第二の脳と桐生祥秀くんの運動能力

  • 投稿日:
  • by

先のエントリーでiPS細胞についてあれこれ考えたのでありますが、思うにつけ私たちの身体の仕組みとはなんとも不可思議にみちみちているのであります。

これも、そのひとつでありますが、今回最初のお話は、「腸」は第二の脳であると言う、有名なお話についてであります。

?たとえば、腸には神経細胞(ニューロン)が一億個も存在する。神経系の総元締めである脳を除けば、これほどたくさんのニューロンを擁しているのは脊髄と腸だけだ。しかも、中枢神経である脳の管理下から離れ、腸の働きのためだけに特化した独立部隊である。

「いまは他のことにエネルギーを使いたいから、消化活動を止めておこう」

?もしあなたがそう考えたとしても、腸が休んでくれることはない。あなたの意思=脳の指令にはお構いなしに、粛々と、そして黙々と自らの務めを果たしていく。実際、脳とつながる神経を切断しても、腸は何事もなかったかのように消化・吸収を続ける。完全に自立=自律した臓器なのだ。
『からだの中の外界 腸のふしぎ』著:上野川修一、からだの中にある「もう一つのいのち」

そもそも、「脳」とはなんであるのか。

私たちがこれを考えますとき、ともすると「頭部」にある脳だけを特別なものとして、これを分離してその機能を考えがちではないかと、かような疑問がわいてくるのであります。

すなわち、そうではなく、「脳」を「五官と中枢神経が脊髄を通して繋がる一体の神経系」である、こう考える方が自然ではないか、と言うことであります。

そして、この考え方をそのまま「腸」の神経系に適用したのが、上掲の「腸」は第二の脳であると言う言葉であったと言うわけであります。

すなわち、五官の皮膚の神経と同じように、「腸」の内壁の個々の神経が、「中枢神経」として機能する「腸」全体に張り巡らされた神経系のネットワークと直結して、第二の脳として機能していると言うことであるのであります。

でありますから、「頭部」にあります第一の脳とまったく同じような機能が、この「腸」と言う第二の脳にもあるのではないかと言うことも、容易に推測できるのではないかと思うのであります。

と言うことで、これまでここで何度も取り上げてきました「無意識」の世界とは、実はこの第二の脳の「意識」の世界ではなかったのか。これが、今回のKAIの考える「仮説」であります。

もしこれが真実であるとするなら、実にいろいろなことが見えてくるのであります。

そのうちのひとつが、これも先日からのテーマの一つでありますところの、「当事者意識」、「内なるもの」の、その「効果」の「メカニズム」なるものであります。

この詳細なメカニズムは、また別の機会にご説明させていただきたいのでありますが、簡単に申しあげますならば、前頭葉で考えるのではなく潜在意識をも含めた全身の神経と言う「脳」で「感じる」のであります。
内なるものと外なるもの--その本質とは?
「潜在意識」や「無意識」とは、第二の脳の中の「意識」であり、「当事者意識」あるいは「内なるもの」との認識は、この第二の脳が扱う領域に入ったことを示す明白な証拠だったのであります。

この第二の脳の「意識」が、第一の脳の神経ネットワークをとおして前頭葉と言う中枢神経に伝達されることによって初めて、私たちの「脳」による「意識」がなされることになるのであります。

このことは、実は私たちの重要な感情でありますところの、「思う」と言う反応も、この原初は第二の脳で発現しているのではないかと、考えられるのではないか。

現に私たちは、「腹で思う」と表現しているのも、これは決して比喩でもなんでもない、事実そのものの表現であったのであります。

そして、続いての問題は、「受動意識仮説」であります。

 つまり、「意識」が「動かそう!」と「意図」する指令と、「無意識」に指の筋肉を動かそうとする準備指令のタイミングを比べたのである。
 この結果は衝撃的であった。「無意識」下の運動準備電位が生じた時刻は、心で「意図」した時刻よりも約350ミリ秒早く、実際に指が動いたのは、「意図」した時刻の約200ミリ秒後だったのである。
受動意識仮説
「意図」するより前に、筋肉を動かそうとする「指令」が出ていた。

この衝撃的事実もまた、今回の「第二の脳」の機能として説明することができるのであります。

もちろん、<筋肉を動かそうとする「指令」>を出していたのは、第二の脳であります。

これを、さきほどの「当事者意識」同様、第一の脳の神経ネットワークを経由して、「意図」として伝わったと、かように考えることができるのであります。

それにしても、この知見の与える影響は、きわめて重大と言わざるを得ないのであります。

私たちの言語活動一つをとっても、なぜ私たちは言葉をしゃべることができるのか。これもこの第二の脳が深く関わっているのではないかと、KAIはあらためていま思うのであります。

