お金とはなんであるのか?−−お金との付き合い方(2)

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このお話について、前回こんなふうに書きました。

もしいまあなたの手元に「お金」があるとして、それが自分のお金であるならば、そのお金は「過去」の時間であり、他人のお金であるなら、それは「未来」の時間であります。

その「お金」を使うことは、すなわち自分のお金であれば「過去」の時間を、それが他人のお金なら「未来」の時間を、使うことになるのであります。

そうです。重要なことは、それが「自分」のお金であるか、たとえ親のお金であったとしても自分以外の「人」のお金であるか、天と地ほどに、その意味が違ってくるのであります。(みなさんにとって「自分」のお金のことはさして重要ではありませんので今回は以降省略)
お金とはなんであるのか?−−お金との付き合い方

この「自分」のお金の方の問題について、このKAIの考え方をそのままに実践するような典型的事例を発見しましたので、ご紹介するのであります。

 そして山本さんは25歳になったときから2年ごとに3人の子供を出産。ここで気をつけたことは「先に借金を作ったらいけん!」ということ。例えば学費。入学金などで一度に大金を使うことがあるときでも、手元の生活費を取り崩して支払いしてしまうのは、「先に借金を作ると同じこと」。そうではなく、「前もって何年後にいくら必要か」という教育費計画表を作り、必要な時期までに必要資金をためていった。具体的には子供が小学生のときから大学卒業までの20年間の支出を予測し、収入の3割以上は貯蓄していった。このようにして母がせっせとためた教育費を子供たちもありがたく思い、3人とも国立大学に入学してくれたそうだ。

■買いたいものは目的貯蓄をして1年後に買う

 山本さんは教育費だけでなく、住宅ローンや家電、旅行などの出費に関してもすべて「目的別貯金ノート」を作って資産管理をしている。例えば自動食器洗い器。子育てが大変になってきた20年前、当時は8万円もした食洗器を購入しようと決意。ここですぐに貯金に手を出すのではなく、「1年後に買うために、毎日節約して貯金しよう」と考えた。8万円を365日で割ると219円。そう計算して、コツコツと1年間ためて買った。「友達はキラキラする宝石ばかり買ってたけれど、私の欲しかったものはこれじゃが! ワーキングマザーの証じゃが!」と本当にうれしかったという。
【事例1】子供3人を育てたスゴ腕母さんの目的別貯蓄術、資産は年収の7倍以上「お金がたまる家」の秘密(1/5ページ)

 さらに山本さんの資産管理能力に優れたところは、キャッシュフロー(収入)とストック(資産)を常に意識して生活していることだ。「今月稼いだこのおカネは、何年後の何に使う資金なのか、常に意識して貯蓄してきた。良くないのは今月の収入から今月の出費を出してしまうこと。これではダラダラ出費で、一生お金がたまりません」。まずは貯蓄で家計の資産を増やして、それを基に収入を増やしていくというアプローチだ。
(中略)
 最後に、「なかなかたまらない子育て家庭へのアドバイスは?」と聞くと、「最初はまどろっこしい積立貯蓄だけど、後々威力を発揮する。未来の生活費を今作っているんだと思う気持ちで続けてみてはどうでしょう」という。
(2/5ページ)

山本さんが、貯金した8万円で食洗器を買ったとき、山本さんにとってこの8万円は、「8万円を365日で割ると219円」と言う形での、1年間と言う「過去」の時間に相当するものとなっているのであります。

そして、彼女が、資産を上手に形成することができるのも、過去の時間を「目的別積立貯蓄」と言う「お金」の形に変えて「蓄積」しているからに他なりません。

確かに山本さんが言うように、今月の収入をそのまま今月の出費に回してしまうと、「蓄積」される過去の時間はいつまでたってもゼロのままであります。

考えてみれば「時間」と言うものは、そのままでは「蓄積」することも「貸し借り」することもできません。しかし、これを山本さんのようにうまく「貯蓄」と言う「お金」の形に変えることによって、「蓄積」や人に貸したり預けたりすることが可能になるのであります。

もちろんこれが「借金」であれば、「未来」の時間の「先喰い」となるのは、前回のお話の通りであります。

なかなかお金が貯まらないKAIも、なんだかお金を貯めることができそうな気分になってきたのであります(笑)。 KAI