「正統性」思想とは−−ソーシャルビジネスと正統性

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ソーシャルゲームビジネスに正統性はあるのか?

今回のテーマは、ソーシャルゲームビジネス。と、その前に、まず問題は、「ソーシャルビジネス」のビジネスモデルであります。

そもそもにおいて、この「ソーシャルビジネス」とは、いったい「誰に」対して、「何を」提供して、利益を得る商売であるのか。

まずもって、これを考察する必要があるのであります。

そこで、これを読み解くキーワードとなるのが、最近あまり言われることのなくなったこの用語、「CGM」であります。

Consumer Generated Mediaとはインターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディア。かつての消費者は文字通り企業から提供される商品やサービスを金銭で消費するだけの存在であったが、市場が成熟していくにつれ、消費者でも確かで肥えた目を持つ消費者が生産者並の知識を持ち始めたことに由来する。このような消費者は生産消費者の一形態ともされる。個人の情報発信をデータベース化、メディア化したウェブサイトを指す。商品・サービスに関する情報を交換するものから、単に日常の出来事をつづったものまでさまざまなものがある。
Consumer Generated Media、Wikipedia

例えば、Facebook。基本的に、運営者側は、単に「場」を提供するだけで、彼らがなんらかの「情報」を提供するわけではないのであります。つまり、Facebookユーザーは、自らの個人「情報」を含めたさまざまなコンテンツ「情報」を提供することで、この「場」に参加し「情報」を入手することができる仕掛けになっているとみなすことができるのであります。

つまり、「情報」と「情報」の、一種の「物々交換」であります。映画「ソーシャルネットワーク」をご覧になった方はすでにご存知のとおり、初期のFacebookとは、一切広告なしのこの「物々交換」のみで運営されていたのであります。ザッカーバーグはこれを意識的に進めていたのであります。

ですから、もちろん、この時点では、ビジネスとして成立していなかったわけであります。

しかし、一定数以上のユーザーを獲得した時点で、目立たないように徐々にではあるけれど広告をスタートさせ、いよいよにして今に至るわけであります。

前回までにご説明のとおり、広告には機能単価モデルと情報単価モデルがあるのでありますが、Facebookの広告とは明らかに「機能単価モデル」となるのであります。これは、情報単価モデルが、Facebook側からのなんらかの「独自情報」の提供によってのみ成立し、彼らがこれを持ち合わせているわけではないことから考えても、これは当然の結論であります。

とは言え、テレビ局の番組枠の販売と言う機能単価モデルとは、桁が違うのであります。

Facebookにとって、テレビ局の番組枠に相当する広告スペースは、無限に近いものがあるのであります。そして、これがすなわちFacebookの恐ろしいまでの現在の時価総額を担保しているのであります。

さらに重要なことは、テレビ局にとっての視聴者は、単に視聴率と言う番組枠の価値をあげるためだけの存在であったのでありますが、Facebookにとってユーザーはこれとはまったく違う存在なんであります。すなわち、ユーザー自身が「情報」と言う対価を支払う、立派な「顧客」となるのであります。

要するに、ソーシャルビジネスとは、「ユーザー」と「スポンサー」が共存する、「顧客」の「ハイブリッド」ビジネスであります。(それぞれの「顧客」ごとのビジネスモデルのご説明は割愛させていただくのであります)

さて、肝心のこのビジネスの「正統性」問題であります。

 実は、ネット通販で購入した靴が、まったくの偽物だったのです。
よくある話かもしれませんね。

 しかし、仮にも事件リポーターのくせに、なぜそんなサイトに引っかかってしまったのでしょうか。

 その偽物サイトはまだ存続し、被害者が続々と出ているようです。
他の方の被害を食い止めるためにも、ここで意地を見せて返金方法を公表いたします。

■ニセモノつかまされる!?
 購入に至る経緯をまず話します。

 冬に向けて暖かいムートンブーツを購入したいと思っていましたが、人気ブランドのugg(アグ)のブーツは2万円台後半。買うのにちょっと迷っていました。

 その頃ちょうど入会したばかりのfacebookのスポンサー広告画面に、「ugg日本唯一の公式サイト」が表示されたのです。
スポンサー広告でまがい物をつかまされたのに、あんまりなFacebookの対応!偽物サイトをぶっとばせ!!

このあとの顛末はこの記事をお読みいただくとして、この問題は、Facebookの「ハイブリッド」ビジネスの欠陥を、ものの見事についているのであります。

根本的には、問題の解決は以下の記述に集約されているのであります。

http://www.uggjpstore.com/Shipping_Information-9.html

「何かわからないことがあれば、いつでもお問い合わせください.Email : andyuggsale@hotmail.com」
同上

なんで人気ブランドの問い合わせメールアドレスが、hotmail

まずFacebookであります。こんな「スポンサー」を「顧客」とする仕掛け自体に、おおいなる欠陥があるのであります。

この点においては、Googleのアドワーズ、アドセンスは、数段上をいっていると言えるのでありますが、これが改善されない限り、Facebookの機能単価モデルにはあきらかに「正統性」がないと言わざるを得ないのであります。

そこでであります。

「ユーザー」と言う「顧客」にとっての「正統性」とは?