と言うことで、この続きは後日のテーマとさせていただくことにいたしまして、続いてはスーパー高校生、桐生祥秀くんの話題であります。

 何が衝撃かといえば、まず、この若さでこの地点まで到達してしまった点。21歳のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が記録した10秒03よりも速いことになるのだから恐れ入る。高校2年だった昨季も2度にわたり、ユース(18歳未満)世界最高の10秒21と10秒19で走ってブレークしているのだが、そこからさらに0.18秒も記録を伸ばしてみせた。
桐生祥秀"ボルト超え"10秒01の衝撃、9秒台の扉開くスーパー高校生
桐生祥秀くんの身長は175センチ。196センチのウサイン・ボルトにくらべれば、きわめて小柄の選手であります。

彼がなにか特別な練習をしているのかと思えば、まったくそうではない。

桐生は特別な練習メニューを積んできたわけではない。陸上部の一員として、他の部員と同じ練習を行い、皆と一緒にグラウンド整備をする。毎朝5時50分の電車で片道90分かけて通学する。特別な才能は持っているが、特別扱いされない環境で、「0.01秒でも速く走りたい」と自分を磨いてきた。
桐生祥秀(京都・洛南)陸上100? 驚異の記録続々 練習法は?
それでは、このスーパー高校生の強さの秘密とは?

この桐生祥秀くんの大記録のニュースをテレビで見たとき、KAIはピンときたのであります。

その秘密とは、「第二の脳」にあるのではないか。

どう言うことかと申しあげますと、先ほどの「受動意識仮説」のお話の中で出てきました、<筋肉を動かそうとする「指令」>のお話であります。

これが、「第二の脳」による「仕事」でありますならば、短距離走の「能力」を高めるためには、「第二の脳」の「能力」を高めることである、とかように言えるのであります。

具体的に、この「第二の脳」の「能力」を高めるには、どうすればいいのか。

これはきわめて、明確であります。

すなわち、「腸」を健康で強いものにすればいいのであります。

もちろん、「胃」も含めて、胃腸薬のような「病気」の治療や予防といったレベルのものではなく、もっと攻めの健康法であります。

これが何かを申しあげます前に、これから桐生祥秀くんがライバルと目指すことになる、ボルトについてであります。

人類史上最速9秒58で100mを走る男、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)。その圧倒的な記録は、"人類が9秒6を破るのは2039年"という現代科学のシミュレーションをはるかに前倒しするものだった。いったい、ボルトの異次元とも言える速さの秘密はどこにあるのか?今回、世界で初めて、ボルトの走りを科学の目で徹底分析することが許された。超ハイスピードカメラなどの特殊撮影や、モーションキャプチャーなどを駆使した実験にボルト自らが参加。そこから見えてきたのは、これまでの理論をことごとく覆す特異なフォームと、それを実現する筋肉や骨格に秘められた意外な事実だった。さらに、世界一速い男のメンタルにも注目。大舞台でこそ力を発揮してきたボルトが去年の世界選手権で犯してしまったフライング。自らの記録更新のために最もこだわり続けて来たスタートでの失敗はなぜ起きたのか。そこには人類最速男の知られざる葛藤がある。ロンドン五輪で人類の記録は更新されるのか。肉体の限界に挑むボルトの闘いを見つめる。
NHKスペシャル、ミラクルボディー、第1回 ウサイン・ボルト
KAIは、この映像をすべて見たのでありますが、ほとほと感心したのは、ボルトの走ることに対する「ひたむきさ」だったのであります。

これは、<毎朝5時50分の電車で片道90分かけて通学する。特別な才能は持っているが、特別扱いされない環境で、「0.01秒でも速く走りたい」と自分を磨いてきた。>と紹介されている桐生くんにも、そのままKAIが感じるものであるのであります。

誰もが持って生まれたものではないにせよ、この走ると言う才能を支えているのは、この「ひたむきさ」と言う強い「意志」であります。

まさに、この「意志」のチカラこそ、先ほどの胃腸を強くする攻めの健康法に繋がるのであります。

具体的には、「胃腸」を強くすると、「胃腸」自身が「思う」ものを食べると言うことであります。

KAIは、これをむかしから、「欲するものを喰らう」と表現してきたのでありますが、まさに「思う」とは「欲する」ことであります。

「ひたむきさ」と言う強い「意志」に支えられた、この自然の「欲求」に耳を傾けて聴きいることこそが、「胃腸」の最強の健康法なのであります。

桐生くんの、今後の活躍を、強く祈念するのであります。 KAI