直前のエントリーに、KAIはこんなことを書いたのであります。
この「意味」を、哀しいかな「メディア」は、理解ができない。「メディア」だけじゃなく「誰も」理解できないよ、KAIさん、とのお叱りをうけてしまいましたので、少々長くなりますが、この「意味」を、順をおってご説明したいと思うのであります。
(次なるチェックポイントとは?--それは6月10日と17日であります)
始まりは、2007年1月9日。
従来のケータイの、ボタンインターフェイスの代表がiモードです。このiモードによってインターネットへのアクセス自体は可能になりましたが、このiモードはMS-DOS時代と同じCUI(キャラクターインターフェイス)と何ら変わりありません。そのため時代は目一杯GUI(グラフィックスインターフェイス)であるにもかかわらず、CUIであるケータイアプリと言う特殊領域を生み出してきたのです。あの日ジョブズが、iPhoneを発表した。これに感動して書いたのが、このエントリーであったのであります。こんな状況で、iPhoneモードの誕生です。ケータイアプリは劇的に変わります。いえ変わらざるを得ません。
しかもこれはスマートフォンに限った話ではありません。普通のケータイのインターフェイスに、このiPhoneモードが追加されていきます。しかしそれは、やがてiPhoneそのものと同じようにボタン自体を放逐し、iPhoneモードのみになっていきます。もちろん入力画面はQWERTYモードと親指モードの両方が選択できるようになっています。
つまりもはやiモードではなく通常のパソコンと同じインターフェイスが実現するのです。ただ単に多少インチの小さいパネルと言う違いだけです。この結果アプリケーションが共通化されていくと言う流れは、昨年夏のエントリーパソコンの未来の中に書いたとおりです。
もし本当にそうなれば、キャリアの大半の今のビジネスモデルは間違いなく破綻します。
唯一ここで生き残るのは、通信はグレードに応じた定額制、コンテンツダウンロード単位の従量制、この二つをバインドして提供できるキャリアのみです。
もちろんこの流れに理をたて消費者になきに訴えiモードの延命をはかるキャリアが大半であると、思います。しかしひとたび得たインターフェイスの進化と言う果実にあらがうことがもはや不可能であるのは、人がやすきに流れるものである真理に照らしてみれば、火を見るより明らかです。
これは、もし2008年ソフトバンクが堰切ったとして、意外に早い2011年には結果がでていると思われます。もしこのソフトバンクが、純正のiPhoneでなくてもiPhoneモードのインターフェイスのケータイのラインアップとそれをバックアップするサービスを提供できれば、結果は同じ流れになります。
GUIのインターフェイスを誰が提供しようが、ユーザーには関係ありません。しかしジョブズの、このまた新たな偉業に世の中がおおきくうねりを上げて旋回していくのは、間違いないと思います。 KAI
(時代はiモードからiPhoneモードへ、投稿日:2007年1月11日by kai)
そして、時代はことごとくが、この日考えたとおりになった。
すなわち、この6年半の時代の流れを見るだけで、この「意味」が理解できると、つまりはそう言うことであります。
まずは、2007年6月29日初代マシンの米国発売。
そして、こんな速報があがっています。ジョブズが、iPhoneになにを求めていたのか、それが「開発者にとって最高のモバイル・プラットフォーム」であることを明かした瞬間であります。
だからBlogはやめられないと、ほんとに思う。こんなすばらしい情報をどのメディアも報じない。たった今アップルのホームページで発表されたばかりの資料。Steve Jobsが自ら書いたニュースリリースだ。ざっと訳してみる
iPhone向けのサードパーティ・アプリケーション
思い切って言ってしまおう。サードパーティによるiPhoe向けのネーティブなアプリケーションが欲しいんだ。2月には開発者の手にSDKを渡すつもりだ。iPhoneのまわりに活気に満ちたサードパーティ開発者のコミュニティを作り、何百もの新しいアプリケーションをユーザーに届けることにエキサイトしている。iPhoneが持つ革新的なマルチタッチ・インターフェイス、パワフルなハードウェア、そして(他の携帯電話よりも)遥かに進んだソフトウェア・アーキテクチャで、開発者にとって最高のモバイル・プラットフォームを提供できると確信している。
(Apple 、iPhone用のSDKを来年二月にリリース:待望のiPhone向けのネイティブ・アプリの開発が可能に)これがモバイルマックの始動であることは、間違いありません。
いよいよコンピュータの最終戦争が始まります。
こんな凄い現場に立ち会うことを許してくれた神に、KAIは真に感謝します。
これからの10年が、21世紀のコンピューターのカタチを決める、まさに世紀の戦いの時代です。これに参戦するしか、君、ないのではありませんか。 KAI
(コンピュータ最終決戦勃発、投稿日:2007年10月19日by kai)
そして、この翌年2008年7月11日、iPhone3Gが日本に登場する。
そうむかし、行列を作って買い求めたパソコンとWindows95と寸分たがわず同じです。「この記事」を読むべし、と書いたこの記事が、こちらであります。行列を作っている人々は、誰もフォンを買うために並んではいません。みなコンピュータを買うために並んでいるのです。まったく新しいコンピュータ、モバイルコンピュータ。
