いやはや、KAIはもう涙がでそうであります。
なんと民主自民の連立政権が1位。また、政権の枠組みが今後どのようになるのが望ましいと思うか聞いたところ、▽「民主党中心の政権」が9%、▽「自民党中心の政権」が22%、▽「民主党と自民党による連立政権」が28%、▽「民主党・自民党以外の政党が中心の政権」が25%でした。
(衆院選「必ず行く」61%に、11月26日 19時7分)
やっぱり、3年前の選択は、決して「気の迷い」だけではなかったようであります。
先日、橋下が大阪で街頭演説しているとき、瓦礫受け入れ反対のシュプレヒコールを叫んでいた女たちもそうでありますが、こいつたちには、東北福島の復興などと言うのは、まったくもって眼中にないのであります。
嗚呼、何をかいわんや。
と、気を取り直して、ひとつひとつ、問題を解決するしかないのであります。
そこでまず、「金融緩和」問題であります。
ここでもまた、なぜか、「日銀」擁護派は、現在の「円安」、「株高」に一切コメントしない。と言いますか、コメントしようにもコメントできないのであります。だんまりを決め込むのであります。
現在の事象でさえ説明できない理論が、なぜ彼らは、世間に通用すると「主張」できるのか。
まずもって、現在時点において「実証」されていることに対しての、この「反証」を示す以外には、一切ないのであります。にもかかわらず、あいもかわらず、「量的緩和」には効果がないとの言説、いや、「プロパガンダ」を繰り返すのであります。
これがいかに「プロパガンダ」であるのかを示す、典型的議論をご紹介するのであります。
ここで言う「名目金利と実質金利の違い」とはなんであるのか。これを理解することが、「金融緩和」問題の本質を理解するためのキーポイントとなるのであります。本コラムの読者なら、ニコ生で筆者が池田信夫氏と討論したことを知っているだろう(http://live.nicovideo.jp/watch/lv115967379)。直接討論するとどちらがまともかはすぐわかる。橋下徹大阪市長を含む多くの読者はニコ生を見ていて、筆者の勝ちといっていたようだ。
筆者は以前にも池田氏と議論したことがあるが、彼は金融政策が雇用に効果があることを知らないのか、認めようとしなかった。この点を指摘すると、すぐに論理の破綻がでてくる。今回は、名目金利と実質金利の違い、予想に働きかける金融政策を知らなかったのか、やはり論理に無理があった。
(【高橋洋一「ニュースの深層」】、「インフレで喜ぶのは資産家だけ」という野田首相は「日銀キッズ」でお勉強したら?「金融政策」が総選挙の争点になったのは、国民にとって福音だ!)
すなわち、こう言うことであります。
予想インフレ率についてはこちら(期待インフレ率は常に上回る)をお読みいただくとして、現在のデフレ経済では、予想インフレ率は、常にマイナスであります。実質金利 = 名目金利 − 予想インフレ率
一方、名目金利はほぼゼロでありますから、実質金利は<マイナス>の<マイナス>でプラスになっているのであります。
この実質金利がプラスであることの「意味」、これがきわめて重大な問題となっているのであります。
いかがでしょうか。一般に、金利が低ければ預金のメリットは低くなり、低利で融資を受けることができるので、投資が増えやすくなる。海外の投資家からみると金利の低い通貨を保有するメリットは少ないため通貨の価値は相対的に下がり、輸出が増え輸入が減る傾向になる。投資の活発化により景気が向上した場合に、投資対象として通貨が上がる場合や将来のインフレ率が高まると予想されて長期金利が上がる場合もある。
これとは反対に金利が高くなると、預金のメリットが高まり、融資を受けて事業に投資するリスクが高くなるので、投資が増えにくくなる。海外の投資家からみると金利の高い通貨を保有するメリットが多いため通貨の価値は相対的に上がり、輸出が減り輸入が増える傾向になる。そのため過熱した景気を冷ます効果が期待される。
(経済と金利、Wikipedia)
いままでの円高も、いま現在の円安傾向も、これでものの見事に説明されているのであります。
安倍発言を契機に予想インフレ率がプラスに転じた途端、実質金利が下がって円安となる。これほど明確にこの公式を実証した事例は、他にないのであります。
ところが、であります。
「金融緩和」効果懐疑論者は、このお話に対して、「自然利子率」なる用語を持ち出してきて、話を見えにくくする、と申しますか、みなさんを煙に巻こうとするのであります。
そこで、もう一度この公式を別の角度からご説明するのであります。
それは、彼らの最終の「目的」であります。
■最終目的:国債の金利負担の回避
これを目論んでいるのは、いわゆる財務省と言う「システム」側であります。この意を受けて日銀が動いていると言うのは、暗黙の了解事項であります。
