ミラクル・ペーパーコンピュータ--「ペパコン」誕生

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またひとつ、日本発ビッグイノベーションの誕生であります。

まったく新しいコンピュータ、ペーパーコンピュータ、略して、ペパコン。

 それでこの機会に、僕が本当は何をやりたかったのか、ということを二会場で計三回語ることになった。時間的にも内容的にもABCで話した内容が一番濃いのだけど、記事としてはITMediaのMoible IT Asiaのレポートが非常に良く纏まっている。
Mobile IT Asia:"紙の進化形"を目指した「enchantMOON」――UEI清水氏が開発の背景を語る (1/2) - ITmedia Mobile
ABC2013にenchantMOON、Android洗面台も登場?
 そう。僕がやりたいと思っているのは「"紙"の進化形」である*1。

(中略)

 今では紙を持ち歩く習慣は半ば意図的にやめてしまった。
 未来の世界では、紙はなくなっているはずだ。

 しかし何か新しいことを考えようとするとき、僕は常に紙やホワイトボードを必要としている自分自身に気づいた。

 その結果、僕自身にとって重要なことは、紙そのものではなく、手書きなのだと気づいた。

 僕は絵心は全くないが、絵など描かなくても人間の思考そのものがネットワーク構造をしているわけだから、そもそもシーケンシャルな情報しか前提としていないキーボードでは、表現できるものが恐ろしく少ないのだ。
僕たちがenchantMOONで本当に実現したいこと

そうです。「shi3zの日記」でおなじみのshi3zくんが創ったコンピュータ、enchantMOONのことであります。

KAIは、これを今日から、「ペーパーコンピュータ」、愛称「ペパコン」と呼ぶことにするのであります。

実は、KAIはもう十年以上も前から、この「ペパコン」を、心の底から待ちのぞんでいたのでありました。

しかも、ソフトウェアの設計と言う行為で、一般的に外部から見て見落とされるのが、このnaoyaさんが書いている「より良いアイディアが思い浮かぶ」かどうかです。世の中では設計行為が、図面を引くだけの何か機械作業のように思われがちですが、筆者は極端に言えば「設計」と言う言葉と「アイデア」と言う言葉は同義であるとさえ考えています。

naoyaさんの言うようにPerlがこのアイデアをうむとすれば、Perlはソフトウェアの設計にとってきわめて有用な技術であると言えるのです。

筆者にとってはこのPerlが、つい先日も取り上げた1年前のエントリー「アプリケーションを設計すると言うこと」の中で書いているように、実はB4の白紙の紙と鉛筆だったりします。B4の白紙にフリーハンドで書いた絵が自在に踊り出して自分のイメージ通りの動きをした時が、アイデアの完成です。

これをキーボードやマウスを使っていてはとても実現できません。つまり筆者が行う「設計」行為のために、これを支援する工学的技術が未だ追いついていないと言うことです。
ソフトウェア工学のエッセンス

KAIにとって、「ペパコン」を必要とするのは、もちろんここで言う「アプリケーションを設計」する場合だけではないのであります。

大学時代を含めれば、もう40年にも亘って使い続けているのが、能率手帳。

途中、世田谷公園で落としてなくしたものを除いて、30冊以上がいまも手元に残っているのであります。

まさに、「紙」の威力、ここにあり、であります。

ちょうど30年前、アメリカ西海岸のWCCF(ウェストコーストコンピュータフェア)に行って、そこで出会った人との話も、全部そこには記録されているのであります。

そんな大昔のお話は、もちろんいまとなってはただの思い出にすぎないけれど、当時は往復の飛行機の中で思いついたアイデアを書き留めたページも含めて、なんどもなんども読み返していたのであります。

いまでもこれは、まったく同じであります。

見開き左半分が、1週間分の予定欄で、右半分のフリー欄に思いつくことを書き留める。12月31日以降のページも含めてフリー欄は、すでに図や絵で一杯であります。

これを見ながら、デスクに座って、またB4用紙に書き直す。これをなんども繰り返すうちに、さまざまなアイデアが形になっていくのであります。

もし将来、有機ELタイプの「ペパコン」が開発されれば、これですべてが済んでしまう。

さらに、であります。

そもそも、OSそのものが手書きインターフェイスがベースに変わるのですから、アプリケーション自体も、まったく違う発想のものを創ることができるようになるのであります。

例えば、能率手帳アプリ。

手書きと同じ感覚でスケジュールが入れられる。もちろん、これはデジタルで管理されてクラウドと連動する。フリー欄も自由自在に手書きができる。しかもネットとハイパーリンクする。無限に可能性が拡がっていくのであります。

これから思いもよらないアプリが、つぎからつぎへと開発されていく。これらすべてが人間の手書きと言うアナログと繋がっていくのであります。

これこそが、KAIが長年追い求めてきた、「自己組織化アプリケーション」そのものだったのであります。

若きパイオニア、shi3zくんのおかげで、この日本から、「アプリケーション価値」社会への大変革が、いま始まるのであります。 KAI