さながら、これは「情報戦」の様相を呈してきたかのようであります。
「システム」側から情報戦第一派として派兵され、かかんに「ハシズム批判」を展開した、香山リカ、薬師院仁志、山口二郎、中島岳志は、全員あえなく撃沈であります。(ウチダ先生が入っていないのは、単に彼は平松前市長との個人的つながりで、派兵されたわけではない)そしてそれは、反政府運動とはちょっと違う、反官僚体制運動と言う形で顕在化していくのであります。
おそらく、そのリーダーとなるのが「橋下」。
と「官僚機構」側が考え始めて、メディアをあげて「橋下」たたきに高じたのが先の大阪市長選挙であり、いまだ鳴り止まない「橋下」批判の真因がここにあると考えると、まことにもって納得のいくお話であるのであります。(「橋下」たたきの連中と「対米従属反対」の連中が奇妙に「一致」していることからもこれは分かる)
(「正統性」思想とは−−対米従属批判から見えてくる日本の風景)
そして、第二派で登場したのが、辻元(つじはじめ)上智大教授と適菜収であります。
第二派は、第一派がもっぱら親「ハシズム批判」メディアのなかで内弁慶まるだしであったことを反省して、かかんに敵陣とおぼしき「アゴラ」、「正論」、「産経新聞」に打って出たのであります。
まず、辻元であります。彼は数学者でありますが、アゴラに怒涛のごとく、「数学的」ハシズム批判を展開するのであります。
いや、大学のセンセって、よっぽど暇なんですねえ。橋下大阪市長への期待と不安、2012年03月24日06:00
財政再建に向けた政治家のストレステストの必要性、2012年03月26日12:21
負担の平行移動による財政再建を主張する人々、2012年03月29日15:52
「国民の敵」ビジネスについて、2012年04月01日01:03
つづいては、適菜収、哲学者であります。「システム」側も大変であります。数学者とか哲学者とか、総動員であります。
どこが「賢者」やねん!ってツッコミをいれたくもなりますが、いやはや「橋下」支持者を「B層」扱いとは!これはグルメだけの話ではない。社会全体にB層的価値観が蔓延(まんえん)し、それを資本が増幅させている。その結果、一流と三流、玄人と素人、あらゆる境界が失われてしまった。こうした社会では素人が暴走する。《B層グルメ》に行列をつくるような人々が「行列ができるタレント弁護士」を政界に送り込んだのもその一例ではないか。(てきな おさむ)
(【賢者に学ぶ】「B層」グルメに群がる人)
どこまで人を見下せばすむんでありましょうか?地獄に落ち末世。
以上、西部戦線からレポートしました。
続いて、東部戦線であります。
東電問題であります。こちらは既報のとおりでありますが、現地からより詳細なレポートがあがってきているのであります。そして、ここで見えてきたのが、いまの日本人に決定的に欠けているのが、「正統性」思想であると。
それは「正義」でもなく、「共感」でもなく、「助け合い」でもなく、「きずな」でもない、もっともっと根源的なものであります。
これが、決定的に欠落しているがための、責任感の欠如、当事者意識の決定的不在、被害者でもないものの偽被害者意識と他罰感情、のいまやオンパレードであります。
例えば東電の電気料金の値上げ問題。一見枝野ががんばっているようにみせて、実は経産省や財務省のアリバイ作りだけのために動いている話であり、これを国民のためにやってくれていると思うお人よしの国民などが、典型であります。
東電が存続できる「正統性」など絶無にもかかわらず、だれもこれを阻止できないのは、いったいぜんたいなぜなのか。
(「正統性」思想とは−−今後の展開について)
いまや「システム」側も、必死であります。こうしたその場しのぎの対応の延長で、今度は、1兆円の資本注入、それを正当化するための形だけの国有化や次期会長選びと、またその場しのぎの対応が行われようとしています。
この状態では、公的資金という輸血で潰れないでいる東電としては、電力の安定供給を続けるには電力料金の大幅値上げに走らざるを得ません。かくして、これまで東電ビジネスで美味しい思いをしてきた金融機関などは損することなく、真面目に電気料金を払い続けてきた企業や国民に負担がしわ寄せされているのです。これほどの不条理はないのではないでしょうか。
ついでに言えば、4月5日の大手紙一面には、「政府は1兆円の出資で議決権の過半を得て、東電を一時的な公的管理に置く方針を固めた」という記事が出ていました。これは明らかに、東電の電力料金値上げに対する世論の反発が強いのを見て、それを和らげるべく経産省がリークして書かせた記事でしょう。
よく考えると、この半年くらいの電力問題に関する新聞一面記事の多くは、世論の怒りを和らげ、かつ経産省が非難されないようにするという意図が見え見えの、経産省のリークに基づく観測記事ばかりです。
(東電を矢面に立てる経産省の姑息さ)
メディアまるがかえは、こちらも一緒の、消費税増税。
「システム」側代表、森信先生のプロパガンダであります。森信:消費増税には、社会保障安定財源の確保と財政再建という2つの目標があります。素案は、実は後者に重点を置いた内容になっています。その背景として、2010年度で、家計金融純資産(編集部注:家計金融総資産1481兆円から家計の総負債を除したもの)1115兆円に対して一般政府総債務は1048兆円と、両者の金額が接近しているという事情があります。つまり一般政府総債務が家計金融純資産を上回るのは時間の問題で、国債の国内消化が難しくなるとの「象徴的な」事態になって、投機筋につけ込まれかねない。
世界を見渡して、日本は一番高齢化が進んでいるにもかかわらず、国民負担率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも低い方から7番目です。欧州諸国の国民負担率は50〜60%が多いですが、日本は40.6%。これでは必要なサービスの提供は無理です(グラフ参照)。
