この1週間、ずっと考え続けていた答えが、やっとみつかった。
それは、いまなぜ、猪瀬直樹であるのか?
すなわち、石原慎太郎ではなしえなかった東京オリンピック招致が、猪瀬直樹によっていま現実になろうとしていることに対する、その理由(わけ)であります。
KAI的に申しあげますならば、2020年東京オリンピックは、すでに決定事項でありますが、これがいまひとつなぜなのか、見えなかったのであります。
ここにきて、この答えとなるのが、やはり「正統性」思想にあることを、KAIは確信したのであります。
これをご説明する前に、まずは、このKAIが8年前、2005年に書いたこのエントリーをお読みいただきたいのであります。
リアリティの喪失。戦後60年の今、最も大きな社会問題が、これです。このエントリー自体で扱っている「リアリティの喪失」問題につきましてはまた後日にご説明させていただくことにいたしまして、ここでとりあげました「道路公団の闇」とは、いったいなんであるのか。逮捕された道路公団の副総裁が昨年、ぬけぬけと記者会見して、道路公団の闇を指摘する猪瀬直樹批判を繰り返していました。こう言うのを厚顔無恥と言うのでしょうが、世の中、厚顔無恥の映像に溢れていて、彼らの人相の悪さに毎日気分が悪くなります。
(リアリティの喪失社会)
最近つくづく思うのでありますが、いまのいま現時点における社会問題のことごとくは、過去少なくとも10年以上前にさかのぼったところにその淵源を持つのであります。
ところが、この問題にきわめて大きな影響力をもつはずの20代の若者にとって、せいぜいが小学生以前のできごとであって、この「歴史的認識」の根拠となる情報が恣意的にきわめて歪んだ形でしか伝えられていないのであります。
格差社会論が典型でありますが、これもその典型の事例であります。
普通なら「補修が必要な状態」が1回でも見つかれば、それからは入念な検査を行う。ところが中日本の動きは真逆だから理解に苦しむ。ポイントは00年と05年の検査の間に何があったかだ。この期間に道路公団は民営化されたのである。民営化推進の過程で議題に上ったのはコスト削減だった。民営化すればムダが削れる。そういう方向で議論が交わされたのである。議事録によると、当時、道路関係四公団民営化推進委員会の委員だった猪瀬直樹氏はこんな意見書を提出している。こういった歪んだ情報をもとに、メディアでプロパガンダを繰り返したのが、あの古館伊知郎であります。〈新会社は道路本体業務にかかる維持補修等の管理コストの徹底した合理化を行い削減することが求められる〉〈現在の四公団の維持管理に要する費用の合計から概ね3割以上の縮減を目指す〉最終的にまとめられた委員会の意見書にも「管理費の徹底的な見直し」「概ね3割の縮減を目指す」などと書かれていて、猪瀬氏の意見が反映されたことがハッキリわかる。当時の道路公団にはファミリー企業がいくつもぶら下がっていた。猪瀬氏はそこにメスを入れようとしたのだろうが、安全性まで置き去りにされた印象は拭えない。
(笹子トンネル崩落は猪瀬直樹が招いた悲劇)
と言うことで、「道路公団の闇」であります。
藤井治芳道路公団総裁は10月24日、東京・霞が関の道路公団本社で全職員に対し、この更迭が、いまから10年前の2003年であります。
「解任通知書をもらった。大変な時期だが、変革に向けて頑張ってほしい」と挨拶し、身の回りの荷物をもって道路公団を去っていった。藤井総裁の更迭で道路公団改革が進むかのように見えるが、本番はこれからだ。
道路公団改革の最大の抵抗勢力は他ならぬ国土交通省だからである。
( 道路公団民営化に抵抗する国土交通省)
この藤井が解任されたのち、2005年現職副総裁内田道雄が逮捕されるに至るのであります。これが上記引用したKAIのエントリーでふれたことであります。
その後、一貫してこれを主導してきた猪瀬直樹の身に、なにがおこっていたのか。これは2008年に書かれた記事であります。
「道路公団民営化委員会で、僕は一つひとつの高速道路について、さまざまな数字を出した。(中略)こうした作業を積み重ね、高速道路にかかるはずだった20兆円を10兆円にまで圧縮することを可能にした。しかし、その当時の努力がすっかり忘れ去られ、ばらまきは野放図に復活しかけている」2008年と言えば、自民党内で、郵政民営化つぶしの真っ最中の時期であります。一緒に道路公団民営化もつぶそうとの魂胆がうずまいていたのであります。猪瀬の正直な心境がうかがえる。道路利権の闇は広くて深い。同じ民営化でも、郵政とは比べものにならない困難さがつきまとう。盟友、石井宏基が暗殺されたあと、命の危険を感じ、小泉首相に直訴して専用車をつけてもらったこともある。民営化委員会は分裂し、気がつけば大宅映子と二人だけになった。
1000日に及ぶ攻防。結果的に、その血のにじむような努力が、いま報われているとは思えない。しかし「民営化は失敗」という加藤にしても、猪瀬だから公団を解体できたということについては否定できないだろう。
猪瀬も加藤も、志は共通しているはずである。「霞ヶ関」の支配構造をぶっ壊して新しい「日本のかたち」をつくってもらいたい。
(「道路公団民営化は失敗だった」構想日本・加藤代表が国会で公述)
そうしたなかで、猪瀬直樹は、しぶとく生き残って、そして圧倒的支持をえて都知事になった。
この「圧倒的支持」とは、これがなんであるのか。
これこそが、今回の「正統性」の答えであるのでありますが、それは、猪瀬直樹の貫徹する「意志」のチカラ以外の何者でもない、つまりはそう言うことだったのであります。
「正統性」思想とは、すなわち「意志」の思想であります。
あらゆる分野において、この人の持つ「意志」こそが、その「正統性」を担保する力をもつのであります。
そして、これが、今回の2020年東京オリンピック招致へと結実するのであります。
成田空港では、バドミントン出身のリーディー委員長に、旧知の間柄の日本バドミントン協会理事の中山紀子さんが"サプライズ"で花束を手渡す粋な演出で、歓迎ムードを盛り上げた。まさに、40年と言う時間の隔たりを超えた人と人との繋がりのなかに、この「正統性」はあるのであります。公開競技だった72年ミュンヘン五輪女子シングルスで優勝した中山さんは、国際バドミントン連盟(当時)会長を務めたリーディー委員長と40年来の付き合い。中山さんは「凄く人柄のいい方。来日されるということで楽しみにしていた」と笑顔で話していた。
(バドミントンの"顔"がお出迎え IOC評価委員長と旧知の間柄)
そして猪瀬直樹の「正統性」が、この運命の場に、中山紀子氏とリーディー委員長の二人を呼び寄せたと言うわけであります。
祝、2020年東京オリンピック開催! KAI
コメント