つまり、具体的には彼らの最終目的は「名目金利を低く抑える」ことでありますから、公式は次のようになるのであります。
この意味は、名目金利の上昇圧力を抑えるためには、人為的に操作できない実質金利ではなく、予想インフレ率の操作しかないのであります。名目金利 = 実質金利 + 予想インフレ率
しかも、予想インフレ率をマイナスにする「デフレ」維持こそが、至上命令であるわけであります。
ですからこれまで何度もここで指摘してきましたとおり、「日銀」は決してインフレ率に「コミットメント」しようとはしないのであります。
あるいは、「インフレ」より「デフレ」のままの方がモノの値段がさがって消費者にとってはいいことだらけなどと、「デフレ」の真の意味を理解しない言説がメディアにまかり通ることになるのであります。(野田のインフレ批判演説も同類)
■最終目的:経済理論と日銀の正当性を証明すること
こちらは、あえて言えば、「日銀」擁護のまま景気回復を目指す方々であります。しかし、この方々にとって、結果はどうでもよろしいのであります。あくまで、日銀同様、自説の正しさが証明されればそれでよろしいのであります。
ここで使う公式は、以下のとおり、通常どおりで決して間違ってはいないのであります。
しかし、この方々にとっては、日銀の正しさを証明することが目的でありますから、予想インフレ率に対する日銀の「コミットメント」を否定するために、別の議論にすりかえる必要があるのであります。実質金利 = 名目金利 − 予想インフレ率
まさしくこれが、「自然利子率」であったのであります。
「自然利子率」とは、要するに実質金利に対する、本来あるべき実質金利であります。すなわち、実質金利は操作できないけれど、「自然利子率」は操作できると。
一体誰が。
それが「政府」であり、決して「日銀」ではない、こう彼らは主張するのであります。
確かに、これは「政府」であります。「政府」の成長戦略こそ、最終的に「自然利子率」を上げることに繋がるのでありますが、こんなまわりくどい説明は不要であります。
この成長戦略は、安倍発言を見るまでもなく、直接的に、予想インフレ率に作用して、結果実質金利を下げるのであります。
■最終目的:デフレ脱却と景気回復
一義にも二義にも、デフレ脱却であります。
でありますから、まずはこの方程式(公式)の完全実施であります。
名目金利はもちろんのこと、予想インフレ率も、日銀の範疇であります。実質金利 = 名目金利 − 予想インフレ率
日銀がインフレ率に「コミットメント」することが、直接的に予想インフレ率に作用、実質金利の引き下げ、円安、景気回復。つまりはそう言うことであります。
もちろん、これに併せて、「日銀」と併行して「政府」による「自然利子率」を操作することも、必要不可欠なことであります。つまり、「政府」による「成長戦略」こそが「日銀」のインフレ率に対する「コミットメント」を強力に担保することになるのであります。
さて、「金融緩和」問題はこれくらいにして、「脱原発」問題であります。
そして、この一つが、関西電力の値上問題。
これにテレビのインタビューに答えて、「生活に響く、困る」とか、「値上前にやることがあるはず」などと、ふぬけたことを言うのであります。もちろん、彼らや彼女らは、「反原発」デモの参加者であります。
どっちも、どっち、であります。
このままいけば、いまのいま起こっている北海道の寒波の中の大停電が、そのまま日本中で現実となるのであります。
みなさんは、いま国内の火力発電所で何が起きているのか、まったくご存じないのであります。大半の火力発電所は、すでに何十年も前に造られたもので、この老朽化した「すべて」の発電所がフル稼働をよぎなくされているのであります。
これが何を「意味」しているか、少しでも技術的素養のある方ならすぐおわかりいただけると思うのでありますが、間違いなく「近いうちに」壊れるのであります。
どうするんです。
「日本の未来」なんて言っている場合ではないんですよ。目の前の現実を、刮目すべき事態なんであります。
これに答えをいますぐ国民に示す責任を負っている「政治」が、橋下徹以外の誰一人として、答えようとはしないのであります。
なんとも無責任の極みでありましょうか。
それが、「脱原発」、「反TPP」、「反増税」を声高に叫ぶひとびとであります。
当面の電力はどうするのか?
当面の経済はどうするのか?
当面の財政再建はどうするのか?
もちろん景気をよくすればいいとは言っているけれど、ではどうやって?
嗚呼、何をかいわんや。
今回の選挙は、これの答えを持っている政治家と政党に票を投じるしか、この日本の苦境を脱する道はないのであります。 KAI