、きわめて重要となる、そんな内容であるのであります。
と言うことで、おそらくわけわかめでありましょうから、もう少しわかりやすくご説明することにするのであります。
■「テレブ」と言う商品を売るビジネス
いまあなたは、テレブ業界に就職しました。
テレブ業界とは、どんな業界であるのか。これからこれをKAIがご説明するのであります。
ここでみなさんには、ぜひともご理解いただきたい、基本中の基本のお話があるのでありますが、あらゆるビジネスモデルにとって、売り上げとは、単価かける数量、であると言う、そう言う真実であります。
もちろん、こんなこと、あたり前田のクラッカー、いえいえ、当たり前のお話であるのであります。
例えば牛丼のお店に入って、すべて単価かける数量。
毎月のスマートフォン利用料も、明細を見れば、ことごとくにすべて単価があって、その数量がある。
でありますから、「テレブ」業界も同じであります。
テレブと言う「商品」の種類ごとに、単価があって、その数量がある。もちろん、この単価を決めるために、その商品を作るために、何人で何か月の工数がかかるか事前に計算して、その上で、これにいくらの利益をのせればいいか。このすべてを予測することで個々の単価、すなわち価格を見積もっていたのであります。
もちろん、工数なんてまるで無縁の業界もある。「テレビ」業界が、それであります。番組1ワク、1000万円のビジネスであります。CF単価50万円×20回。すべて単価かける数量は、健在なのであります。
ところが、テレブ業界の風雲児、一郎社長は、あまりに仕事が忙しいものだから、商品ごとに見積もりをするのではなく、その商品を作る工数の見積り、すなわち人月見積りを、この商品見積りに代用してしまったのであります。
かくして、「テレブ」が、「人月」になり、この数量をいくつにするか。これがテレブ業界の見積りとして蔓延することとなったのであります。
ホームページの制作の見積りも、これだけのグレードのページだから1ページ単価いくらではなく、これをつくるのに必要な人月単価が上級エンジニア3人月必要などといった、まったくもってふざけた見積もりがまかり通るようになってしまったのであります。
であるからして、一郎くんが、悪いのであります。
もちろん、よくきく言い訳がある。
研究開発であります。
まだこれから出来上がるはずの商品が、なにものであるか、さだかでない。
だから、これにどれだけ原価がかかるか、この見積もりを代用するのだと。
もちろん、それもけっこうであります。
でも、それは、たんなる技術者の「人売り」商売。遠く昔のアフリカの奴隷売買と、一体何が違うのでありましょうか?
そうではなく、この研究開発の価値は1件1億円、これが今回5件、締めて5億円の見積りとなります。
と、なぜ見積もりができないのでありましょうか?え?一郎くん? KAI
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