これもまた、hotmailであります。

ブランドが、hotmailとは、これいかに、なるレベルを要求されていることを知るべきであります。

全然関係ない話ではありますが、AIJ問題で基金運用担当者への同情論があるのでありますが、KAIに言わせれば「笑止」であります。

金儲けのカラクリでも申しあげたとおりであります。大の大人がこの程度の知識さえ持たないで何億ものお金を扱うなんて、なんとまあ、日本と言う国は子ども社会になりはてたことかと、ただただあきれはてるばかりであります。

すなわち、これはFacebookにおいても、「自己責任」としか言いようがないのであります。

さて、問題は、まだ二つ残っているのであります。一つは、前回取り上げたグーグルの「広告」問題。そしてもう一つが、ソーシャルゲームビジネス問題であります。

いつもであれば、ここで稿をわけるところでありますが、今回はあとがつかえていますので、一挙に結論であります。

■グーグルの「広告」問題

いままでの検索ビジネスにおける情報単価モデルの「顧客」は、「インターネットユーザー」。Google+の「顧客」とは、広告の「スポンサー」。この「ハイブリッド」ビジネスにおける「何を」それぞれの顧客に「与える」と言う確固たる「意志」が問われている。こう考える必要があるのであります。

■ソーシャルゲームビジネス問題

そもそも「ソーシャル」の本質が「CGM」であることを考えると、いまの「ソーシャルゲーム」は、この「ソーシャル」から大きく外れてしまっているのが、ことの本質であります。

石島:「ポケモン+ノブナガの野望」の元になったふたつのソフトは、共に「信長の野望」、「ポケモン」という人気ゲームブランドです。このようにブランドが存在するということは、コンテンツビジネスにサステナビリティ(維持可能性)があることを証明している。「ポケモン」だから、「信長の野望」だから、売れ続けるわけですが、このようなブランドになれるヒット作はどうしたら作れるのでしょう。

襟川:まず個人に内在したところで言うと、「ゲームが好きだ」という人が企業にいるのが原点です。好きでもっといいものを作りたいという気持ちが心の底にあると、どんなことでも一生懸命やりますからね。

石島:しかし、作るのが好きという気持ちだけで、一大ブランドに育つほどのヒット作を産み出せるものでしょうか。ゲームを作りたい人はたくさんいますが、その気持ちだけで一生食べていくのは難しいように感じています。

石島:襟川さんがおっしゃったように、本当に「作るのが好き」という気持ちを持った人がゲーム企業の原動力になっているのは事実です。ただ、その「好き」加減が、人並みでは全然足りない。

 よく、「一発屋」っていう言葉を聞きますよね。この事実から分かることは、どんな人でも一生のうちにひとついい曲をつくるとか、いい詞を書くという可能性があるということです。では、それを100つくれるかって言うと、普通はつくれない。そのレベルを維持して数こなせる人がプロですよ。

 継続して食べていけている人は、好きという気持ちも並大抵ではない。どんどん作らずにはいられないし、そんな情熱でものをつくっている。襟川さんもそうです。襟川さんの次々と新しいものを生み出していくパワーや量は並大抵ではない。開発者の場合は、この「並大抵ではない好き」という気持ちが重要ですし、そういう人を探し続けることが、コンテンツ企業にとっては非常に重要なことです。
“集金マシン”としてのソーシャルゲームに明日は創れない!「ポケモン+ノブナガの野望」の制作トップが語るビジネスサステナビリティ――石原恒和ポケモン社長×襟川陽一コーエーテクモゲームス社長

田中社長には、ぜひとも思い出していただきたいのであります。そもそもにおいてあなたはなんでGREEって会社を始めたのか、その「意志」であります?こんなビジネスに、あなたはよもや「正統性」なるものを見出すことができるのでありましょうか?

小倉昌男の「意志」がごとく、初心にかえって、もういちど、ビジネスをリセットするしか、GREEには未来はないとKAIは思うのであります。 KAI

(追補)
以前Facebookの広告売上を情報単価モデルとご説明していましたので、これについて補足しておくのであります。

もともとSNSは、情報単価モデルである広告売上がメインのビジネスモデル。Facebookにいたっては、2009年571億円の売上に対して562億円、実に98%を広告売上が占めているのであります。ただこの広告売上の中身が違う。

(1) セルフ広告売上 (315億円)
AdwordsやOvertureと同様,広告主は広告代理店を経由することなく,直接ウェブ上から広告出稿できる仕組みで,Facebook Adsとネーミングされている。実際に入力してみると驚くほど簡単で,入力には5分もあれば十分。広告は承認を経て約1-2日後に表示されはじめる。
【最新版】Facebook ビジネスモデルを徹底分析 〜 mixi,GREE,モバゲーと比較

そうです、あのGoogleのAdSenseやAdWordsと一緒なのであります。これこそ「人間関係」向上に貢献する、間接的な機能提供に他ならないのであります。
がんばれミクシィ!
Facebookに限って言えば、この広告売上は機能単価モデルであると言うこと。これが間接的に情報単価モデルになるのは、他のSNSと同じ。具体的には、8億4500万人(2011年実績)ものリアルな個人情報が、機能単価モデルにおける「広告枠」となって、これが「スポンサー」に常時販売されている。

8億4500万人のユーザーにとっては、この個人情報自体を消費しながら、「スポンサー」経由でこの情報料を支払っているとみなせなくもないのでありますが、むしろ広告それ自体が、Facebookと言う「場」の「機能」として組み込まれていると考えるのが自然かもしれません。

いずれにせよ、8億4500万人もの「個人情報」がFacebookと言うただ1社に独占的に集積されていることの問題こそ、ここにきてこの「正統性」問題の本質がある気がしてきました。これはまた別途に稿をあらためて考察する必要があると考えております。