(消費増税、本当に必要ですか?第1回 大事なのは未来予想図)
これがいかに、ニセ情報であるか。ここは最後に竹中平蔵先生に、厳しく断罪していただくことにしましょう。
情報戦を勝ち抜いていくには、本当はなにが正しい情報であるのか、これを判断するための「メタ」情報をもっている必要があるのであります。政策を考える際、「解決すべき問題は何か」を明確にせねばならない。今、議論されている消費税増税の目的は「財政再建」と「社会保障の充実」だ。野田佳彦首相が「大義あるものは必ず認められる」と述べたのも、こうした認識からだろう。しかし、結論から言うと、政府・与党の増税案は、財政再建も社会保障の充実もない、大義なきあしき増税である。
≪社会保障充実に回るのは1%≫
政府・与党は2015年までの消費税率5%引き上げを目指す。最初の1%分で、消費税増税による政府全体のコスト増を賄う。次の1%は人口高齢化で増加するコストだ。ただし、年金など制度の抜本的な見直しは示されない。別の1%は社会保障の機能維持(実質的には財政赤字削減)のため、別の1%は年金国庫負担を2分の1にするためで、社会保障の充実に回るのは最後の1%だ。少なくとも当初の説明はそうだった。
問題はその中身だ。基本的には多くが低所得者対策で、中間所得層への恩恵はほとんどない。増税は社会保障充実ではなく、矛盾に満ちた現行制度の維持のためだけのもの、と言わざるを得ない。
そもそも、なぜ5%か。政府は2段階の説明を用意している。
第一は、年金・医療・介護など社会保障の主要3経費と消費税収入を比べると、15年までに約13兆円(消費税5%分)の歳入不足が見込まれるという点だ。なぜ3経費と消費税収入を比べるか意味不明、計算の根拠もおかしい。社会保障費は高齢化で年間約1兆円増えるとして「聖域」扱いし、中身にほとんど手を付けていない。
(慶応大学教授・竹中平蔵 消費税増税に大義も効果もなし)≪前提の名目成長率もおかしい≫
消費税の税収は今後5年間の名目成長率を約1%として計算している。名目3%成長を目指す政府方針と相容れない。3%成長を前提とすれば、税収は一気に拡大して増税の根拠は揺らいでくる。各国が作成中の財政再建計画をみれば、米国は名目成長率3・5%、英国は5・3%が前提だ。1%成長はデフレ克服に政府自らが失敗するという前提でしかない。
第二はマクロの財政再建に関わる。政府は20年までに基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げてきた。内閣府は、増税で15年の基礎的財政赤字を現状の約半分にできると試算する。その先どうなるのか。試算では、20年までにさらに7%の消費税増税をしなければ基礎的赤字をゼロにできない。社会保障が良くならず、消費税だけが17%とドイツ並みになるのだ。
では財政再建と社会保障充実という2大目標をどう達成するか。
03〜07年度の5年間に基礎的財政赤字が28兆円から6兆円まで減った事実を思い起こそう。22兆円の赤字削減幅は消費税率9%分に匹敵する。わずか5年前、財政再建は眼前にあり、それは財政支出の増大防止と経済活性化という当たり前の政策で実現した。
今の政府は真逆を行っている。数年前まで82兆円規模だった一般会計歳出は今年度95兆円まで膨らんだ。GDP(国内総生産)が横ばい状態の間に、財政規模は子ども手当などで2割肥大した。消費税5%アップで見込まれる13兆円の増収はバラまきの後始末に使われるにすぎない。増税の前にまず歳出の正常化が必要だろう。
また、成長力を削ぐ一連の誤った政策−労働市場の規制強化、“モラトリアム法”による不良債権塩漬け、ゾンビ企業の救済−を止める必要がある。何よりも、金融政策を変えてデフレを克服することだ。そうして名目成長率を通常の3〜4%に戻せば、5年後の税収は10兆円規模で増え、消費税増税は不要になる。景気回復期の税収弾性値は、極めて大きいことが過去の経験からも明らかだ。
(2/3ページ)≪5%上げを若い世代に使う≫
社会保障の充実では、福祉のどの部分を拡充すべきか戦略的な選択が不可欠だ。筆者は、経済が正常化した後に消費税を5%上げ、これを全て若い世代の社会保障に使うという政策を提言したい。
日本で年金や医療に使われる金額(対GDP)はすでに、先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)の平均を上回る。高齢者には不満があるかもしれないが、社会保障は高齢者にはすでにそれなりに行われているのだ。だが、出産・子育て休暇支援、女性の再就職支援など若い世代向けが圧倒的に見劣りする。これを拡充し世代間の不公平をなくすことを優先して目指すべきだ。高齢者の貧困対策は必要だが、これは高額所得者への支給をやめるなど、世代内での再分配で行うべきだ。
次世代へのツケを避ける−。増税の名分の一つだ。しかし、高消費税率こそ、次世代への負担になる。真のツケ回し回避策は、増税しなくてもやっていける社会をつくり次世代に引き継ぐことだ。国民が税負担を増やして、豊かな社会保障制度にすることはあり得る選択だ。それはしかし、20〜30年という長期の構想で、今回の増税はそんな高い志とは無縁である。
われわれは低福祉・重税国家の階(きざはし)に立つ。誤った増税で、日本を「失われたX年」から「暗黒のX年」に追い込んではならない。(たけなか へいぞう)
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すなわち、これがいま私たちは、「システム」側と「情報戦」を戦っているんだと言う、そう言う「認識」であります。「プロパガンダ」かそうでないのか。これが見えれば、世の中の理解とは、いたって簡単なんであります。 KAI