奇跡のシンフォニー−−音とは何か?

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日曜だと言うのに、もう朝からティッシュの山であります。

奇跡のシンフォニー、原題: August Rush

なんの期待もせずWOWOWでたまたま観はじめた映画が、大正解。

あり得ないストーリー展開とのレビューが多いのでありますが、そもそもファンタジーとは「あり得ないストーリー」をファンタジーと呼ぶのであります。

その中でも、秀逸なレビューを見つけましたので、ご紹介するのであります。

 ニューヨーク近郊の11歳のエヴァンは、両親が必ず迎えに来ると信じながら養護施設で暮らしていた。孤児院で育ったエヴァンには生まれつき類い希な音感を持つ豊かな音楽の才能が備わっていた。両親と自分は、心に聞こえてくる音を通じてつながっている。そう固く信じていたある日、不思議な音に導かれるように彼は施設を抜け出してしまった。たどり着いたマンハッタンで彼は、“ウィザード”と名乗る男にギターを習い、ストリート・ミュージシャンのグループと生活を共にしながら、両親探しの第一歩を歩み出す。そこでエヴァンは音楽の才能を開花させる。“僕が奏でるギターの音は、この世界のどこかにいる両親の耳にきっと届く”―その思いを胸に、街角で無心に演奏するエヴァン。同じころ、エヴァンは死んだと思っていた彼の母ライラ、そしてライラと結ばれることはなく一時は悲嘆にくれていた父ルイスも、音楽に導かれるかのように、それぞれの想いを胸に見えない運命の糸にたぐり寄せられるようにマンハッタンを目指していた。果たしてエヴァンは、彼ら両親に会い、愛を伝えるという夢をかなえることができるのだろうか?
 天才的な音楽の才能を持つ孤児の少年エヴァン、彼と意図せず離れ離れとなってしまったチェリストの母ライラと、元ミュージシャンの父ルイス。それぞれがそれぞれの想いを抱きながら、運命の再会を果たすために奔走し、音楽によって両親との絆を取り戻す感動のファンタジードラマ。音楽が人に与えてくれる不思議な力と親子愛が、感動の涙を誘う。壮大な狂誌曲と共に訪れるラストシーンは純粋な感動を与えてくれる。監督は父ジム・シェリダンの監督作『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』で脚本を手掛けたカーステン・シェリダン。『ネバーランド』『チャーリーとチョコレート工場』の子役フレディ・ハイモアが主人公の少年をピュアな演技で好演。ギターを弾くシーンは音楽の楽しさを全身で表していて、観ている側も心が躍る。ライラ役のケリー・ラッセル、ルイス役のジョナサン・リース=マイヤーズもそれぞれ見事な演奏シーンを披露。少年を音楽の世界へと導く元ストリート・ミュージシャンをロビン・ウィリアムズが演じる。また、映画の第2の主役とも言うべきテーマ音楽を手がけたのは、名匠のマーク・マンシーナと、『ライオン・キング』でオスカーを受賞したハンス・ジマー。ヴァン・モリソンの「ムーンダンス」から、クラシック、ゴスペルまで、様々なジャンルがクロスオーバーする劇中曲の音楽監修として、ジェフリー・ポラック、ジュリア・マイケルズ、アナスターシャ・ブラウンの3人のスーパーバイザーが担当している。彼らが監修したナンバーで、ハーレムのインパクト・レパートリー・シアターが本作のために書き下ろした「Raise It Up」は、第80回アカデミー賞の主題歌賞にノミネートされた。
 フレディ・ハイモアは、今度は、音楽のパワーを信じる心で夢をかなえていく少年の役に、健気な存在感を光らせる。誰からも理解されない悲しみを内に秘めた孤児だった彼が、人々との触れ合いを通じて自身の才能に目覚め、人間性を豊かにふくらませていく姿は、音が旋律となり、旋律が音楽になっていく音楽の出来上がる過程とよく似ている。そして、エヴァンの投げかけた単音が、母のライラ、父のルイスの魂と響きあい、家族というハーモニーに昇華していくドラマには、すがすがしい感動が満ちあふれている。
 冒頭、現在と回想が輻輳し、複雑な映画と思いきや、すぐに先が読めてしまう。こんな出来すぎた現実は絶対にあり得ない。しかし、こうなるだろうと予想される結末にまんまとはまってしまい、余りにもきれいなハッピーエンドになっている。現実にない、まさに奇跡です。映画だからこれでいいと思える。ラストシーンが、最高潮にじわじわと涙を誘い、感動的な結末が待っている。その後のあの家族の未来は全く必要ない。陳腐な作品になってしまうだろう。知りたい気はするが。子供の親を求め慕う想い、親が子供を疑わない信念、その親子の見えない絆、それが音楽で繋がっているこの音はパパとママがくれた才能、そう思い彼は自分の居場所を知らせる様に音楽を愛しながら演奏をする。途中に出会う子供たちのつながりや音楽の才能を知り金儲けを企む人々、ロビン・ウィリアムズ演じる不思議な人間の登場が、親子の絆を取り戻す救世主のような存在になっている。裏切られたような表情をするが、実は愛をもって送り出す。あり得ない事だらけの展開で、心をキレイにしてくれる映画らしい映画。映画に敷かできない技。出来としては、無茶な設定や展開に秀逸とは言い難い。しかし、出来なんて、関係ない。観る側を和ませる、それで充分だ。
あり得ない展開を超える感動のヒューマンドラマ(投稿者:豆腐)2009/5/9 21:43

