もしこのまま、原発事故の立件が見送られるようなことがあるとするなら、おそらくこれは、いまの日本では決して起こらないと信じられている、暴動が、間違いなくおこると、KAIは確信するのであります。
東京電力福島第1原発事故をめぐり、当時の東電幹部らが業務上過失致死傷罪などで告訴・告発された問題で、複数の同社幹部らが検察当局の任意の事情聴取に「実際に大津波が起きることは想定しておらず、事故は予見できなかった」などと、過失を否定する趣旨の説明をしていることが5日、関係者への取材で分かった。事故直後からKAIが言い続けていることでありますが、問題は「大津波」ではなく、「全電源喪失」であります。これまでの捜査で過失を裏付ける明確な証拠はなく、検察当局は対象者の立件見送りを視野に入れている。刑事処分は早ければ夏にも行う見通しだ。
告訴・告発の大半は過失罪で「事故が起きる可能性を予見できたか」「事故を回避できる可能性があったか」の2点が重視される。
関係者によると、検察当局の聴取に当時の東電幹部らは、津波対策の必要性について認識がなかったことを証言。事前の試算で15メートル超の津波が襲うことも想定されていたが、「あくまで試算で、実際に起きるとは考えていなかった」とし、事故は予見できていなかったとの見方を示した。
(原発事故、立件見送り視野 東電幹部ら「大津波想定せず」)
たとえ「大津波」が想定外であったとしても、「全電源喪失」を想定外とすることは、決して「許される」ことであってはならないのであります。
もし、これが「法理論」的に許容されることがありえると言うのであれば、それは原発は最初から、大量の「放射能汚染」が「許容」されていたことになるのであります。
まず、これをご説明したいと思うのでありますが、当時から「リスク論」の喩えで、飛行機事故が持ち出されるのであります。
つまり、飛行機が事故で墜落したとしても、いかに人命を守ることができるかと言う問題であります。
原発にとっての「全電源喪失」は、直接的に「炉心爆発」や「メルトダウン」と同義の、「致命的」事象と言えるのであります。
飛行機にとって「致命的」事象と言えば、そのまま墜落に直結する尾翼あるいは主翼のコントロールの喪失に相当するものであります。
でありますから、飛行機の設計においても、またパイロットの訓練においても、このコントロールを喪失する事態において、「想定外」はありえないのであります。
もしあり得たと言うことであれば、それは「設計ミス」であり、「訓練ミス」であって、いの一番に刑事責任を問われることになるのであります。
でありますから、先日のボーイング787のようにバッテリーが火を噴いても、そのまま墜落するわけではなく、安全に人命を守ることができるのであります。
これが、例えば飛行機に隕石が衝突して、機体に穴が開いたと言うような事故ではどうか。
もちろん、これも決して、飛行機事故においては、「想定外」でもなんでもないのであります。
え?
隕石が衝突するなんて、ありえないと思われるかもしれないのでありますが、ISSすなわち国際宇宙ステーションでは、当然も当然に「想定内」であり、もしそんなことがあっても、バックアップスペースに避難できるように設計されているのであります。
では、飛行機はどうか。もちろんこれも「想定内」。
隕石の大きさとスピードによって、機体のどこに衝突すれば、どのような事態になるのか、これをすべてシミュレーションした上で、機体のそれぞれの部位の強度を計算しているのであります。
つまり、これ以上の衝突があれば、機体が破壊され、墜落し、全員死亡することもまた、すべて「想定内」で計算されていると言うことであります。
当然のように「全電源喪失」と言う事態も、「想定内」で計算されているのであります。もちろん、隕石が衝突して穴を開けたとしても「全電源喪失」に至らないように設計されていると言うことであります。
それでも、万一「全電源喪失」となった場合にそなえて、最低限の手動によるコントロールを確保できるように「設計」されており、この操作はパイロットのきわめて重要な訓練の一つであり、しかもこれは、定期的に繰り返し訓練されるものなのであります。
ところがであります。
原発においては、これがまるで違っていたのであります。
「全電源喪失」は、まるで「想定外」であり、設計上の手動操作も、その「訓練」は一度として行われたことがなかったのであります。
今回の大津波は、さきほどの隕石の衝突のお話に相当するものでありますが、彼らに言わせれば、この大きさの隕石が衝突すれば墜落しますよと言う想定ではなく、隕石の衝突自体、ありえない、つまり「想定外」と、立場もわきまえないで主張するのであります。
でありますから、今回の問題を、決して「大津波」の問題を土俵にして争ってはいけないのであります。
すべての問題は、「全電源喪失」にあるのであります。
「全電源喪失」に至る、この「原因」は、今回の原発事故においてまったくもって関係なし。
この立場を貫けるかどうか。
これにすべてがかかっていると言えるのであります。
と言うことで、争点を整理すると、以下のようになるかと思われるのであります。
- 原子炉の設計上、「全電源喪失」が起きた場合を想定されていたかどうか?
- これが想定されていた場合、「全電源喪失」が起きた場合の運用マニュアルは存在していたか?
- この運用マニュアルによる訓練は行われていたかどうか?
まず一番にあげてくると思われるのが、「法令」であります。
もし、ここで、「全電源喪失」の想定も、その「運用マニュアル」も、その「訓練」も、「法令」で免責されていたと言うなら、その「法令」自体について争うことになると思われるのでありますが、まさか、飛行機事故で、緊急時、危険回避義務が免責されるなどありえないことであります。
それでもなお、立件が見送られると言うなら、神は、日本の「司法当局」に、間違いなく天誅をくだすと、KAIは思うのであります。 KAI
コメント