ザ・モバイル、人々が求めているのは「モバイル」なのです。
これが理解できない業界関係者は、この記事を読むべし。 KAI
(iPhone3G考(2)、投稿日:2008年7月11日by kai)
――iPhone向けアプリを開発しようと思ったきっかけは。日本の開発者たちにとって、待望の瞬間であります。
iPod touch専用サイト「Do the Hudson!!(β)」を昨年12月に開設したのですが、ちょうどそのころから、JailBreak(※編集部注:iPod touchやiPhoneの脆弱性を利用することで、ユーザーが好きなアプリケーションをインストールできるようにする手法のこと)を利用したiPhone向けアプリの映像がYouTubeに投稿されるようになって、「何じゃこりゃ?」と思ったんです。そして、そこに投稿されているさまざまな動画を見たとき、ゲーム屋として「これは大変なことになるかもしれないな」と、強く感じたんです。鉄の玉を転がして迷路を移動させるアプリを見て、この端末は一体どうなっているのかと。非常にセンシティブな加速度センサと、それに対応するソフトウェア。そこにまず衝撃を受けました。
その後、「iPhysics」(画面上に書いた線や点が形になり、画面上で動くというもの。重力や加速度などの物理計算を加えることで自然な動きが再現されている)などを見て、「これはすごいな」と。端末のポテンシャルもそうですし、インターフェースをうまく使うことで、すごいソフトウェアが作れるのかもしれないと感じましたね。
それから、日本での認知度がものすごく低いとも感じました。(iPhoneがすごいと)騒いでいたのは本当に一部の人だけで、ほとんどの人が知らないのが多分当時の状況だったんじゃないですかね。私もハドソン社内で「これはすごいよ」と言っても、ほとんどの方が初めて(アプリの動画を)見るという感じで、全然知らなかった。「え、こんなことができるんですか」と。
逆に、そのときに思ったのは、日本のプログラマーのコアな連中も知らないんだなと。英語の壁もあるでしょうし、「どうせまだ日本には来ないし」みたいなイメージもあったと思うんですが、とにかく日本にすごく情報が少なかったので、これは今のうちに動いておくと、大きなチャンスになるのではないかと感じました。
(ゲームソフト会社から見たiPhoneの魅力--「ここまで整ったプラットフォームは世界初」、永井美智子(編集部)、2008/07/11)
そして、続いてのiPadの登場であります。
いずれにせよ、iPadによってまたしても「コンピュータ」がまた一歩次なる次元に進化したことは、間違いないのであります。 KAIしかし、これに満足できない人物がいたのであります。
(iPadとは究極の「モバイルコンピュータ」、投稿日:2010年4月9日by kai)
清水「そんなことないですよ。元パナソニックの岩佐さんが立ち上げたCEREVOとか、ほかにもいくつかあります。ただ、コンピュータをまるごと作る、再定義する、となるとこれはもっと別の発想が必要になります。いま、ぜんぶアラン・ケイのDynabookでしょ?1970年の世界観ですよ。それがやっと実現された。ところがDynabook以降の世界というのは、Dynabookにいかに近づけるか、という世界になりました。そこでイマジネーションの進化が完全に止まっているんです。Dynabookっていうのはそもそもパーソナルコンピュータというのが"仮に"実現するとしたら、どんな形が理想なのかという視点で考えられたものです。当時はコンピュータというのは大勢の人間が一台のコンピュータを共有する、いわゆるメインフレームモデルで、一人一台のコンピュータの時代なんていうのは想像することすら難しかった。そのジャンプを敢えてやったのがDynabookなんです。だからアラン・ケイが"パーソナルコンピュータの父"と呼ばれているわけですよ」そうです。パソコンの歴史の中の大御所中の大御所、アラン・ケイであります。日経「それがiPadで実現した」
清水「そうではありません。アラン・ケイ自身は"iPadはDynabookではない"と明言しています。何度もね。比較されることを非常に怒ります。なぜか。プログラミングができないからです。プログラミングができないものは、ケイによれば"コンピュータではない"。与えられたコンテンツしか見れないものは、本当の意味でのコンピュータとは呼べないんです。コンピュータは、人類の進歩を後押しするためのツールであって、コンテンツを供給して堕落させるための道具ではない。iPadは、Dynabookもどきなんです。Dynabookではない。そしてDynabookを超えた先というのは、ユビキタスです。この概念も、Dynabookと同じく、ゼロックスのPARCで産まれました。1980年代、マークワイザーが、パーソナルコンピュータが実現したその先、複数人で一台を扱うメインフレームから、一人一台のパーソナルコンピュータ、そして一人が複数台、無数の偏在するコンピュータに囲まれるユビキタスコンピューティングという概念を発明するのです」
(なぜ、ベンチャー企業だけが「新しいコンピュータ」をつくることができるのか)
「プログラミングができない」
これこそが、iPhone、そして、iPadの、次なる「進化」にとって欠けているものなのであります。
ええ?