ふだんから音なしでしかテレビを観ないKAIでありますが、この映画だけは特別。観はじめてすぐ思わずボリュームをいっぱいにあげてしまったのであります。

たまたま通りかかったトラックの側面広告「August Rush to the Beach」を見たロビン・ウィリアムズ演じるウィザード(魔術師の意味)に、オーガスト・ラッシュと名づけられた、エヴァン。オーガスト・ラッシュ(August Rush)は、この映画の原題でもあるのであります。ウィザードのところをトラブルをきっかけに飛び出したあと、めぐりめぐってジュリアード音楽院に入学。ここでオーガストことエヴァンが作曲したのが、オーガスト・ラプソディ。ラプソディ、すなわち狂詩曲であります。この曲がニューヨークフィルの演奏会のメインの楽曲に選ばれるのでありますが、このお話はのちほど。

このオーガスト・ラッシュとオーガスト・ラプソディ。この二つのキーワードこそ、このファンタジーの伏線に流れるもう一つの旋律を構成しているのであります。

それは、過去をたどること34年前、公開されたこの映画に始まるのであります。

未知との遭遇

失踪した息子バリーを探すジリアンと、同じ町に住む電気技師ロイ。この二人が、惹かれるようにワイオミング州にあるデビルズ・タワーと言う山を目指す(ラッシュ)シーンは圧巻であります。

そしてこの山の頂上で繰り広げられる、宇宙船との楽曲のような交信音(ラプソディ)。このあと光る宇宙船の中から現れたのが、わが息子バリーであった。

まさに、ラッシュとラプソディ。

一方の「August Rush」は、ジュリアード音楽院主催の野外コンサート会場、セントラルパーク・グレイトローンが目的地。ここに、母ライラ、父ルイス、ライラとエヴァンを結びつけたリチャード、一時ウィザードに連れ戻されたエヴァンがみな、ラッシュしてくる物語であります。そしてニューヨークフィル相手にエヴァンがタクトをふるラプソディこそ、宇宙との交信そのものであります。

これを、音楽の魔術師、ウィザードをして語らせるのであります。

音楽とは?

神の教えだ

“宇宙にはいろんなものがある”

“命あるもの同士

 ハーモニーが大事だ”と

星とすらも・・・

宇宙には

色んな音色がある

自然が奏でる音

全宇宙の法則が支配する音

それらの複雑なハーモニー

全身で受け止めなきゃー

聴き取れない

音は心の耳で感じるものだ

つい先日も、このKAI_REPORTで取り上げた50キロヘルツの倍音効果

あるいはまた、モールトエモーショナルとしての無音効果

いずれもすべてがことごとく、心の中の、宇宙の中の、世界のできごと。

音とは、心の中でしか聴くことができない。つまりはそう言うことなんであります。

先日も、ある人と会食中に、こんな話を教えてもらったのであります。

人は、音人間と、映像人間と、二種類いる。

音人間は、耳で思考し、映像人間は、目で思考する。

KAIさんは、典型的な音人間ですね。

言われてみて、気が付いた。

むかし、コンピュータの仕事をし始めのころのこと。

プログラムのロジックを考えるとき、いつもくりかえしつぶやいていた単語がある。

DISKが・・・DISKが・・・DISKが・・・

こう言葉にすると不思議なようにロジックが見えるようになるんであります。もちろん30数年たったいまはこれを言うことはないのでありますが、また別の単語が。

自己組織化・・・自己組織化・・・自己組織化・・・

まだまだこのお話は続くのでありますが、とりあえずこの映画の冒頭に出てくる「詩」をご紹介して、本日はお別れするのであります。

ほら

聴こえる?

音楽だ

僕には聴こえる

風の中に

宙(そら)の中に

光の中に

音楽はそばにある

心を開けば聴こえてくる

心の耳を

澄ませば・・・

KAI