プログラミングができないって、できるんじゃありませんか?
みなさん、こう思われるでありましょうが、違います(キッパリ)。
「開発者」にとってプログラミングが「できる」のは、当たり前。
そうではなく、「ユーザー」にとって、「プログラミング」ができるかどうか。これが「問題」なんであります。
なぜ、これが「問題」となるのかのご説明は、これもまた長くなりますので、今回はこれが「アプリケーション価値」社会の問題であるとだけ申しあげて、次に進めさせていただくのであります。
この「プログラミングができない」と言う「問題」に、果敢に挑戦しているのがshi3zくんであります。
-- 開発者のためにハードルを下げたと。この引用の日経BPの記者が言う「開発者」とは、「ユーザー」のことであります。そうです。enchant.jsだったら1分もかからずに最初のサンプルが書けます。Ruby on Railsで掲示板を10分間で作るよりもはるかに簡単です。enchant.jsでは、10分間あれば好きなものが作れますから。
そこで、2年前から、enchant.jsのユーザーを増やす取り組みを始めました。2年経って、enchant.jsが結構はやってきて、何かプログラムを作りたいとなったときに「enchant.jsを使えば?」と自然にいってもらえるようになりました。ここで、enchant.jsをベースにしたプログラミング環境を備えたハードウエアが登場したら、より多くの人に興味を持ってもらえるのではないでしょうか。
(新たなコンピューティングパラダイムへの第一歩を踏み出す)
shi3zくんは、これをenchantMOON(エンチャントムーン)と言うマシンを創って、この「コンピュータ」の次なる「進化」を、まさにいま実現しようとしているのであります。
これが、どれだけ「凄い」ことなのか、どれだけ「意味」のあることなのか、これをKAIは、今回問うているのであります。
ここにきて、ようやく、「iOS7」でありますが、その前に、ジョナサン・アイブであります。
そして、このお話は、最終的にキーを握るのが、ティムではなく、ジョナサン・アイブとなるであろうことも容易に推察できるのであります。ジョナサン・アイブがどういった人物であり、どういった仕事をしてきたのか、この際、どうでもよろしいのであります。このアイブが、「ハードウェア」としての「iApple」ではなく、「アプリケーション」としての「iApple」をデザインする。
(iPad3、その分かれる評価の意味するものとは?、投稿日:2012年3月12日by kai)
「iOS」と「アプリケーション」、すなわち「ソフトウェア」、これを「デザイン」するとは、一体どう言うことなのか、いま理解する必要がありますのは、まさにこのことであります。
「iOS 7」のデザインをジョナサン・アイヴ氏が統括するようになったことで、NewStandやゲームセンター等にみられた、実物に似せた「Skeuomorphism (読み方:スキューアモーフィズム)」の排除が行われる模様です。Windows Phoneにみられる、シンプルでモダンなデザインへの転換となりそうです。リークによると、ロック画面は黒基調の非光沢となり、PINロックコードのボタンも黒い丸になっているとのことです。こんな見た目の「デザイン」に、本質的な「意味」は、ないのであります。一方で通知センターは、Androidのようになりそうです。黒系の背景に白いテキストという、極めてシンプルな通知センターとなり、さらにウィジェットやトグルスイッチが置けるようにテストが進められているようです。壁紙もAndroidのように横長のパノラマの画像が利用可能になるようです。
アプリのアイコンや、標準アプリのUIは白黒を基調としたOSに合うように、フラットにデザインし直されるとのこと。NewStandやゲームセンターはもちろんデザイン変更となります。また、HTC端末などのように天候がアニメーションで視覚的にわかるようになる模様です。
モノクロで、フラットなOSデザインへの再構築。iOSが誕生して以来、最大の劇的な変化になりそうです。「iOS 7」のリリース時期は秋になるといわれています。情報元:9to5mac
(iOS7は劇的な変化?「モノクロ」基調のフラットデザインになるとリークされる)
言うまでもなく、この「デザイン」変更は、今後のより「多様」な「アプリケーション」の開発に対応できるようにするためでありますことは、明らかなのであります。
と言うことは、
「プログラミングができるようにする」
ってことであります。
ひょっとして、enchant.jsとMOONBlockが実装されるかもしれない。
と言うことで、KAIの期待は膨らむばかりであります。 KAI
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